海を離れた釣り師


5月の初釣り

 すっかり...すっかり釣りに行かないのが当たり前になってしまっている。
 僕自身が気持ちが乗るまで、無理して行くのは止めよう、と思っていることもあるけれど、それが長引くと、僕が釣りに行かないのが家庭のリズムになってきてしまって、なかなか気軽に「釣りに行く」と言えない空気が漂ってきている。

 ちょっと前までは、週に1回釣りに行かないと自分が保てない、というようなことを言って、そういう空気を顰蹙を買いながらも醸成していたになぁ。

 とにかく、娘の高校受験も終わり、塾の送り迎えという用事もなくなったので、車を使える自由度は若干上がってきているのではないかな、と思うのだけれど、気がつくと、大型連休を迎えて、未だ釣りに行っていない自分がいるのである。


 さて、連休。
 今年は不景気の関係もあって、12連休となっている。
 最低3回くらいは釣りに行きたいところなのだろうけれど、まず、連休中の平日は女房が通勤に車を使うので釣りには行けず、連休に入った27,28日あたりは天気も悪かったため、結局出鼻をくじかれて、ずるずると釣りに行かない日々を送ったわけだ。

 なんとなく予感はしたのだけれど、そんな訳で僕の今年の初釣りは、四国。北灘湾となった。
 納竿が秋田の男鹿だったのだから、結局、遠征でしか竿を出していないということになる...

 もっと遡ると、男鹿の前は、マルキュー杯の中国ブロック大会。これは岡山の笠岡だったので、やはりプチ遠征だ。

 じゃぁその前は...そうそう、宮島沖というか対岸の大野沖の筏。これは近所なので遠征とは言わないけれど、普段やる釣りではないので、日常的?な釣りとは思えない。

 遡ると、6月11日に周防大島に行って以来、これからお話しする北灘遠征も含めて、日常的な釣りはやっていないんだな。
 僕の日常はいつ復活するのだろう?それとも、今の状態が当たり前になってしまうのかな?それは寂し気もするな。



 ともかく、迎えた連休最終日。5月6日だ。
 四国松山の兄貴分、すなちゃんから声を掛けて貰っていて、北灘湾で掛かり釣りをやることにしている。

 夏恒例だったのだけれど、この時期ならロクマルの期待も高い、ということで、大型にターゲットを絞って竿を出すことに...などというのはタテマエで、あそこなら何か釣れるだろうし、何より楽しい釣りができる。

 ♪南瀬戸内海〜光る風、走る波ぃ〜♪
 おなじみの防予汽船の船内音楽を聴きながら、柳井港を離れる。

 いいね。この雰囲気。旅情をかき立てる音楽というのはいろいろあるけれど、僕にはこの船内音楽がなんとなく...いい。

 同船のベテラン釣り師の方と話をしたり、うつらうつらしている間に、船は三津浜港に到着。
 すなちゃんからは、いつもの場所で待ってるよ、とのメールが入っている。

 家を5月5日の21時頃に出て、三津浜着が日付変わって6日の1時半ころ。

 今回は、噂の大物族のAさんともご一緒させていただく。

 僕はすなちゃんとは殆どチヌしかやっていないけれど、すなちゃんはオールマイティな釣り師で、4月には同じ北灘で84cm頭に真鯛を釣っているし、このサイズは決して始めてでもない。さらに、青物、カンパチなども相当釣っている。
 このAさんは、そのすなちゃんが大物族の...といっているくらいの方だから、推して知るべし、である。

 ちなみに、僕は小物を呼ぶ男なのだけれど...

 車中では、そんなすなちゃんとAさんの景気のいい話や、はたまたゴルフの話など。北灘湾は連休前半の不調から脱して、調子がよくなっていることもあって、話題も明るい。
 すなちゃんとAさんの間で、一匹長寸で、勝った方がうどんをおごる、という話をしていたので、これに乗る。何年やっても(年に1〜2回だけど)カセ筏素人の僕。また大物族と小物族では分が悪いけれど、運もあるからね。


 北灘湾。レンタルボート清家に到着。
 荷物を船に積み込んでから、夜明けを待つ。


 出船。
 
 船を養殖コワリにつながっているブイのロープに掛け、いよいよ僕の2009年初釣りスタートだ。・・・まさか、これが納竿ということはないと...思う...

 トモにすなちゃん、ミヨシにAさん、間に僕、という釣り座。

 

 ダンゴを作ろう。
 前回まで使っていたダンゴベースがなくなった、ということで、すなちゃんも試行錯誤の様子。
 紀州マッハ攻め深場も考えたけれど、ダンゴをすなちゃんと違うものにすると、すなちゃんの釣りが参考に出来なくなるので、素直にすなちゃんのまねをする。

 北陸チヌ1箱。35〜50mの水深の北灘では、やはり高比重のベース材がいい。
 これに毎度おなじみオカラダンゴ。荒挽きサナギ徳用2kgと地アミ。
 さらに、家の倉庫にあった、広島湾での筏釣りで使い残したチヌパワームギを一袋持ってきていて、これをすなちゃんの制止を振り払って混ぜる。
 チヌパワー系の集魚材は粘りがあるから...というのが制止の理由。だけれど、僕はチヌパワームギとオカラダンゴが大好きなので、この忠告はスルー。それに使わないと、帰りに持って帰るの、重たいし...
 もっとも、チヌパワームギはそれほど粘る集魚材ではない、という思いもある。なにせ、フカセとはいえ、いつも使っている餌だからね。


 竿はいつものがまチヌ筏中硬調1.2m。リールはチヌジャッカー。ラインはフロロの2号。針はチヌ針6号。
 いつも、ラインは2.5号を巻いていたと思うのだけれど、なかなか上手くチヌ当たりを拾えないので、今回は2号に落としてみた。
 その話をすなちゃんにすると...「切られるぞぉ〜」、と予言された。


 ダンゴにサシエ、さらにオキアミを数匹包んで、投入。少し浅めのポイントだけれど35m。そこそこ時間が掛かる。


 何度かのダンゴ投入。何かがダンゴを触っている。しかし、ボラ当たりではない。

 まぁ何もいない、という状況ではないので、なんとかなるかな。

 ・・・と、その段階では比較的楽観的に考えていた。たぶん、全員。そう、おそらく北灘湾で竿を出す人全員が。なにせ、前日爆釣しているのだから。


 釣り。いや、魚というのは、本当に不思議なものだよね。
 昨日釣れた、と聞いても、まったく釣れない日がよくある。何が影響しているのか解らないけれど、魚が口を使わなくなってしまう。

 この日の状況。水温が前日より1度くらい上昇しているという変化が影響したのか?
 低いにしても高いにしても、水温の急激な変化は、間違いなく魚の食いに影響を及ぼす。これで落ち着くと、翌日はまた調子がよくなったりするものだけれど...こればかりは魚に聞いてみないとわからない。


 状況はなかなか上向かない。
 朝まずめの大型ゴールデンタイムは無常に過ぎていき、なんとなく嫌な予感がしてくる。

 そう。なにより、いつも煩いくらいに食いついてくる真鯛がまったく顔を出さないし、さらに空針にまとわりついてくるアジもいない。どうしたんだ?北灘!


 ただ、ダンゴ当たりだけは続いていて、ボラも混じり始めて、少しずつ雰囲気はよくはなってきている。

 ここで僕の頼りないアワセ!
 おお?こりゃ本日初チヌは僕か?小さそうだけれど...と浮かせてくると、少し黄色い魚体が見えた。「あ、キビレだ」というと、「ヘダイだ」とAさん。よく見ると確かにヘダイだ。
 ヘダイは瀬戸内海では(というより、広島湾界隈では)見かけない魚なので、この魚への反応は鈍くなるのだ。


 久しぶりの魚だったので、嬉しげにストリンガーに掛けようとしていると、「お?そんなんキープするんか?」とすなちゃんのおちょくりにあったので、「そんなわけないでしょ!」といってリリース。
 「空気抜いてあげた?」と聞かれて、「あ!」。時既に遅し。

 浅い場所での釣りが常日頃なので、釣り上げた魚の空気抜きをする、という癖が付いていない。
 「まぁヘダイは強いから大丈夫やろ。」とのすなちゃんの言葉にホッっとする。


 「ボラ、釣ったらあかんで」

 と、すなちゃんに車の中からずっと言われてた。しかしね、紛らわしいアタリ、僕には判断できないんだよね。明らかにノベンノベンとしたボラアタリなら何となく解るけれど、ときどき、カツンとしたアタリもあって、ついついアワセてしまう。

 今回のポイントは、いつもの内湾ではなくて、湾外に近い場所。
 このあたりのボラは相当強烈だ。ボラなのに、なかなか底が切れない。なんなんだ、コイツは。

 そう、やっぱりボラを掛けている僕だった。
 そして、慣れない短竿でヘタクソな竿捌きを演じていると、中層で切れた...予言どおり。
 「底、さんざん荒らして、切られたらいかんわ」 すなちゃん
 「やっぱり顔みんとねぇ」 Aさん
 「だって、しょうがないじゃんねぇ。ヘタなんだから。」 僕の胸の内。

 ともかく、これでは万が一で本命ばらしてもいけないし、それにボラの場合、早く底を切らないといけない、ということで、すなちゃんの予備リールのチヌジャッカーから2.5号ラインを巻いたスプールを借りて、糸を交換する。これでちょっと安心。


 結局、その後もさんざんボラを掛けて、腕が怠くなってしまう僕だった。

 ただ、本命アタリが少ない上に、わりと紛らわしいアタリを出すボラが多かったものだから、すなちゃんもAさんもそれなりにボラを掛けていた。この現実に僕はホッとするのだった。

 ただただ違うのは、二人ともボラでもスムーズなやり取りで浮かせてくる。僕のようにアタフタしていない。


 釣れない。なんとなく、こりゃダメだな、という空気が漂っている。

 今日は、翌日から仕事、ということもあって、遅くとも19時のフェリーに乗りたいということでお願いしていた。道路の混雑が予測できないところもあるけれど、安全係数をとって考えると、14時半には竿を畳まないといけない。
 いつものように夕のマヅメは釣れないのだ。
 しかし、そこまで釣ったとしても、今日はダメな気もするのだけれど...

 エサ取りにハゲが混じっていることは、雰囲気で解っている。ダンゴからサシエが抜けると、すぐにかすめ取られているし、オキアミを吸われたようなつつかれ方をされることもある。

 「ハゲ、掛けたる」と宣言するすなちゃん。
 そして、その一投で、チヌ針6号でハゲを掛けるすなちゃん。相変わらず凄い人だ。
 いつもながら、この人の腕というかセンスには感心する。おそらく、どんな釣りをしても及ばないだろう。

 ちなみに、余談だけれどゴルフも滅茶苦茶上手い。僕のいま使っているドライバーはすなちゃんに貰ったものなのだけれど、僕がいつの日か95を切ったら、さらに別のドライバーを貰う約束をしている。ただし、こちらは僕がロクマルを釣る以上に難しいことかもしれない...はっきり才能はなさそうだし。


 そして...
 この日、一番いい雰囲気が出ていた時間帯だと思う。

 はっきりとした固いダンゴアタリが見えている。
 巻き上げたオキアミが、すぱっと切れたようなさわり方をされている。

 チヌ、間違いなくいそうだ。

 ダンゴを落とす。
 着底。ノベンノベンというボラアタリのあと、ガツガツとしたチヌっぽい団子アタリに変わる。

 サシエが抜ける。歯切れのいい穂先の押さえ込み。バシっと(本人イメージ。たぶん、人がみたらへなちょこ)アワセを入れる。

 ヌルヌルしたボラの引きでなく、ときおりガンガンという首を振る衝撃が腕に伝わってくる。

 「これ、チヌっぽい」
 僕が言わなくても、すなちゃんもAさんもそう思ってこちらを見ている。

 「50くらいはあるんちゃうか」とすなちゃん。

 さてさて...

 ようやく浮いてきたでっかい顔のチヌ。たしかに50cmくらいはありそうだ。


 タモですくい上げる。

 

 サイズは、やはり50cm絡みというところか。

 

 釣りが終わった後、下船して検寸したところ、実寸50.5cmだった。

 初チヌで50cm(若干)オーバということで、非常に気分よし。

 すなちゃんの釣りの邪魔をして、写真撮らせて、あげく、カメラを預けたままストリンガーに掛けたりして、折角の雰囲気の出ている時間にすなちゃんの邪魔をしたのだった。


 そのあと、しばらくしてからAさんがチヌを一枚。納竿近くになって真鯛を一枚釣った。


 これで終了。時間が経つにつれ、どんどん雰囲気が悪くなって来ていて、僕も粘る気にもなれず、さっさと竿を畳んだ。


 この日、外湾、内湾ともに絶不調だったようで、レンタルボート清家のHPの釣果情報を見ても、6日は僕のチヌと、43cmを頭に...という情報しか出ていない。
 また、案の定、それ以降は爆釣モードに入ったようだ。

 いやいや、本当にタイミングが悪かったなぁ。


 ただね...状況がよかったら、僕がうどんをすなちゃんにおごって貰うことにはまずならなかったと思うんだよね。

 お勧めのセルフサービスのうどん店で、美味しいうどんをご馳走になり、後部座席の僕はうつらうつらとしながら、予定の19時より一便早いフェリーにのって四国を後にした。

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海と波の掲示板より引用
 ●北灘
 置き竿事件から早2年、5/6 優さんが北灘に来た。
 結果から申しますと 優さんの2009年初チヌは 50.5cmでした。
 私はまさかのボーズ。。。引退やな。。。
 で、優さんとの北灘シリーズ【田中優海、北灘を釣る!チヌ編】は 今回で完結とな りました。
 次回からは 【新・田中優海、北灘を釣る!真鯛編】をお届けします。



 まぁそういわんと、また北灘チヌで遊んでくださいね。すなちゃん。
 来年は真鯛でもお邪魔しようと思いますけど。
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 そんな感じで僕の初釣りは終わった。
 釣れなかったけれど、やっぱり釣りは楽しい。

 すなちゃん、Aさん、ありがとうございました。





エピローグ

 今回は、帰りも柳井港からJRで帰ることにしていた。
 さきの19時のフェリーというのは、JRで帰る場合のギリギリのフェリーなのだ。山陽本線もこのあたりになると、兎に角本数が少なくて不便だし、折角フェリーターミナルと近接している駅だというのに、フェリーの時刻との連絡はお互いにまったく考えていない。
 JRもフェリーも、もう少し相乗効果というものを考えられないものだろうか。

 ただ、17時50分三津浜発のフェリーは連絡がよかったので助かった。

 いつもはクーラーを二つ持って行っていた。60〜80リットルクラスのクーラーを持っていないから。
 しかし、すなちゃんに比べれば貧果といいながらも、それでもこれだとあまりに重い。バリアフリーという意識の全くないJR柳井港駅の階段を、魚満載(の予定だった)のクーラを二つもって上がる勇気がなかったので、クーラーは一つだけにしていた。
 しかも、いつも使っているもの。

 結果的には、これ、幸いだったなぁ。なにせ、チヌ一匹と、すなちゃんにもらったハゲ一匹しか入ってないんだから。
 あやうく空のクーラを持って帰ることになるところだった。

 よかったよかった...訳はないわなぁ...楽しかったからいいんだけどね。




 


納竿は久しぶりの海

 まず、朝から手間取った。
 朝といっても、家を9時に出よう、と思っていたので、釣りに行くにしては随分遅い朝なのだけれど、早朝満潮、14時前が干潮潮止まりのこの日、12月29日の潮だと、それほどの釣り場の選択肢はなくて、毎度のことながら、5分下げからの下げ潮3時間限定の釣りをしようと考えていた。

 で、何に手間取ったか、というと...まぁ予測の範囲ではあったのだけれど、ロッドケースのファスナーやらフローティングベストのファスナーやら、すべてが固着して動かない...

 ロッドケースの方は、CRCを吹きかけてプライヤーで摘んで引っ張っていたら、なんとか動くようになった。しかし、このプライヤーやらペンチやらで引っ張るのは気をつけないといけない。過去に何度か引きちぎったことがある。

 困ったのはフローティングベストの方。ブーツは今回は冬用のものを使うので、こちらはファスナーがついていないので問題ない。がまかつの普通のブーツのファスナーはきっと動かないけれど、問題は先送りしよう...
 そのベストなのだけれど、見事にすべてのファスナーが固着して、腹側にあるポケットは開けっ放しだし、胸のポケットは閉じた状態で開かない。

 開けっ放しはまだいいのだけれど、胸には、片方に浮き、もう片方にはハリスが入っている。ハリスは予備があるからまだいいけれど、浮きは困る。

 しばらく格闘して、どうにか浮きが取り出せるようになって、腹側のポケットは締まるようになった。
 あとは右胸のハリスが入っているポケット。これがまったく動かない。いつも、ここにはハリスと針ケースを入れているので、一番開閉するところなのだけれど、だからこそ塩が沢山固まったのかな。

 ・・・ふと考える。このフローティングベストを固着させている塩はどこの海の塩だろう?
 北灘にはこのベストは持って行っていないから...あ、男鹿、秋田の海の塩か。

 ちなみに、男鹿に行ったのは2008年の11月。きしさんと楽しいゆったりとした海を楽しんだ。

 僕はバカ正直なほど釣りに行くと必ずこうして駄文を連ねているから、ようするに、フカセは1年以上行っていない、ということになる。フカセ以外でも北灘で掛かり釣りをしただけだし。
 ということは、だ。北灘で釣った1枚が2009年唯一のチヌになっているというすさまじい状況。


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 今年は本当に妙な1年だったな。
 正直にいってゴルフにはよく行ったけれど、これは間違いなく才能が無くて、やればやるほどヘタになってきている。
 けれど、すなちゃんにもらったウッズ仕様(SUMO5000+白マナ...同僚には分不相応と笑われているが...)のドライバーは、滅多にまともに当たらないけれど、当たると結構ぶっ飛ぶので気持ちがいいし、酒を飲まないこともあって、普段オフでは付き合わない会社のいろんな人と話もできて結構面白い。

 4月以降は一日も休暇を取っていない。では、仕事でストレスが溜まりまくりか?というと、決してそうではなくて、知的財産協会の委員会活動で仲良くなった他の会社の人と出張ついでにあちこちの旨いもの食いにいったり、採用活動やら、CSR活動やら、本業以外のウエイトが異常に高くて、これが変化があって実に面白い。そういえば、上海も黄浦江の遊覧船や豫園も面白かった。
 その分、本業はなかなか掃けないけれど、まぁそれはそれでね。
 結構幸せなサラリーマンだなぁ、と最近は思っていたりする。

 ゴルフも、こういった面白い出張も、かなり休日を食っていくから、釣りにいけない理由の一つでもあるのだけれど...
 別に釣りだけじゃなくてもいいかな、と思っているこの頃。
 41歳になって、この歳なりの楽しみ方もあっていい。釣りはおそらく一生やっていくだろうから、焦ることはない。そう思う。それにもう釣りで何かを目指そうなどとは思ってもいないし。

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 まぁいいや、と、もう諦めて右ポケットは開かないまま車に放り込む。


 予定の9時を20分過ぎて出発。

 10時30分には釣り場の駐車場に到着する予定だったのだけれど、これじゃあ無理だなぁ。

 久しぶり...ええっと、2008年6月11日? HP「いつも海を見ていた」を参照すると、そうなっている。1年半も周防大島に行っていなかった。あれほど、毎週通っていたのにね。
 どんどん釣り場が削られて、固められて、海はアジだらけになって、チヌには寄生虫が着いて、すっかり気持ちが萎えてしまって、あまり行きたい、という気持ちにならなくなったのもあるだろう。寂しい話だね。
 あ、いや、12月にみかんを取りに行ってるな。そういえば。釣りはしていなけれど。
 

 久しぶりの行程は結構長い。実は今回大島に行く主目的は、やはり友波さんに手配してもらった大島産みかんを取りに行くため。スーパーで買うみかんとはひと味違うからね。
 ちなみに、僕が子供の頃は、実家にもみかん畑があって、親戚総出でみかん狩りをしていた。あのころ食べていたみかんに似た味がする。
 ただ、もぎたてのまだ青いみかんの味は味わえないけれどね。
 みかんも、桃も、ブドウ棚もあって、枝豆は畑で取れたものを山盛り食べていた。幸せな子供時代だったんだなぁ、と今になって思う。

 こういう子供時代、割合呑気で楽しいサラリーマン時代。本当に幸せな時代に生きている。


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 NHKの「坂の上の雲」。とても楽しみにしていて、1部が終わって来年年末の2部が待ち遠しいところ。映像化されると、やはり原作の雰囲気との違い(僕が感じる違い)に戸惑うところもあるけれど、それはそれとして面白かった。
 この1部の時代が日清戦争のころだから、今からたかだか115年ほど前。

 同じ頃放映されていた「仁」というマンガ原作のドラマ。これも面白かったけれど、この時代背景がたかだか140年ちょっと前。

 100年生きる人間もいるのだから、この時間の短さには今更ながら驚かされる。

 今を生きている僕らからすると、今に近い時代が標準で、それが続いているような錯覚を起こすけれど、確かに続いてはいるけれど、その変化のスピードはとても早くて、確かに、僕たちが子供の頃の時代背景と今の時代背景はまったく違うのも事実。

あの頃の海が普通だと思っている僕たちの世代。だけれど、本当に幸せな時代に海で遊ばせてもらったんだな、と思う。
釣り道具もそこそこ進歩して、また値段も安くなって、子供の手にも届いていた。
そして、海ははっきりとした季節感のなか、豊かに僕らの冒険心や、狩猟本能や、胃袋も満たしてくれていた。

 例えばこの先50年後。一体どんな世界に娘は生きているのだろう。

 その時代にも、せめて釣りに行ける程度の幸せが続いていればな、と心から思う。


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 途中でキザミッコ1.5kg(こんなのが出たんだ)と0.5kgのオキアミブロック(サシエ用)、さらにチヌパワームギを買って大島へ。

 久しぶりの大島。何の違和感もない。やっぱりいいなぁ。

 しばらく走って車を停める。

 潮風が鼻を擽る。やっぱり海はいい。

 この日しかない、というくらいの小春日和(というにはちょっと遅いか)。穏やかな波に太陽が煌めいている。波音が心地いい。

 車から荷物を引っ張り出す。あ、クーラーに保冷剤を入れるのを忘れた...まぁ釣れないだろうからいいか。

 フローティングベストを出して...やっぱり気になってまたファスナーと格闘する。
 10分ほどの格闘でなんとか開いた。

 しかし、すでに時計は10時45分。これじゃあ、2時間ちょっとしか竿を振れないな。

 砂浜に降りて、ひたすら歩く。
 緩やかに打ち寄せる波音を聞きながら、時折目を上げて、透きとおる海からキラキラ光る水面を過ぎて、もやめいた島影を視界に入れる。本当にいいな。海は。

 ゴロタ、岩場を越え、15分ほどで釣り場に到着。


 暖かいので、少し汗ばんでいる。

 さて、マキエを作ろう。


 キザミッコをバッカンにあけて海水を入れる。少し馴染ませてからチヌパワームギを入れ、混ぜた後、さらに海水で調整。遠投の必要がないので適当でいい。

 サシエ用のブロックは未だ潮が入っている潮だまりに放り込んでおく。海水温がまだ高いので、すぐに表面は溶けるだろう。表面からサシエを取りつつ、最後には全部崩してマキエに混ぜるつもり。


 マキエを作ると次はポイント作り。ここは沖に払い出す潮にマキエを乗せて、沖からチヌを寄せてくる釣り場だ。

 しっかりマキエを入れてから仕掛けを作り、合間合間にさらにマキエを入れておく。
 実際に仕掛けを流している間だけが釣りではなくて、こういう仕込みが結構大事。

 この釣り場、昔は潮がかなり速かったのだけれど、だんだん潮の流れが緩やかになってきているような気がする。とくにこの日は大潮ではあるけれど、昼の干潮は潮位がさほど下がらないし、そんなに潮速は上がらないだろう。
 浮きは2Bでいいかな、とポケットを探ると、2Bがない。そういえば、どこかで流したような気がするなぁ。予備くらいもっておけよ、と、我ながら思う。

 まぁいいや、と、プロ山元浮き3Bをセット。道糸に2Bを打って、ウキ下は3ヒロに設定。ハリスにはG5とG7を段打ち。
 流れのある釣り場では、ハリスの段シズの調整でサシエのコントロールをするような釣り方が好きなんだけれど、こういう細かなことばかりやるから、大きな魚が釣れないのだろうなぁ、と、最近、ちょっと思ったりしている。

 さて、釣ろう。

 仕掛けを投入して、潮上にマキエを潮流に対して縦に入れていく。張りでサシエをときどき浮かせながら、マキエがこれに追いついていくイメージ。

 お、なんか来たぞ。
 さっそくひょこたんだ。磯ベラね。

 相変わらず磯ベラだらけ。竿2本先のシモリに仕掛けを合わせたら15cmほどのメバルも来た。
 が、最近高級魚のメバルは続かない。
 3匹ほどでも釣れたら持って帰ろう、と思って、一旦足下の潮だまりに入れておいたが、続かないので逃がした。

 磯ベラ、それと草フグも少しエサを触っているようだ。

 チヌの雰囲気はでないな。

 帰りにみかんを取りに行ったときに友波さんと話をしたのだけれど、チヌの落ちもどんどん遅くなって、今では1月2月になっているような気がする。
 昔はこの12月は結構釣れていたのだけれど、落ちの時期が遅くなった分、あまり楽しめない時期になってしまったかな。


 ただ、そうこうしているうちに、サシエが残った。

 お、いるじゃん。

 30mほど流したところで道糸が少し速度を上げて走り、竿先が引き込まれる。
 「おお、来ちゃった?」

 どうやら、すっかりボケているようで、我ながら緩慢な動作で竿を立てて寄せに掛かる。

 こりゃぁ小さい。潮に逆らって寄せているのにまるで重量感がない。竿を立てて矯めると、スルスルと浮いてきた。
 30cmあるなしのサイズだな。

 足下まで寄せてきて、よいこらせ、と持ち上げたら...落ちた...

 瞬間でチヌは姿を消した。

 「ははは、落としちゃった」と磯の先端で一人で笑ってるアヤシイおじさんだった。


 まぁいいや。
 しかし、この時期にこのサイズが最初に出るようじゃ、やっぱりダメだな。


 またひょこたんだらけに戻る。

 ちょっと沖を釣った方がいいな、と考えて、潮下に仕掛けを投入。綺麗に潮目が出ているので、ここを流していればまぁもう一枚くらいは釣れるだろう。

 少しして、また道糸が走る。先ほど掛けたところよりさらに沖。今度はちょっと真面目にアワセを入れる。
 先の一枚よりは少しは重いけれど、それにしても30cmちょっとのサイズだろう。

 藻場に突っ込まれるのも面白くないので、竿を立てて一気に浮かせ、海面近くを引っ張って寄せてくる。

 タモはいらんなぁ。よいこらせっと。

 

 33cmのチヌ。

 11時20分ころから竿を振り始めたので、この時点でもう13時を回っている。

 潮止まり前の時合いに入るか?と思いきや、これ一枚であとはまた黙りになってきた。

 潮が徐々にゆるみ始め、左から右に差し込むようになってくる。こうなると、この釣り場はイマイチになってくるんだ。

 それでも、久しぶりの海で実に気持ちがいいし、15時まで竿を振り続ける。


 さて、帰ろう。面白かったな。
 周防大島の南側の誰もいない磯。澄んだ海。太陽。少し冷たい冬の風。

 海に向かって手を合わせて、お礼を言って歩き始める。



 友波さんと久しぶりに顔を合わせる。
 仕事中とのことだけれど、僕に合わせて少しの間家に帰ってきてくれていた。

 友波さん、いい顔になってきているなぁ。季節季節の海で、季節季節の魚を釣って食べる。理想的な釣り師だよね。
 ノッコミには一度竿並べようね、とか、凪ぎのときはだいたい海に出るけぇ、また船で出ようや、とか。海で遊ぶ緩やかな約束をする。

 景気動向とか、そんな話で盛り上がるのは、二人ともすっかりおっさんであって、また真面目に生きている、ということなんだろうね。


 コンテナ3つ分のみかんと、小さなチヌ1枚を乗せて、周防大島を後にした。

 次はいつ来るかな。
 ・・・暖かい1月か2月の冬の日に、比較的ボーッと浮きを見つめるのもいいけどな。

 1月もすでにCSRやら知財協やらで休日がかなり潰れているし、ちょっと予定つかないなぁ。
 そんな感じで、まぁ来年も緩やかに、もうちょっと海に行きながら、元気に一年を過ごしたいなぁ、と思った。




 

のっこまない気持ちだけれど、海はいいよね

 年末に竿を出してから、なんだかんだで気がつけばノッコミも終盤という時期になっている。
 大型連休まっただ中。本当に長い休みで、うちの会社は11連休だ。

 何をする、という予定がある訳ではなく、気持ち的にもここのところ落ち着かないことがあって、かなり悶々とした日々をとりあえず生きていた、といった、なんとも外面的には暗い、逆に言えば、内向きにエネルギーを使い続けた時間連休になった。

 40年以上生きて、20年弱働いて、この歳になると、いわゆるミドルエイジクライシス...そんな感じもしている今日この頃。考えてみると、釣りの方も20年くらいやってきて、少々クライシスなのかも...

 誘われるがままの連休中平日ゴルフも、割と大きな悩みを2つ乃至3つ抱えていて、まったく集中できる状況にもなく、また、やってもやっても上手くならない・・・どころか、最近はやればやるほど悪くなるという状況から脱することもできず、若干の自暴自棄感(注:ゴルフに対してのみ)を抱きつつ帰ってきただけだった。

 まあ、11日も休みがあるのだから...ということで、とりあえず、お手軽な地磯に竿を振りに行ってみることにしよう。

 5月4日。
 7時半ころ家を出て、例によって周防大島へ。
 最近はたまにしか行かないので、いきなりコンビニエンスストアができていたり、場所を移動していたりして、ちょっとびっくりする。

 オキアミはキザミッコ、集魚材はチヌパワームギ。あとは倉庫にあったオカラダンゴを混ぜる、という、何の工夫もないいつもと一緒のエサを準備する。

 この時期なら北向きのポイントで竿を出してもいい頃なのだろうけれど、寄生虫がいたら嫌だなぁ、と思って、南向きのポイントに向かう。

 車を停めて、5分ほどのお手軽地磯へ歩く。
 12時半を回った頃が満潮潮止まりだったと思うので、未だ9時過ぎのこの時間...案の定、足下は相当浅い。藻も多くて、面倒くさいなぁ...と思ったりもするけれど、浅場で藻が多いのがノッコミのポイント選定の条件なのだから、これは仕方がないんだよね。

 それにしても、気持ちが釣りに対してのっこまない。
 海を前にすると、そもそも海が好きな僕としては、やっぱり海はいいよなあ〜、と素直に思うのだけれど、南風が左斜め前方からそれなりに吹いてきて、しかも藻に道糸が取られそうな面倒な状況を考えると、別に竿出さなくてもいいんじゃないか?とすら思ってしまう。
 結果も予測できるしね。このポイントとしてタイミングが合っていれば、まぁ満潮潮止まり挟んで4〜5時間やれば5〜6枚。タイミング外していれば、0もあり得るけれど、いいとこ、40cmが混ざって3つ4つ釣れるかな、という感じだろうか。

 そんなことを考えながら、そうはいってもやっぱり一応まだ釣り師なので、竿を延ばさずに帰る、という選択肢は結局のところない訳で、さて、どう釣ろうかな、と考え始める。

 マキエを作って、辺り一面に撒く、撒く、撒く。たっぷり撒いておく。
 ノッコミの時期の釣りは、仕掛けよりも、これが大事。兎に角チヌを広範囲から集めてしまうのが先決。またそのためには、エサ取りにしっかり口を使って貰うことも大切。アジがいたら終わっちゃうけど、アジがいたら、どのみち面倒な釣りになるだけだから、まぁアジ釣って帰ればいいや、と乱暴に考える。

 さて、仕掛け。ここは浅いので完全フカセでいいのだけれど、ちょっと風もあるので、結局いつものプロ山元浮きG2をセット。ハリスも2ヒロ取ると邪魔くさいのは解っているのだけれど、まぁいいや、と2ヒロとって、最上段にG5のシズを一つだけ打つ。
 この時期だから、残留浮力なんぞシビアなこと考えなくても、チヌがいりゃ食ってくる。

 さて...

 とりあえず、駆け上がりの少し沖辺りから入るしかないよな。

 竿をゆったりと撓ませるようにしながら振る。浮きの朱色が意志を持って飛んでいく。

 マキエ。
 この時期は点、線を意識したマキエワークよりも、面を意識したマキエの方がいいと思っているので、緩やかに右に流れる潮に対して、割とおおらかなに浮きの周辺、とくに手前側に広くマキエを数投打ち込む。

 おお、エサ取りの反応はいいみたい。
 小メバル、磯ベラが中心のようなので、今日はあまりエサ取りのことは考えなくて良さそう...と思っていたら、コッパグレがすぐに混ざり始める。サイズは15〜20cmというところ。
 もう少し大きかったらこれと遊んでもいいんだけどな〜

 少し多めにマキエを入れながら、釣るより寄せる、の1時間。


 2時間ほど過ぎた頃、薄いけれど、なんとなくの気配。
 風があるのでこの浮きだとちょっとコントロールが面倒だし、マキエも最近釣り自体さぼっているので、今ひとつ精度が低くて、上手くチヌをコントロールできていない感があるなぁ...などと考えていたら、浮きが沈んだ。


 おお、来た来た。
 ブゥン、っと大きく竿を潮下側に振って合わせて、あとは寄せろ寄せろ。

 藻に入る。ゆするようにして引っ張りだして、それでダメなら少しテンション緩めて、またゆするように...お、出た出た。面倒だからさっさと取り込んでしまえ。

 海面に日差しを受けてキラキラひかる銀鱗が現れる。久しぶりだね。

 玉網に滑り込んだのは37cm。う〜ん、実にいつものサイズだなぁ。


 潮はまだいい感じに左から右、若干払い出し気味に流れている。この潮だろうな、このポイントは。


 しかし、暖かいな。というより、ちょっと暑い。
 今年の天候、気温の変化の仕方は、本当にややこしいものだったね。

 半袖で過ごせるか、と思ったら、コートが必要になったり。出張でもコートを持って行くかどうか、とても悩ましかった春だった。

 ただ、花粉が殆ど感じられないこの春は、実に快適だったことも確か。
 コワイので薬は飲んでいたけれど、マスクなくても外で過ごせた、なんてのは、ほとんど記憶がない。釣りを真剣にしていれば、この花粉のない春は、本当に助かっただろうな。


 なんてことを考えていたら、また浮きが入った。
 今度は32cmのチヌ...だから、またこのサイズかよ...ふぅ。面倒なので引っこ抜く。

 ボラの大群が...面倒なことにマキエを拾っている。邪魔くさい。非常に邪魔くさい。
 と、思っていたら、案の定引っかけてしまった。
 サイズがさほど大きくないので、切れない。ああ、邪魔くさい。緩めたり張ったりしているうちに、どうにか外れてくれた。


 そのあと、潮が変わる。まだ潮止まりまで時間あるんだけど...この潮変わりで急に雰囲気がなくなってしまった。

 何れにしても、今日のこの海、チヌを一枚拾うとエサ取りの反応が復活する、という状況だから、決してチヌが濃い状況ではなさそうで、まあ後は、潮止まり前後で1〜2枚拾うくらいかな。という感じだ。


 今日はコンビニでお握りを買ってきたので、これを食う。ローソンの焼き鮭ハラミは旨い。ローソンのちょっと高いお握りシリーズはお気に入りだったりする。

 一応、飲み物はポカリだ。

 上げ止まり前の時合いに期待したが、まったく気配は出ていない。

 結局のところ、下げ始めの時合いで32cmを一枚追加して、やっぱり反応が薄いので、竿を畳むことにした。

 

 まだ、ノッコミ終盤、という雰囲気の魚体ではなくて、いずれもそこそこ美味しそう。
 そもそも、水温自体も計ったわけではないけれど、あまり上がっていない感じだった。確かに今年はいつまでも暖かくならなかったし、雨も多かったからな。

 この様子なら、普通に5月いっぱいはいけそうだけれど...まぁ、もう来ないだろうな。ノッコミの間は。


 そんなのっこまない気持ちを抱えていたからか、ストリンガーを磯に忘れて帰ってしまった。

 木枠にロープを撒いて、フックを10個ほどつけているのだけれど、あれ、また準備するの面倒なんだよな...まぁいいか...翌日また大島に釣りにいったついでに回収する、という選択肢は頭に浮かんで来ないしね。


 僕の最近親しくしている知人が、連休にインド洋のモルディブに行っていて、携帯メールで写真を送ってくれた。
 別世界だね。海。写真からでも、色だけでなく空気の違いが感じられる。
 確かに楽園だな。

 瀬戸内の海。

 どちらがいいとか悪いとか、そういう比較は無意味で、僕はこの瀬戸内の海が大好きだし、そしてモルディブの海にも憧れる。
 テレビの中でしか見られないモルディブの海だけれど、その知人を通して、それが現実にある世界だ、ということを感じることができる。本当にある海なのだから、いつかは僕も行くことがあるかも知れないしね。

 あそこの海、ここの海、知らない海、知ってる海。
 磯場の突端を回り込めば、そこには別の海が広がるように、飛行機で飛んでしまえば、やはりそこにはまったく別の海が広がっている。

 ああ、いろんな海を見てみたいな。

 南紀の海や、男鹿の海が身近になったように、いろんな海を感じてみたい。

 釣り?それは「ついで」、いいかな。釣りを通せば深く知ることができる海もあれば、ダイビングすれば、その方がその海を感じられる場合もあるだろう?
 いろんな接し方をすればいい。

 そんな「いつも海を見ていた」も何れ...