近所の公園の白梅がぼちぼち弾けだし、紅梅は遠目にもはっきりと解るくらい枝に紅色をまとい始めた。
そんな季節になってきたのだけれど、ここのところどうも体調が思わしくない。
いや、正確には、体調を崩すことが多いというか、もっと解りやすく言うと風邪を引きやすい。
もともとインフルエンザにすら滅多に掛からなかったのだけれど、去年、一昨年とインフルエンザにかかり始めたところあたりから、すでに予兆が有ったのかも知れない。
年明け以降ここまで、発熱3回である。「やっぱり前厄なんかねぇ。」と女房。しかし、俺はそんなの気にしない。が、年取って体力落ちてきているんだろうな、とは思う。
この発熱は微熱も含む。大仰な性格であるため、些細な発熱で如何にも病人面する。
因みに、2月9日の土曜日。夜中から胃が痛く、朝からは加えて熱っぽかったので、少しばかり不安になって、病院に行ってみた。年明け以降の体調の悪さを先生に伝えて、半ば無理矢理血液検査をしてもらったのだけれど、やっぱり炎症反応も出ていなくて、白血球数もそれほど多くはない、ということで、至って健康そうであることが判明。
インフルエンザでもなさそうだから、胃の薬などをもらって帰った。
すると、昼過ぎに38.4度。
また不安になったので病院に電話してみたのだけれど、やっぱり大丈夫。
本人にしてみるとあまり大丈夫ではないのだけれど、まぁインフルエンザでもないなら、黙って寝てるしかないなぁ、と、痛み始めた頭を抱えて一日寝ていた。
翌日曜日。やっぱり先生の言うとおり大丈夫で、熱は下がった。が、前日、胃の調子がずっと悪かったので、あまり食べていない。そのせいもあってか、妙にふらふらするなぁ、と思いつつ、昼から仕事関係の用事があったので、広島市内へ外出。
そして月曜は祝日。天気はいいし、加えて潮もいい。
確かに雛人形を出すにはもってこいの日よりだねぇ。
でもね...はい、まぁ病み上がりですけど...え?好きなことばかりしておいて、たまに家にいると思ったら調子が悪いといって寝ている?...いや、別にワザと調子を悪くしているわけでもないわけで...まぁ朝起きて体調がよかったら、ということで...
6時起床。体調はすこぶるいい。
「あ、朝飯要らないから。」
「胃が悪かったんでしょ?食べてみないと解らないでしょうが。」
「いや、大丈夫だって」(早く行かないと潮が高くなって行きたい場所に行けないんだってば。もう、うるさいなぁ。)
「大丈夫なわけないでしょうが。一日寝てて、昨日もまだ調子悪かったんでしょ。」
「大丈夫だってば...え?...はい、食べます。」
はっきりいって怖い。そんな女房の視線を背中に感じながら家を出る。
急げや急げ、もうギリギリだぞ。上げ5分で8時過ぎ。時計はもうすぐ7時。
コンビニでポカリだけ買って、釣具屋でキザミッコとチヌパワームギ、それとサシエ用のオキアミ0.5kgブロックをさっさと買って、大島へ向かう。
駐車スペースに着いたときには、すでに8時半。ちょっと厳しいかなぁ。
身支度をして、そしてマスクをして、荷物を持つ。
そう、もう花粉症のシーズンが始まっているのだ。煩わしいが仕方ない。
ここは、釣り座に入るためには岩にへばりつくように移動しないと行けないところがある。潮位が高くなると、数少ない足場や足がかりが水没してしまって、非常にしんどくなるのだ。
ギリギリ、キーになる足がかりがまだ使えたので、あまり怖い思いをせずに釣り座へ入れた。
ただ、釣り座に入る直前の難関でロッドケースが海に滑り落ちてしまい、デジカメを入れていたので焦った。無事回収してデジカメも無事だったのだけどね。
今日は朝、非常に厳しい環境の中で準備をしたため、コーヒーの準備はできていない。
したがって、すぐにマキエ作り。最近すっかりおなじみになったキザミッコをバッカンにあけて、海水をそそいでしゃぶしゃぶ状態にする。
あれ?
海水温が非道く冷たい。
前回来たときはやたら水温が高かったのだけれど...急に水温が下がったんだな。こりゃ厳しいかな。
一旦、エアゾーンの小粒なものを使い、B負荷で仕掛けをセット。思ったより向かい風がきつく、しかも当て潮で、遠投できないこの仕掛けでは無理、と判断。
すぐにウキをプロ山元浮き2Bに交換。少し沖に投げて、仕掛けを早めに落とし、当て潮に載せて足下近くまで探る。
オキアミが残る。やっぱりなあ。
しばらくしてようやく魚信を捉えた。殆ど足下近くの駆け上がりの藻際。ウキ下は竿2本になっているので、ほぼ底にもたれるような状態になっていたはずだ。
これは磯ベラ。こいつもあまり動かないようだ。
続いて同じようなアタリがあって、これは15cmほどのアイナメだった。
ここでは40cmクラスのアイナメが釣れたりする。
その後、どうにもこうにもアタリがない。餌は時折触られているが、これはおそらく活性が低いなりにちょっかいを出してくる草フグと思われる。
底潮の方が冷たいのかな?
水温が低いこともあり、仕掛けの落ちがとても早い。2Bウキに、道糸にガン玉B、ハリスにG5(ハリス最上部へ上げている)の設定だと、中層はうまく探れていない。なにせ当て潮向かい風の条件だから、仕掛けのコントロールも殆どできない。
ウキを交換。遠投性を確保するため、エアゾーンの少し大きめのものをセット。負荷はBに設定。ハリスにG5を二つ段打ちにする。
表層でしっかりハリスを馴染ませてから、少し道糸にテンションを掛けるため、仕掛けを手前に軽く引きながら、じっくり中層を探りながら足下、あるいは当て潮が割れて釣り座の左右に流れる潮を探る。
これにより草フグの反応は解りやすくなった。
しかし、期待の満潮潮止まり前の時合いは無反応。こりゃ、キツイかなぁ。
潮止まりを過ぎて下げ潮に入る。
一番外せない時合いだ。ここで無反応なら冬場はダメだろう。逆に、釣れないにしても反応が出てくれれば期待が持てる。
ウキをプロ山元浮きG2に交換。遠投しにくいがこちらの方が潮に素直で扱いやすい。
しかしなかなか反応が出ない。
(必殺、置き竿釣法その1)
喉が渇いたなぁ。
竿をバッカンに預けて、ポカリをグビリ、と飲む。
風があるため決して暖かい、といえるような体感温度ではないのだけれど、それでも日差しがあるので喉は渇いている。
さて、と、振り返って海面に浮かんでいるはずのウキを探す。
あれ?ない...
とりあえず竿をもって、ウキを探す。
途端、ギュッっと竿先がひったくられる。
げ!食ってる。
完全な向こう合わせで、アワセが効いていない。
こりゃ、絶対外れるぞぉ。と思ったら、銀鱗がギラリと見えた後、やっぱり外れた。
針先が外側に転けている。だめだよなぁ、やっぱり。
北灘掛かり釣りの際、置き竿にチヌが掛かって、すなちゃんにさんざんネタにされた記憶が甦る。
さて、そんなバラシをやったこともあって、期待の時合いは空振りのまま終わった。しかし反応はあった。いけるいける。
ほら来た!
ウキが綺麗に吸い込まれる。
アワセを入れるとチヌの重量感が竿越しに伝わってくる。やっぱりいいなぁ。これ。
たいしたサイズではない。が、その分、よく引く。
これは35cmの綺麗なチヌ。
この時間帯がこの日唯一の時合いだったようで、少し間をおいて今度は40cm。これもよく引いた。
そしてさらに35cmクラスを一枚追加。
その後、ヒガンフグと草フグが針に掛かり出した。時合いは終わったようだ。
何れにしても非常に気分良く14時半の納竿予定時刻を迎えた。
(必殺置き竿釣法その2)
しかし、だ。いざ竿を畳もう、と思ったころ、急に餌が残り始めた。フグが遠慮している。
チヌかなぁ。
スケベ心を出して、餌をつけて仕掛けを投入し、竿を置いてから、片付けられるものから片付けていった。
すると、置いていた竿の穂先が動いている。
今度は向こう合わせというより、もう魚がついちゃってる状態なので、ゆっくりと竿を起こしてみる。
期待に反して軽い。
が、浮いてきたのは紛れもないチヌ。ただし、サイズは25cm。ははは。やれやれ。
しかし、僕は基本的に、置き竿も許容範囲なんだなぁ、と今更自覚した。
急に雲が出てきたけれど、逆に風は収まった。
本当にいい休日、気持ちのいい釣りだった...
(痛恨の忘れ物)
...だったはずだった。
車に到着。
魚をクーラに移し、荷物をバゲッジに放り込む。本来ならここで気付くべきだった。
つぎは兎に角、内側が息でベチョベチョに濡れたマスクを顔からはぎ取り、ウェットティッシュで顔を拭く。
ふぅさっぱり。気温があがった時間の磯からの帰りはマスクが兎に角鬱陶しいのだ。
そして次は慌てて目薬を入れる。
まずは抗アレルギー剤の目薬。10分ほど立ってから、ステロイド入りの目薬を差す。
こうしておかないと、もうこの時期でもウサギの目になってしまうのだ。
帰路に着く。
コンビニでハンバーガーと飲み物を買う。まだ気付かない。
家に着く。バッカンその他を洗おう、として、ようやくそれに気がついた。
「あ!」
釣り座にゴミを忘れてきたのだ。
そういえば、いつものようにオカラダンゴの空き袋にオキアミの袋やハリスやチヌパワームギの袋を押し込んで...それから、海に落ちないように、と思って、背後の岩の上に置いた。
そういえば、そのあとバッカンの中に入れた記憶がない。
折角の気持ちのいい一日が、何とも後味の悪い一日になってしまった。
次に行くまであそこにあればいいのだけれど...岩の隙間などに押し込んだ訳ではないから、おそらく風で飛ばされるだろう。やれやれ...
もし、誰か僕の後にあそこに釣りにいかれて、そこでオカラダンゴの空袋にゴミを詰め込んで放置しているのを見つけられた方。それは僕が犯人です。拾ってくれていたら、とても有り難い。
これなら愛用のマキエ杓でも忘れてきた方が、よほど良かった。
一番後味の悪い忘れ物だった。
ほぼ2ヶ月ぶりだ。
確かにあまり釣れない時期ではあるのだけれど、だからといって釣りに行かなかった訳でもなくて、いろいろと折り合いがつかなかった、というところだろうか。
そうこうしている間に、大島で50cmオーバを釣った、とか、どこそこで2桁釣った、とか、そんな話も聞こえてきていて、「う〜む」と唸っていたところ。
今年は釣りに余り行かなかったこともあってか、また、そもそも西日本は花粉が少なかったこともあって、花粉症は随分楽にだな。鼻の奥、まぁ喉なのだけれど、ここを舌で掻き始めるとなかなか辛いことになるのだけれど、今年はそれがない。
満潮が8時半頃。
地磯には辛い...いや、早起きが苦痛な地磯釣り師には辛い潮回りだなぁ。
久しぶりということもあって、随分無理して4時半に起きた。
しかし、どう考えても計算が違う。上げ5分までに入らないといけないのだから、釣り場の駐車スペースには5時半に着いておかないといけないはずなのに、4時半に起きたのではどう考えても駐車スペース到着は6時半。だが、3時半に起きるなどという技は僕には到底...
解凍予約したオキアミを買って、大島を目指す。
案の定...といより当たり前なのだけれど、すでに散り始めた桜の下を抜けて大島に渡った頃には、もうどう考えても行きたい磯には入れない潮位になっている。
「まぁええか。」と独り言。
若干北よりの風が気になる中、おなじみのゴロタのポイントに入る。ここならかなり潮位が上がらない限りはいることができる。少しばかりここには早いような気もするが...まぁええか。
5分ほど歩きにくいゴロタ浜をあるいて釣り場に到着。リュックの中から、バーナー、パーコレータ、コーヒー豆、水等を出して...あ、ガス忘れた...(車の中)
ともかく、まずはマキエを作る。オキアミ生3kg、チヌパワームギ、白チヌを一袋ずつ。少々多いが、まぁそろそろノッコミだ。
いつも通り大岩の釣り座にバッカンを上げて、遠投、左右、そして駆け上がりの藻際にたっぷりとマキエを打ち込む。10分以上かけてたっぷりと。
それから一旦車に戻ってガスボンベを取ってくる。まぁそこまでしなくてもいいのだけれど、どのみちノッコミの時期はある程度チヌを寄せて、またある程度チヌを貯めてから竿を振った方が効率がいいからね。(それにはちょっと時期が早いような気もするのだけれど)
バーナーをボンベにセットして、コーヒーを沸かしながら、またマキエを打ち込む。
そして仕掛けをセット。状況がよく分からない上に遠投ポイント、ということもあり、迷わずエアゾーンをセット。少し大きめのサイズなので、重量があってよく飛ぶし、何より状況が解らない中では負荷調整が容易にできるのは今更ながら重宝する機能だ。
ステンのマグカップに注いだコーヒーを足下...後ろに飛んだマキエが入らない位置にね...に置いて、竿を振る。
駆け上がりの藻の帯の5mほど沖に着水。もう少し沖に入れるつもりだったのだけれど、まぁ久しぶりだし仕方がないか。
マキエをウキの周辺に面を意識して広範囲に打つ。さて、どんな感じかな。
餌がつつかれている。
ウキ下は竿1.5本、ウキは2B負荷にセットして、道糸にB、ハリスにG5,G7をセットし、ウキ下が深いのでハリスのガン玉はハリスの最上段に位置させている。
状況を探るため、少しずつウキ下を詰めてみる。
何が餌をつついているのだろうか?ちょっとよく分からない。
何かおかしい。この餌の触られ方...いやいや...
更にウキ下を詰めて、すでにウキ下3.5ヒロ。
ウキが沈む。アワセる。
・・・ん?
・・・げ、アジ...
まぁやる気が失せますね。この時期。この時期までアジなのか。大島は辛いなぁ。
型は20〜25cm程度で、そこそこ大きい。バッカンに放り込んでおく。チヌが釣れなかったらアジの塩焼きだな...釣れてもアジの塩焼きの方が美味いから持って帰ろうか。
それでも、時折仕掛けが通って、ヒョコタン(磯ベラ)が連れてくる。期待が持てるとしたらこのあたりだな。
ときおりアジを掛けながら、気持ちを変えてリハビリ。どうにもマキエがぶれる。風のせいもあるのだけれど、どうにも...腕に力が入りすぎて、おまけに脇が甘い...などと、ゴルフのスイングのようなことを考えながら、マキエの左右のぶれ、距離感を修正していく。絶対に腕が筋肉痛になるぞ。(と思っていたら、案の定、翌日は腕が筋肉痛だった。)
天気予報ではかなり暖かくなりそうだったので、Tシャツ、ポロシャツ、綿シャツにレインウェアの上だけ、という服装で竿を振っていたのだけれど、空には薄雲が掛かっていて、また西向きに釣り座を構えて背中に山を背負っている、という関係上、風もあたって寒い。
ふるえながら迎えた満潮潮止まり前の時合い。これは空振り。
潮止まりを過ぎて、下げ潮が動き始める。ここでようやく少しばかり気配。
アジの気配が消えて、ヒョコタンが掛かる。しかし、このヒョコタン。藻際で掛かるため、藻に入る。藻に入った魚を抜くのにあまり苦痛は感じないのだけれど、やたらと抜きにくい状況になる。このあたり、釣行回数が激減していることが影響しているのかも知れない。
無意識にやっていたことが上手く回っていない。
ウキが重々しく入る。来た。
アワセ!!
これはチヌ。
いつものサイズなのですぐ解る...
やはり藻に入るが、これは問題なく抜けた。駆け上がりより手前は浅いので、ここを右にチヌが走る。竿で矯める...というほどの引きでもないので、グングンよせて玉網で掬う。35cm。・・・ほんとにいつものサイズだなぁ。
このあと、またアジが掛かる。
さらにそのあと、一度重量感のある魚を掛けたのだけれど、これが藻に掛かり、少し引っ張ったら切れてしまった。これは例の30cmくらいのフグだなぁ。
この日、16時には家に帰るように言われている。
潮がどんどん下がってきて、時計は12時を回る。
朝方の寒さは、いつの間にか青く広がる空のお陰ですっかり消えている。
そろそろ帰らないといけないなぁ。しかし腹減ったなぁ。
リュックの中に、いつ買ったか記憶がないシーフードヌードルがある。
「食べるか。」
そう決めるとさっさと竿を畳む。パーコレータをポットにして湯を沸かす。湯が沸く間にバッカンを洗う。
鶯の声を聞きながら、遠くに散りかけた桜をのぞみながら、カップヌードルを食べる。
カップヌードルはこういうところで食べると妙に旨い。
車に戻る。フロントガラスの下。ワイパーブレードの上には桜の花びらが載っている。車を停めた場所の上にある桜の木から花びらが舞い落ちたんだな。
気がつけば、梅はとうに終わり、桜が舞う季節になっていた。最近、時間が経つのが早いな。
4月も終わり頃になると、ソメイヨシノはとうに散ってしまい葉桜となっているのだけれど、近所の公園ではボタン桜がその盛りを過ぎた頃であり、大地くん(犬)の散歩をしていて春の強い風に出会うと、時期の遅い桜吹雪に出会ったりする。
ボタン桜...八重桜と言った方がいいのかな。
この八重咲きの花は、花が群れるように固まって咲いて、その花を引き立たせるように葉が縁取っている。
ソメイヨシノのような圧倒的な薄い桜色だけに染められる山肌もいいけれど、しっかりとした少し大きめの花びらと少し強い桜色、これに少し桜色に染められかけたように赤みがかった葉の色が混ざり合ったこの桜は結構好きだな。
大型連休も後半になれば、すでにこの八重桜も終わっていて、ところどころに名残惜しげに残る花と、周囲の輝くような草木の瑞々しい緑を対比して、もう季節は夏に向かっているということを感覚として感じ取っていく。
今年の連休は11連休となっている。
僕の努めているところには工場があるから、ラインの組み替えや設備保全のために、連休は長めとなることがある。といっても、年間休日はさほど多いわけではないので、こういう無理矢理的な連休を作ると...ほら、連休明けの10日の土曜も、その翌週の17日の土曜も出勤になっている。
直接的な会社の仕事ではないような仕事を抱えていたので、この連休は助かった。
とある集まりで6月に1.5時間ほど講演(というほどのものでもないのだけれど)をすることになっていて、このプレゼンテーション用の資料を作らなければいけない。なかなか会社での仕事中にまとまった時間はとれないし、1.5時間分ともなると、その資料作りにはそこそこパワーが必要になる。
銭になるわけでも、会社で評価されるわけでもないのだけれど、こういう経験は買ってでもした方が、後々自分の力にはなってくる...というようなことを、この歳になって本気で思うようになってきた。
何事も経験しなければ自分の力には成りきらない。
これは釣りも一緒。
結局、かなりの時間、パソコンに向かっていたこともあって、またその他いろいろと(女房の顔色とか...)あって、漸く釣りに行こう、と考えたのは5月3日。
潮は?
そうそう、この連休は連休の最初に釣りにいかないと、地磯は難しくなってくるんだったな。
7時半ころ満潮。
さて、どうしよう。瀬戸内、この広島あたりの海は干満差が大きい。だから僕のような地磯釣り師は、潮が低い時間に目当ての釣り座に入って、そして満潮を挟んでまた潮が低くなるまで竿を振る、というのが普通のパターンになる。朝、歩いていたところが海になって、そこで魚が釣れる、というのは、日本海あたりでしか竿を出したことのない人には驚きなのではないかな?
どうしよう...といっても、それほど選択肢があるわけではない。
@暗いうちから釣り座へ向かう? : 眠いし、危ないので却下。
A潮が高くても入れる場所へ?: 潮が下がるほど釣りにならなくなるので却下。
なにより、この時期は日が高い方が食いがいい。
B防波堤とかは? :磯が好きなので却下。
Cとなるとやっぱり、潮が下がったときのポイントで竿を振ろう。
ここのところよくやるパターンなのだけれど、下げ5分からでないと入れず、しかも、下げ潮が動いている間しか食わないポイントへ入って、つまりはたかだか3時間ほど竿を振る、というパターンで行くことにした。
このパターンの利点は、
@美味しい時間だけ集中的に釣れる。
A兎に角、朝が楽でいい。
欠点は、
@ゆっくり海を見る余裕はない。
Aツボを外すとボウズになる。(結構そのリスクは高い)
利点のA、朝の楽さ。
これはいい。この日、家を出たのは8時過ぎ。それも連休初日(3〜6日は休みのところが多いはず)なので道路が混んでいるのでは?という危惧から。僕は10時に磯を歩き始められればいいので、8時半ころ家を出ても大丈夫なはずだ。
...が、実はこの30分早めの行動は、ギリギリ10時に間に合う、という結果につながる。それは後で。
朝、家でゆっくりトーストを囓ってきたし、ロッドケースには前にかったポカリとカロリーメイトが入っていたので、コンビニには寄らずに周防大島を目指す。
途中の釣具屋で餌など購入。オキアミの解凍予約をしなかったので、少し高くつくが、キザミッコを購入。
キザミッコからでも実際のところ充分サシエ用のオキアミは取れるのだけれど、11日のマルキュー杯広島湾予選のこともあるから...と、ツーパック式のサシエ用オキアミを購入。半分使って、半分はマルキュー杯のときに使おう。
お、あったあった。オマケに特価半額だ。
最近、少し気に入っている東レ銀鱗のハイポジションフロート。紫っぽいピンク色の道糸なのだけれど、中空でないフロート系の糸で、できるだけ柔らかめの使い勝手の糸が好きな僕には丁度いい使い心地だ。
昔(かなり昔)、紫色でグレスペシャル?だったかな?そんな糸があって、これが気に入っていたのだけれど、なくなってしまったからな。それ以来、どうも気に入った糸がなくてスッキリしなかったのだけれど、これはなかなかいい感じなのだ。
3巻買おうかな、と思ったのだけれど、最近めっきり釣行回数が減っている僕が3巻使うには相当時間が掛かりそうだし...ということで、2巻にしておいた。
ついでにハリスも買っておこう。
悩むのが面倒なので、いつものVハードにしておこう。
何と言っても天気がいい。
僕は青空とべた凪の海、というのが大好きだ。
少々波気があった方が警戒心が薄れて...などとは考えない。とにかく、僕が気持ちよく竿を振れる、というのが一番僕にとっては正しい。それが一番楽しいものね。
ウキウキとしながら大島大橋を渡る。道も混んでいなくて、この分だと少し早く着いてしまいそうだ。
そういえば、潮待ち用の文庫本を忘れたなぁ。コーヒーセットも持ってくれば良かったかな?
ウキウキとした気分で...次の一瞬、ぶち壊されてしまうとも知らずに...
慣れた道である。
もう何度通ったことか。僕にとっては何の疑問を挟む余地もない、そんな道である。
山側から海岸線の道路に突き当たる交差点。
交差点の左右ともに民家があるので、当然、注意して、そして減速して海岸線の道に出る。
交差点を左折したところで、正面に...あれ?あの人誰だっけ?...ああ、夏服姿のお巡りさんか。
しかし、僕は全く動揺していない。何しろ、シートベルトは締めているし、携帯だって手にしていない。
こっちにおいで、と手招きされる。
しかし僕はまだ動揺しない。何せ何も悪いことをしている自覚がないのだからね。
逆に、なにか事件でもあったのでは?と心配をしたほどだ。
「こんにちは。」
「あ、どうもこんにちは。」(何か事件でも?と聞こうと思ったけれどやめた)
「今、そこ曲がってきましたよね。」
「ああ、はい。」
「曲がるとき、止まりませんでしたよね。」
(え?止まったか?止まった記憶はないなぁ。)
「そこ、一時停止なんですよ。」
・・・
「え、そうなんですか?」
「いやぁ、ここで大きな事故がありましてね。住民の皆さんから要求されて取り締まっていたんですよ。」
この交差点。いつも曲がるときは気をつけてはいた。島民の方でなくて、外から来た釣り人がスピードを上げて走り抜けることがあるので、注意が必要だからだ。それに曲がったところでおばあちゃんが道路を渡っている、ということもあるから。
しかし、正直言って、ここが一時停止を要する、ということは、今まで全く気付かなかった。
帰り道でヒョウシキがあるかどうか、確認したほどだ(当たり前だけれどやっぱりあった)。
ルール違反...正確には道交法違反であることには間違いがない。
さて、僕は基本的に往生際が悪いのは嫌いだ。
だから、往生際がいいチヌの引きも好きだ。
交通違反で捕まって、お巡りさんに「勘弁してくださいよぉ」なんて誤ったら、許してくれたよ、なんて話を聞いてもあまり羨ましく思わないし、警察に知り合いがいるのでもみ消して貰う...なんていう話を聞いたりすると嫌悪感を感じる。
まぁキップ切られるくらいだからこんなことを言っているだけで、もっと大きなことだったら、やはり「許してくださいよぉ」なんて言っているだろうなぁ、とも、正直思う。元来、いい加減な性格だし。
法律違反をしたことを自分が認識して、相手がそれを指摘して、法律に則った処罰をしようとしているのだから、見つかってしまった以上は仕方がないのだ。まぁ運が悪かった(気付かなかった一時停止を認識した、という意味では、いい取り締まりだったのだろうけれどね)。
まったく駄々をこねないで、素直に従っていてもキップを切られるには少々時間も掛かる。
横柄なお巡りさんだと腹も立つけれど、そうでもないので実にスムーズにキップを切られているのだけれど...
青キップと7000円罰金の振り込み用紙をいただいて、改めて出発。
「気をつけて行ってきてください。今日は取り締まりも沢山出ていますからね。」
実に感じのいいお巡りさんだね。
と、一見カッコイイようなことをいいながら、キップを切られたあとは、何とも言えない苛立たしさを感じる。晴天の空の明るさを、まったく感じなくなってしまう。
さて、そんな陰々滅々な気分で駐車スペースに到着したときには、すでに充分磯を歩ける程度の潮位になっていた。こんな潮待ちはしたくないものだね。まったく。
15分ほど歩いて釣り座に到着。
マキエはキザミッコ、チヌパワームギ、オカラダンゴ1/2袋。
マキエを作ってから充分にマキエをまき散らす。下げ潮の走る方向、その沖からチヌを寄せ、この流れの中で食わせるのがここの流儀。
仕掛けはまずは手抜きでエアゾーン。10時半、釣りスタート。
しかし、今ひとつしっくり来ないので、プロ山元浮き3Bにすぐに交換。
まずはハリスをフリーにして道糸に3Bをドンと打ち、ウキ下3.5ヒロで流し込んでみる。
マキエはウキの流れる先で合流するイメージで、流れに対して少し間隔を開けて打ち、ウキを止める張りで、後打ちしたマキエを仕掛けに順次追いつかせていく。
うん?この餌のとられ方...
こりゃまた...
思うところあって、道糸にG2、ハリスにG2、G5、G5、G7と段打ちにして、ウキ下を3ヒロ弱に設定。
これで探ってみると...案の定...アジだ。
折も折、足下近くをみると、無数ともいいたくなるようなアジの群れが磯際をかすめて泳いでいく。泳いでいく、とはいっても、次から次へと来るのでずっとアジがいる、という感じだ。
ふ、と、泳ぎが停まり、今度は反対に向かって泳いでいく。足下のアジはマキエに対する反応が薄いが、沖も相当いるんだろうなぁ。
ただ、釣れてくるアジは25cmほどあって、結構美味しそう。幸い潮だまりだらけなので、潮だまりに放り込んでおく。しかしこの日差しだと、潮だまりがお湯になるかな?
ガラ藻が多い。
今年は久しぶりに藻の多い年になっている。ここ数年、藻が少なくて、ノッコミの雰囲気が薄かったのだけれど、今年は雰囲気だけはいい。
ただ、その分、仕掛けを流しづらい。藻場の上を流れるときは仕掛けを止めて仕掛けを浮かび上がらせ、そのまま張った状態で藻場の上を通過させる。
速い流れに載せて、どんどん仕掛けを流し込み様子を見てみる。ここでは70〜80m流し込んでチヌが釣れることもあり、こうなると結構楽しい。
時間はどんどん過ぎてきて、気がつけば正午を回る。腹が減ってきたが、なにせ短時間の釣りなので、昼食を取る余裕はない。潮が止まるまでのあと1時間ちょっとが勝負だ。
しかしなぁ。
ここだと、タイミングがあっていれば、3時間で2桁も期待できない数字ではないのだけれど、この分じゃ、1〜2枚。いや、ボウズになる可能性の方が高そうだなぁ。
ネリエも試してみるが反応無し。
と...グゥンっと竿先に来るアタリ。
道糸を竿ごと握るようにして糸を止め、アワせる。重量感が載る...が、今ひとつパッとしない引きだ。
魚が藻に入る。
竿を煽って抜き...と思ったら、すぐにハリスが切れた。
仕掛けを回収してみると、チモトがざらついた感じになって切れている。
なんだかよく分からないな。
そして13時に近づいた頃。
15mほど沖の藻場の上を通過させたあと、スザッっとラインが走る...よっしゃ、来た。
流れの中で食わせると引きが強い。これも楽しい。が、大したサイズではないな。
一度藻に入ったがこれは押し引きで抜いて寄せる。小さく見えるが念のため玉網で掬ってみると、34cm。ブッコ抜けるサイズではないが、磯にズリ上げてもよかったかな。
もう一枚、と思ったのだけれど、結局そのまま潮止まりを迎えてしまった。
上げ潮が動き始めるまで、と、ホウボウ仕掛けを入れて探ってみた。
居るのにね。そこに。いや、見えてるんだよな。チヌ。
2ヒロほどの水深のところ、2枚ほど泳いでる。
まぁだいたいこういうチヌはマキエにも反応しないからどうしようもないよなぁ。
14時。納竿。
さて、例の交差点。
まだやってるのかな?と思いつつ進んでいると、まだやっていた。しかも朝と同じお巡りさん。
何時間一人で見ているんだろう。仕事とはいえ、この日、車の気温計では29度。帰りの国道2号線の岩国あたりにある温度計では31度を指していた気温なのだから、大変だな。
同じ捕まるにしても、こういうお巡りさんに捕まるというのは、まだマシなのかも知れないな、と思った。
そして、とくに何をするともなく...いや、結構仕事はしたなぁ...11日間もの一見長そうで、実は短い連休が終わろうとしている。あ、そういえば庭のラティスフェンスにペンキ塗りもしたなぁ。
何故か結構肩凝って疲れているから、そろそろ会社に行ってもいいかな、という気になってきた。
・・・変な俺。