革籠...見つめ直す時間

本日の釣果(2000.5.4)

チヌ32cm,29cm
 25cm,22cm
計4枚

グレ29cm,28cm

課題の残る釣りでした。


安芸の宮島。我が家の眼前に浮かぶ大きな島。観光シーズンには近辺道路の渋滞の原因ともなる島ではありますが、この島の素晴らしいところは、その観光地、つまり厳島神社等ではなく、島の大半を占める原生林だと思います。
厳島神社や宮島水族館、キャンプ場等を備える包が浦海水浴場周辺...それらは島のごく一部でしかなく、後は車の行き違いの困難な山道を通っていっても腰細浦辺りまでが限界。島の全周の3/4は道路すらないのです(一部山越えで降りれる海岸はありますが)。

有名な鹿、猿を始めとして狸等々の野生の動物がこの雄大な原生林の中で暮らしています。
我々はこのままこの厳粛な、偉大な、雄大な原生林を大事にしていかなければなりません。

さて、先の腰細浦や鷹ノ巣浦といった辺りにもカレイやキス、メバル、そしてチヌの好釣り場は散在していますが、この道路のない3/4の海岸線は、広島湾の一つの大きなチヌ釣り場でもあります。
この宮島やその沖合の阿多田島辺りでは、大手メーカの釣り大会が頻繁に開催もされています。

今回は、この宮島にターゲットを絞って、周防大島の釣友 友波さんと珍しく渡船で釣行してみました。

午前4時出船。友波さんには朝早くから(夜遅くかな?)遠路こちらまで来ていただいたのに...なんと釣りの時に滅多に寝過ごすことのない私が、あろうことか寝過ごした...
3時20分に我が家の近くで待ち合わせしていたのに、目が覚めると既に3時15分。大慌てで飛び出てみると、既に友波さんは待たれておられました。どうもすいませんでした。

我が家で荷物を友波さんの車に積み込み、平田釣具店へ。渡船名簿に記入。撒き餌を受け取って慌てて渡船基地の上の浜漁港に向かいます。
もう皆さん荷物を積み込み完了しておられました。我々が最後だったみたい。

出船時間の4時より少し前。出船。穏やかな大野瀬戸を船は快調に滑ります。

未だ夜明け前。
宮島の一級ポイントである革籠(コウゴウ)の鼻に到着。ここで降りるのは我々2人だけです。
正直な話、革籠あたりではさほど釣果は出ていないようで、釣果のみ臨むなら岩国沖の柱島あたりまで出た方がいいようです。同船の方々は柱島へ上がった人が多かったようです。
我々は、今回は宮島、と決めてかかっていましたので、釣況にさほど拘らず革籠へ上がりました。

始めて入りますので、取りあえず辺りが明るくなるのを待ちます。
辺りが確認できるくらいになってから釣り座の選定。

直径1mくらいありそうな丸っこい岩がゴロゴロ。
鼻の周辺は殆どこんな感じで、どこから竿を出すにしても難しい。
大きな岩の上に釣り座を構えるとすると、水位が高くなったら山側へ退避できなくなる。

・・・・しばし友波さんと悩んだ挙げ句、鼻の先端近くに釣り座を決めます。ここなら何とか楽に竿が出せそうです。

撒き餌を準備しながら周辺を見渡すと、左側がワンドになっています。のっこみということを考えると、案外このワンドの入り口くらいが面白いのでは?と色気を出してしまいました。

私はそちらへ移動。友波さんは最初に決めた釣り座から竿出しです。

逆光気味で浮きが見え辛い。撒き餌を打つと浮きの周辺に波紋が広がり始めました。友波さんに「もうボラが寄ってますよ〜」と言うと、少し高い位置にいた友波さんが「それ草フグですよ〜」。
・・・・・・・嫌な予感......

案の定、1800円以上もした買ったばかりのGUREXの浮きが私の制御できない状態になってプカプカと流れていきます。

これですっかり草フグ恐怖症になってしまい、撒き餌をセーブ気味にしてしまいました。これも拙かったのでしょう。

後はメバル...メバルの”メ”くらいかも...とにかく10cmにも満たない子メバルが入れ食い状態。浮いているようです。仕掛けが馴染む前に刺し餌に食いついています。

更に更に、潮は当て潮気味にゆっくりと動いています。難しい...

船着き近くに移動しようかな...と考えていた時です。
浮きが滲みます。アワセると重量感。チヌです。サイズは30cm程度。浮かせた後撒き餌を投入して寄せに掛かった途端...竿がテンションを失います。
バラシ....唖然として仕掛けを回収すると針がありません。切れ端をみるとフグの歯形がついています。

気を取り直して再開。気配が出ません。

友波さんは良型を上げたあと、更に連続で追加しています。

焦りが出てきた頃、仕掛けを回収しようとすると全く抵抗感なし....本日二度目。草フグにまたやられてしまいました。今度はプロ山元浮きが...
ところが今回は浮きは流れていきません。どうやら浮き止めで引っ掛かっているようです。すぐに仕掛けを作り直して刺し餌を刺さずに浮き近くに投入。3度目のトライで上手く針が切れた仕掛けに引っ掛かりました。今度は浮き回収できました。ホッ...

これで踏ん切りがつきました。釣り座移動。

船着き近くで竿を出します。今度は沖合に草フグを出さないよう、磯際に多めに撒き餌を入れ、草フグを一点に集めます。
そして沖合30m程に仕掛けを入れて釣り始めた5投目。アタリ!25cmクラスの小チヌが上がってきました。
何よりボウズ回避。胸を撫で下ろします。

少ししてまたアタリ。今度はそこそこの重量感があります。しかし横っ走り。「???」浮いてきたのは丸々太ったグレでした。サイズは30cm有るか無いかくらい。瀬戸内では良型の部類でしょう。なによりその身の厚さは素晴らしいものでした。

しばらくすると友波さんが後ろにやってこられました。どうやら友波さんの釣り座が竿出し困難になってきたとのこと。しかしながら既に4枚上げておられました。流石...

友波さんと話しながら手返しを続けていると浮きが滲みます。そしてラインが緩やかに走る。アワセると今度こそチヌの引きです。取り込んだのはそれでも30cm強のサイズ。

これを見て友波さんが私の横に移動してこられました。またここからが圧巻。あっという間にチヌを上げた...

また少し焦りの虫が出てきました。
アタリ!が、また横っ走り。またまた30cm弱のグレでした。

アタリ!今度はいい引き。が浮いてきたのは35cmクラスのハゲ。まぁおかずになるからいいや、と思って取り込もうとしたらハリス切れ。

アタリ!やっとチヌです。30cm弱。そのまま引き抜きます。これをストリンガーに掛けようと思ってストリンガーを確認すると、おかずにキープしていたカサゴが岩に潜り込んでロープを引っ張っても動かなくなっています。
肘くらいまで水に浸けて外しているとフローティングベストの胸のポケットに入れていた小物入れがボチャン。
先日防水使用のケースに換えたばかりなので慌てず拾おうとすると、いきなり波。白泡と共に小物入れが消えてしまいました。
先に述べたように大岩がゴロゴロしています。どうやらどこかの岩の下に入ってしまったようです。

針、ガン玉、サルカン、シモリ玉等々全ての小物がこれに入っています。慌てて探しますが見つかりません。沖には出ていないので潮が引くのを待つことにしました。今日はこんな事ばかりやっています。実はそれまでに何故だかライントラブル多発でハリスは既に15mくらい使っています。まだまだ素人の域を脱することが出来ません。どうにも集中力が無い。ちょっと不慣れなポイントに入るとすぐこれです。

やむを得ず予備の道具で釣りを進めます。

この後、20cm強の小チヌを一枚追加。潮が下がってきたので小物入れを探します。釣り座にしていた大岩の下に挟まっていました。無事回収。

タイムアップ。

自分の集中力の無さ。課題多き釣りになりました。
遠投主体のポイントであるのが解っていたのに、安物の集魚剤を入れたせいかまとまりがない撒き餌になってしまい、遠投ができなかった。
仕掛けの点検ができていなかった。
釣り座の選定が...読みが甘かった。
草フグの存在に躊躇して、撒き餌を入れるべき時に充分に撒き餌を入れることが出来なかった。
等々....

こんなことで腐る私ではありません。ことチヌ釣りに関しては前向きです。
今回の釣行は自分の釣りを見つめ直すいい機会になりました。次回につなげていきたいと思っています。


釣り終えて振り返ると原生林。周防大島に比べるとやはり海は綺麗とは思いませんが、それでも生命感溢れる海。釣りの最中、余り見えていなかったものが見えてきます。やはり気持ちいいですね。磯釣りの魅力を改めて感じながら迎えの船に乗りました。


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