宇和の海を守るもの


御荘遠征。
私にとっては一大イベントが取りあえず終わった。

賢ちゃんがフカセで獲った70cmオーバの大鯛。それを見ながら明日に思いを馳せるのです。

「絶対釣れる」と断言するすなちゃん。その助手席に座り、やはり期待しながら津島マリンさんへの道を進みます。

今回お世話になった津島マリンさん。宿が一杯とのことで、なんとご自宅へ泊めていただけるとか。
すなちゃんとは顔なじみのようですが、当然私は初対面です。やはり少し緊張。

車を止めると、なんとも柔らかな笑顔の人がそこにいます。津島マリンの店主の山口さんです。

部屋に通されると、食卓には海の幸が一杯。
まぁ座って....まぁ飲んで....どんどん食べて.....
酒の飲めない私は、取りあえず全くアルコールに弱いことを説明させて戴いて、やはり最初は遠慮がちに箸を出させて戴きました。

これが美味い!何を食べても美味い!ひおり貝の刺身と煮た物。アコヤ貝の貝柱で作ったかき揚げ、お刺身、珍味!エソの幼魚等々、当にここでしか食べられないような味覚が並んでいます。

前日の仕事からそのまま徹夜で御荘釣行していた私は、お腹が落ち着くと睡魔に襲われます。

山口さんは気を利かせて下さり、お風呂とお布団を進めて下さいました。申し訳ないな、と思いつつも、もはや睡魔には勝てません。
すなちゃんの飲み過ぎを気にしながら、あっという間に深い眠りに入ってしまいました。


明けて5時半頃。犬の散歩で早起きが習性化している私は目が覚めます。
となりではすなちゃんが未だいびきをかいています。(飲み過ぎたんじゃないかなぁ...)

満員御礼の釣り客を抱える津島マリンさん。朝は慌ただしそう。朝ご飯まで戴いて港へ降ります。

大勢の釣り客でごった返す港。

我々の船が示されます。結構大きい。

すなちゃんは自分で船を持っている人ですから、操船は全く問題なし!取りあえず、満ち潮のポイントへ船を走らせ、真珠筏に船を掛けます。
下げ潮が動く頃には場所移動の予定。山口さんお勧めの場所があるとのことです。

一通り釣り方をすなちゃんに教わって、早速竿を出します。道具一式はすなちゃんにお借りします。

最初、あっという間に餌が取られていたのですが、ふと餌が残り始めました。
これは魚の気配です。何時来るか、何時来るか....と思っていたら、魚より先に山口さんがやってこられました。

潮止まり前にポイントを移動して、潮止まりから撒き餌を入れようという心遣いです。

ポイントを移動して僅かばかり時間が経った頃。

すなちゃんの竿の穂先が海に向けて突っ込みます。手慣れた手つきでグングン上げたのは綺麗なマダイ。流石すなちゃんです。

今度は私か????期待しながら穂先を見ていると、
「入った!」という声。

すなちゃんが持った竿はひん曲がり、リールからはどんどん糸が出ていきます。大型のようです。

巻き上げては引き出され。また巻き上げては引き出され。

一進一退の攻防が続きます。

5分以上経過したころ。
とうとう、すなちゃんの手がハリスに掛かりました。
たくり上げられる道糸の先には、徐々に白い固まりが大きくなってきているのが見えます。

そして薄ピンクに。

デカイ!文句無しの大鯛です。(実寸87cm!!)


今度こそ私?と思ったのですが、やはり舞い込むのはすなちゃんの穂先。この日3枚目の真鯛を手にされます。

私の方はさっぱり。

「あ、入った!」

ミカンを食べていた私(何故だかとてもお腹がすく日だった)は、すなちゃんの声に慌てて竿に飛びつきましたが、アワセを入れたときには既に何も無し。

仕掛けを回収するとハリスが切れています。全く重量感を感じられなくて残念。


その後、風とうねりが大きくなり、筏も風に押されたようで、ポイントが外れてしまったのか全く魚の釣れそうな感じが無くなってしまいました。

まだうねりが大きくなるとの判断で、15時終了。


結局ボ・・でした。


さて、津島マリンさん。
こちらでは集魚剤や団子の使用を一切認められておりません。

集魚剤が自然に及ぼす影響...これがどれ程の物か、それは解りません。

すなちゃんが言っておられました。

「この海で煙草を海に捨てたら、誰が捨てたんだ?と言われるくらい、ゴミの一つも浮いてないでしょう?」

事実、ゴミの一つも浮いていない海。真鯛やグレその他沢山の魚が豊富に泳ぐ海。

海はみんなのもの。誰かが勝手に汚していいものじゃない。貸し船や磯渡しで釣り人を集めて、海を汚して、(自分の)子供が後ろ指を指されるようなことにはしたくない。

にこやかに話す山口さん。ヘビースモーカーでありながら、一本たりとも海に煙草を捨てないすなちゃん。

こんな素敵な人達に愛されて守られている海。

ここ、津島町田の浜からつながる海はとても豊かで美しく、そこに過ごす人達もとても心の豊かな人達ばかりでした。

宇和海に憧れて全国から集まる釣り人。私もその一人。

集魚剤を使う使わないはそこのルールに従えばいいのですが、これほど地元の人達が守っている海です。
少なくとも集魚剤の袋を放り投げて帰るようなことはできないハズです。


そんなことを今更ながらに考えさせられる。それほど素晴らしい海でした。



最後になりましたが、津島マリン 山口さんとご家族の方、本当に有り難うございました。
そしてすなちゃん。2日間に渡り付き合って戴いて、本当に有り難うございました。

すなちゃんに戴いたマダイに舌鼓を打ちながら、感謝の気持ちが広がっていく。そんな素晴らしい遠征でした。

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