ゆっくりと、再開かな...


久しぶりに海を見てきた

 ふぅ。こうしてホームページを書こうとするのも久しぶりだな。
 ブログにはアップしてみたけれど、何かブログだと足りないような気がして、もう一度こちらに書いてみようかな、と、ふと思った。
 書き忘れたことも思い出したしね。


 
 2010年5月9日。
 最後にチヌを釣りに行った日であり、最後にチヌを釣った日。

 あれほど毎週のように通っていた周防大島にも、あれから数えるほどしか行っていない。

 2007年9月8日。
 最後に紀州釣りをした日。

 2013年8月13日。
 8時前には家を出ようと思ったのだけれど...そのためにわざわざ前もってレンタカーを借りていたのだけれど...ごそごそしていたら8時半。

 今住んでいるところから前住んでいたところまで30分はかかる。しかし、これ、分かっているようで理解していない。さらに、この夏の時期、こんな時間に 出発したら快適に走れるはずもない、ということも頭から抜けている。
 ブランクというのはいろんな形で顔を出すもんだな。

 朝6時半ころが干潮潮止まりだから、まぁ10時半に釣り場につけば上げ5分から満潮前の時合を釣って、下げはじめの時合を釣って少しして帰ればいいか な、と思っていたのだけれど、そんなこんなで釣り場についたのは11時半。大島って、結構遠いし、大島って、結構広い。
 前は慣れてたから、なんとも思わなかったんだろうな。

 前夜、近所の釣具屋で紀州マッハ(青)と紀州マッハ攻め深場(緑)、それと細挽きサナギ粉を購入。当日の 朝も釣具屋には寄るつもりだったのだけれど、久しぶりの釣りでわくわくして、なんとなく釣具屋にいって、目についたので買っておいた。2007年から変わ ら ず集魚剤コーナーの一角を占めているマッハに一安心。ついでにスーパーにいってアオハタコーンを購入。
 家に帰って釣り道具を引っ張り出していると、なんとごろごろとアオハタコーンが...ひどいものは5年前くらいに賞味期限が切れ、新しいものでも3年前 に切れている。全部で10缶ちかく。ほんと、どれほど釣りに行くつもりだったのか...思わず苦笑い。
 とりあえず缶詰だし、3年前に賞味期限の切れたコーンを持っていくことにする。

 さて、当日の朝に戻って、釣具屋ではオキアミとストリンガーを購入。
 2010年の最後の釣りのとき、釣り場にストリンガーを忘れて帰ったからね。10本のストリンガーを木枠に巻いたロープにつけていたのだけれど、もうそ んなにストリンガーもいらないから、5本のストリンガーとロープと小さな巻枠のセットを購入。

 釣り場の波止近くに車を停め、車から釣り道具を降ろす。これすらなんだか懐かしい。

 重たい道具を担いで(マッハが重い...)、波止の中央あたりに陣取る。先行者は先端と、根元近くに一人ずつ。さすがにこの暑さだから、釣り人も少ない な。

 しかも、まさにこれから一番暑くなる時間帯にやってくる僕は少々馬鹿かな...


 

 紀州マッハ青と緑をそれぞれ半袋弱ずつ入れる。ここにサナギ粉を入れて...ん?何か足りない...あ、押し麦忘れた!...やはりブランクだなぁ。 まぁマッハに押し麦は入っているし、この真夏の海だと割れすぎることはあっても割れないことはないし、過剰に目立ってくれる必要もないので、まぁいいだろ う。
 3年前からバッカンに入りっぱなしだったコーンの空き缶で少しずつ海水を入れて、手触りを確かめる。

 だいたいこんな感じだったかなぁ。

 クーラに座り、ひざの上に左手を固定して、右手で体重をかけて押しこむように握る。団子の芯に向けて力を掛ける。そうしないと締まらない。力が逃げる。 何度も握る。いきなり先行きが不安になる。
 う〜む...何時間もこんなことやっていられるだろうか...

 ともかく、20回ほど握り込んでから、下手投げで放り投げてみる。無理なく、15m〜20m沖くらいをイメージして。ちょうどその中間あたりに着水し、 トッポーンという音が響く。

 なんとかなるかな?

 あと2つほど握って、放り込んでおいてから、仕掛けをセットする。

 ロッドケースには、がま磯アテンダー1号、チヌ競技SP1号、プレシードSP1号が入っているが、考えてみるとアテンダーも随分古い竿になっちゃってる んだろうな。僕的には最新なのだが...

 団子にはやっぱり...トップだけ今はもうおそらくないであろうULガイドにしたプレシードSPを使う。
 リールはこれまた古いBBXテクニウム、アテンダーと同じころ買ったBBSタイプ1、それと...やはり団子には...前と同じように古いダイワのレ バーブレーキ付リール、エンブレムを取り出す。

 紀州釣りはあまりラインを出さないし、まだまだこれで十分...と、まぁよく持ってるなぁと思う。この竿も、リールも。

 浮きは...
 メインで使っていた棒浮きが入っていた浮きケースが見当たらなくなっている。引っ越してきたとき、チヌ釣りの道具だけは忘れないようにしたつもりだった のだけれど、忘れてきたのかも知れない。あの家にはとても立ち寄れないし、立ち寄る気にもならないので、どうしようもないな...まぁ僕の残したものなん か、とっくに捨てられているかも知れない。

 幸い、普段使わない棒浮きが20本ほど放り込まれた筒は引っ越しの荷物に入っていて、これまた幸い、まだあまり使っていなくてケースに入ったままの永易 浮きssがここにあった。

 唯一の永易浮きなので、こいつを破損するとたちまち困ってしまうが、とりあえず、あってよかったよ...

 しかし、どうするかなぁ。永易浮き、買うと高いんだよな〜
 3500円だもんな。一本。
 永易さんの利益になる、と思えば、まぁいいのだが、なんといっても、あと2年半は結構お金がないし、お金がないのに旅行に行ったりするから、結構大変。 へたすると瞬間で破損したり流したりしてしまう永易浮きを注文するのはちょっと躊躇したりして...
 以前、永易浮きもどきを手作りしていたときに買ったヘラ浮き「いずみ」が3本ほど筒に入っていたから、また手作りするかなぁ。

 と、そんな永易浮きをセットする。
 まず、釣り研の半円シモリ玉を逆向き(凹んだ側が上)に通し、浮きには浮きスイベルなどつけずに、そのまま道糸を通す。そしてさらに半円シモリ玉を、今 度は凹んだ側が下になるように通す。半円シモリ玉の凸側が浮きの糸通し穴を挟んで対向する形だ。こうすると、浮きすべりや絡みが少なくなる。
 その下に、少し抵抗にはなるけれど、ゴム管を通して、それからサルカンを結ぶ。

 ハリスはトルネードVハード1.25号。3年間フローティングベストのポケットで眠っていたが、まぁずっと暗い所にあったから大丈夫だろう。これを2ヒ ロ。

 針はオーナカットチヌ1号。おもりは一切つけない。

 浮き止め糸を竿2本+1mくらいにセット。

 さて、準備できた。
 
 引っ越し時に持ってこれなかったもので気づいたものがあと2つあって、それは、クーラのハンドルに取り付けるタイプの竿受けと、クーラの上に敷くマッ ト。
 とくに竿受けは、紀州釣りには欲しいところだが、ないものは仕方ない。

 竿尻をクーラの上でお尻のしたに敷いて固定し、まずは空バリを団子に包む。
 握る、握る、握る...

 ・・・う〜む、ちょっと不安だ。絶対締まってない気がする。

 竿を手に取り、浮き止めがリールのスプールから出るまで糸を出して、穂先に道糸が絡まないよう、竿先を少し左に向けて倒して、右手で団子を投げ... あ...

 案の定空中爆発。かっこ悪い...

 こりゃ、だめだ。諦める。そして、悟る。今の僕にこの団子のセッティングでは握れない。場を荒らすだけだ。
 素直に団子に水分補給して、もう少し握りやすくする。

 握りやすいといっても、やはり握るのは大変で、この調子だと1時間も持たないのでは...と左手が心配している。

 投げる。今度は爆発せずに着水はした。

 だが、団子が着底した、と思われるところから、浮きに変化がでない。こりゃ、すでに割れてるな。

 回収。また空バリを団子に包み、握り、投げる。今度は浮き止めを70cmほど詰めたので、浮き止めに引きずられて浮きが沈む。団子の真上あたりまで移動 したらおそらくトップが海面に出るはず...と思っていたら、全部出た。・・・団子、割れてるな。

 全然団子が持たない。こりゃだめだ。さらに諦め、さらに悟る。このセッティングでも今の僕には無理だ。

 やむなく、紀州マッハ緑を追加投入。水も入れる。緑は粒子が細かいため、とても握りやすい。握り込むと締まっていく感覚がよく分るから、気持ちも楽だ。

 随分握りやすい団子になった。ちょっと安心。

 しかし、そうはいっても、記憶に残っている団子の固さになるまで握り込もうとすると、もう相当ムキになって締め込まないと無理で、正直、相当きつい。
 でも、今のこの海の状況は、相当、おそらくチャリコやベラなどの活性が高い。生半可な団子だとすぐに割れてしまうし、そんな状態じゃチヌは釣れない。

 頑張って握り、投げる。トッポーン。

 それでも1分は持たない。なかなかハードだ。

 少し気を抜くと、着底間もなく割れてしまう。

 空バリを団子に包み、投げてを繰り返して7投。投点を少しずつ変えながら、浮き止めの調整をして、とりあえず、棚、ハワセ幅は決まった。

 オキアミを針に刺し...と、ここでようやく思い出す。
 そうそう、団子は右手片手でつかんで、右手を開いて2つに割って、その割れ目に針を入れて、それから握るんだった。ルーチンが少しずつ戻ってくる。

 オキアミは瞬殺される。

 かれこれ、団子を放り始めてから1時間。汗だく。ペットボトルの飲料はすでに1本空になっている。

 コーン缶を開ける。この時期はやっぱりこれだよな。

 針に3粒刺して、団子を握る。

 団子アタリが完全に表現できているとはとても言えないセッティング。
 これは、団子が緩いこともあるだろうし、ハワセ幅、浮きの置き方など、どうもまだまだ、身体や感覚が馴染んでいないからだろう。

 けれど、気配は感じる。

 回収するつ、コーンが1粒だけ残っている。
 次は、コーンが一つなくなり、残りが潰れている。

 やはり、いるぞ。

 ここだぞ。

 さらにしっかり団子を握る。握った上にさらに握るくらいの勢い。

 トッポーン。道糸が水面を走り、浮きが引きずられ、団子が着底する。

 ほどなくして、軽い団子アタリ。さらに、ガツン、と、浮きのトップまで沈むような明確な団子アタリ。

 くるぞ...

 スーッと浮きが綺麗に入る。

 アワセ!

 ガツン!

 久しぶりだなぁ、この感覚。

 潮は満潮潮止まり直前。今日はさほど潮位は高くならないけれど、15mほどの底にチヌがいる。
 これくらいの水深になるとチヌに水圧がかかるから、グーンっと底を走るチヌ、そして首を振る感触は重量感が加算されてやはりたまらない。

 まぁ35cmくらいかな、と思いながら、とりあえず底を切ったら、あとは少し楽しみながらやり取

 海面下にギラッと銀鱗がきらめき、黒っぽいチヌが躍る。

 玉網を伸ばし、浮かせたチヌを掬う。

 

 チヌ。38cm。ほんと、立派な魚だよな。このチヌという魚は。

 今は時合なので、ここで畳みかけないといけないのだけれど...

 要領が悪い。とりあえず焼けた波止にチヌを置けないので、バッカンに水を汲んで波止にかける。これを3度。その間片手でチヌの入った玉網を 持っている。針が外れていないので、クーラーに預けた竿が落ちる。

 針を外してストリンガーを...と思ったら、そういえば2010年の最後の釣りでストリンガーを海に忘れて帰って、今日は来る途中に買ってい たのを思い出し、ストリンガーをパッケージから出して、使い方にちょっと悩んで...あ、タオル...チヌを掴んでストリンガーにようやく掛け...あ、 写真撮らなくちゃ...デジカメがないので、手の糠を海水で流して、首にかけたタオルで手を拭いて、iphoneを取り出して撮影...ようやくストリン ガーにかけて一段落。

 本来、こういう無駄な時間をこの短い時合に持ち込んではいけない。確実に釣れるはずのチヌを釣り逃す。まぁそれも含めていまの自分の力ではあ るのだけれど。

 コーンを刺して、団子を握る。

 雰囲気は続いているのだけれど、団子が持たない。

 ここでさらに時間を掛けたくはないのだけれど、これではだめだ、と判断して、緑マッハを追加し、少しサナギ粉も追加し、水分追加して、より握 りやすい団子にする。

 これで随分団子の持ちはいい感じになったが、どうも決め手にかけて、本アタリが出ない。

 ボケがあればな...けちけちせずに、せめて練り餌を買ってくればよかったな(魚玉があったら買おうと思っていたが、釣具屋になかった。あれはなくなっ たのかな?)...

 こうなると特効薬はさっきから足元をカサカサ動いている気持ち悪い生き物しかない。

 波止の端近くのやつはすぐに逃げるからダメ。波止の中央あたりをうろうろしているやつに狙いを定めて、パン、と手ではたき、弱らせてから捕まえる。

 針に刺して団子を握る。しっかり握る。もう左手が痛くて痛くて...でも頑張る。

 投げる。

 しかし、アタリがうまく出ず、フナムシが半分になって帰ってくる。

 コーンを4粒刺して、団子を握る。

 明確な、かたい団子アタリ...

 割れた...浮きが沈む。

 アワセ!

 ガツン!

 よっしゃ!さっきより大きいぞ。

 水圧を味方にしてチヌが底を走る。

 底を切ってからも、心地よい重量感と手応えが竿越しに伝わってくる。過剰に時間をかけ、ひざを使った少々オーバーなやりとりで浮かせる。

 玉網に綺麗な銀鱗が収まる。


 

 先のチヌより厚みがあって重量感あり、形もいい、綺麗なチヌ。40cm。

 再びあたふたしていたら、潮がとまり、時合が終わった。

 次は下げはじめの時合だが、とりあえず手返しは続ける。

 それにしても腕が辛い。

 そして、とにかく暑い。だんだん気分悪くなってくる。

 両方が相まって、竿を握って上げ下げするのも辛くなってきた。もう握力がない。
 団子は力任せに押さえつけるので辛いながらに握っているが、竿の方は、握ろうと思っても力が入らない。

 まだ、釣り始めて2時間半なんだよな〜 ほんと、体力とか厚さ耐性が落ちてるな〜

 潮が動き始める時間だが、このころから海面にさざ波が立ち始めた。強くはないが向かい風だ。

 どうも、こういう細かなところで感覚が鈍っているようで、道糸がやたら穂先に絡まる。折角の時合なのに、団子を投げた後に穂先に道糸が絡まっているのに 気づいたり、どうもうまくいかなくなった。

 辛いのを我慢して必死で団子を握っているのに、投げた後にそれが無駄になる、というのは精神的にきつい。

 そんなこんなの中、うまくことが運んだ時に、軽い団子アタリのあと、浮きが沈んだ。

 アワセ!ガツン!

 先の40cmと同じくらいの重量感が竿越しに伝わる。


 ところで、1時間ほど前から、僕に左方向15〜20mのところで、家族連れがドボン、バシャバシャと飛び込んだりデカい声を出したりと、泳ぎ回ってい て、ときおり僕の方に浮き輪にのってやって来ようとする子供を視線で威嚇しながら釣っていた。

 君らも折角の夏休みなんだろうけれど、こちらも貴重な時間なんだからね。


 と、そんな家族連れがひん曲がった竿をあやつる僕に注目している。

 が、こんなときに限って...竿先が跳ね上がる。

 ・・・あっちゃ〜、かっこわるい...

 しかし、掛りが浅いとか、そんなことはなかったと思うんだけどなぁ。

 仕掛けを回収してみると、針の上あたりでハリスが切れている。結び目がほどけたとか、そういう後ではなくて、プツリと。

 こりゃ、フグがかじってたかな。

 もう少し頑張ってみる。が、ベラが釣れた。

 そしてチャリコが釣れた。

 ああ、時合、終わったな。とても夕方の時合まで粘る体力はないので...もともと4〜5時間やれればいいだろう、と思っていたんだから、こんなもんか な。

 海に来ると、帰りたくなくなってくる。ああ、こういう気持ちが戻ってきた。
 今日はそれが確認できただけでよかった。



 また来よう。

 暇がない、車がない。だからたぶん、月に一回釣りに来るのも難しいだろうけれど、釣りに行きたいという気持ちが戻ってきたのが、我ながら嬉しい。

 東の方では、団子仲間の竹下さんが釣りに復活している。若狭ではkabeさんからの釣り便りが届く。南紀のsomeさんも少し前に竿を出していた。北に いけば、きしさんは相変わらず周りを巻き込んだ釣りを楽しんでいる。

 まぁ、みんなそれなりに歳をとって、忙しくはあるが、落ち着いても来ている。ゆっくり海と関わっていければいいな、と思う。

 ちなみに小さなチャリコ(15cm)は、本来リリースサイズなのだけれど、鯛めしを炊いてみたくて持ち帰った。そういう楽しみ方も加えていきたいと思 う。

 チヌの40クラスは、独りでは扱いきれない(食べきれない)大きさで、刺身だと片身の半分で十分。
 今回は、この2枚から、刺身、チヌ茶漬け、コブ締め、西京焼き、アラの塩焼き、アラ汁を作り出して、とくに西京焼きは美味しかった。日持ちもするし、な かなか使えそう。
 たくさん持ち帰れないし、持ち帰ってもやはり多いので、いろんな食べ方を工夫しないといけないな。

 独り暮らしと釣り、独り暮らしと料理。

 さて、これからどうなっていくかな。

 まぁ、楽しめるように楽しもう。少なくとも、ちょっとでも釣りに行けるってことは、幸せなはずだしね。


秋の気配と反省(あまりに...いい 加減すぎたか...)

 一度釣りにいくと、また行きたくなる。そういうものだろう。
 予定のない日にレンタカーを予約しておけば、まぁそのうえで天気がよければ行けばいい、という感じかな...などと考えつつ、9/6の19時50分に格 安レンタカーを借り出す。
 前日から借りると1日料金×2だと思っていたのだけれど、調べてみると、24時間であれば3千円ちょっとで借りれることが分かり、閉店の10分前に借り て、翌日の同じ時間までに返せば釣りには充分!ということで、この作戦?で行くことにした。

 前日夜から車があるのだから、朝は早く出ても構わない。しかも、9/7の土曜は朝9時半ころが満潮潮止まりの潮回りなので、8時には竿を出した方がよい のだが...

 まあ、どうにかなるだろう、と、深く考えずにいつも会社に行くのに起きる時間と同じ時間...6時40分ころ起きて、支度して、それでも前回よりは随分 早く、7時半には出発した。

 前回は夏休み中+お盆休み期間中だったため、道路は交通量が多く、周防大島までに相当時間がかかったのだけれど、今回はそれほど車は走っていない。

 前夜、アングル五日市店で紀州マッハ攻め深場(緑)を買おうと思ったら、品切れだった。
 このときは、まあ、朝かめや釣具の通津店ででも買えばいいか、と思っていたのだけれど、ここに寄ってみたら、そもそも紀州マッハを置いていない。む むっ...

 何も買わずに店を出て、今度はかめや釣具大島店に入る。ここにもマッハは置いていない。

 かめや釣具は紀州マッハを扱うのやめたのかな?やれやれ...

 最後の頼みの綱はアングル大島店。ここにないと結構困るぞ、と思っていたのだけれど、ここには青も緑も置いてあった。ふぅ...よかった...では刺し 餌を...と思ったら、今日は前回の反省を活かして練り餌も買おうと思ったのだが、なんとも品ぞろえが悪い。食わせ練り餌チヌと生ミックしかない。
 フカセなら食わせ練り餌があればいいのだが、紀州釣りにこの練り餌は向かない。生ミックもな〜、と思ったのだけれど、仕方ないので生ミックを買ってお く。

 アミエビも買っておいた方がいいかな。と悩む。130円くらいなので買っておけばいいのだけれど、大半捨てるようになるので、こちらはまぁ要らないか、 と判断。・・・たぶん、ちょっと間違えた判断。

 前回と同じ場所に行けばまぁ釣れるだろう、とは思うのだけれど、そういうのが嫌で、あえて違う場所を目指す。ここも水深は満潮時だと17〜8mはある場 所。前回の釣り場に比べると、経験的にエサ取りは少なく、魚影も薄い。型はそこそこ期待できる場所。
 まぁ季節も季節だし、薄いとはいえ、エサ取りもいるだろう、と思っていたのだが...

 釣り場に着くと、釣り人の姿がいくつか見えるが、だいたい外向きに底かごにアミエビを付けてアジを狙っているか、エギンガーか、という感じだ。波止内向 きに釣り座構える人はいない。

 重たい荷物をえっちらおっちらと運んで、波止中央内向きに釣り座を構える。

 すでに10時を回っていて、潮は満潮から下げに入ってきているところ。潮位は高い。そういえば大潮だ。

 紀州マッハ緑と青を3:1程度にブレンドして、細挽サナギ粉と、今日は押し麦も買ってきたのでこれを混ぜて団子を作る。

 握り具合を確かめるように団子を握る。前回もきつかったが、今日もきついな。
 1つ握って自信なかったため、もう少し水分量を増やしてもう1つ握る。こんなもんかな。

 前回同様の永易浮きをセットして、空バリを団子に包み、タナ取りに入る。

 おおよその水深は把握できているので、棚自体は3投ほどでほぼ決定。さらに2投ほど、団子の握り具合と持ち具合を確かめる。

 前回より明らかに団子の割れが遅い。

 前回の釣りは、ある意味、団子をきっちりと締めていれば釣れた、という釣りだが、今日は団子の固さだけの話にはならなさそうだ。

 とはいえ、棚ボケさせては意味がないので、きっちり握る。

 オキアミを刺して投げてみる。団子への反応は見えない。割れたあと少し置いておくとオキアミは盗られた。心配するほどのことはないかな?

 しかし、次はオキアミが残って上がってくる。海の中の様子がどうもつかめないので、少しハワセ幅を詰めて、浮きの反応を伺ってみる。が、よく分らない。

 もう少し浮力の大きい、つまりサイズの大きい永易浮きが欲しいところだが、生憎このssサイズしかない。

 オキアミが安定して取られてくると、コーンを刺してみる。コーンには無反応。
 生ミックを刺すと、綺麗になくなる。
 フナムシを刺しても綺麗になくなる。

 ほとんどアタリが浮きに現れない。

 生ミックを刺しているときにハリスに噛み傷がついて帰ってきた。つまりは底にはさほど多くない草フグがいて、こいつらが刺し餌に絡んできているだけのよ うだ。

 それでも...

 この日唯一のアタリがあった。

 刺し餌はコーン。団子が割れた後、コーンにしてはゆっくりと...しかし完全に浮きが入るようなアタリが出た。

 アワセ!

 しかし、一瞬の抵抗のあと、無抵抗に仕掛けが帰ってきた。

 あちゃ...

 仕掛けを回収すると、なんと、スイベルの下にハリスがない。

 なんともみっともない。結びがおかしかったのか。

 溜息をつきながら、ハリスに針を結び、スイベルに結ぼうとしたら...
 なんと!スイベルのハリス側の輪っかが無い。

 おいおい...長いこと釣りをしているが、これは初めての経験。2〜3年放置していたスイベルなので、腐食でもしていたのかな。

 つまりは、スイベルの下の輪っかが抜けてしまったわけで、さっきのものがチヌであれば、こいつのせいでチヌは2ヒロのハリスとスイベルの輪っかを引き ずって泳いでいることになる。
 かわいそうなことをしたなぁ。

 結局、その日はそれだけだった。

 15時ころ、腕も疲れたので竿を畳む。

 つまりは、潮変わりの時合には一切竿を出さず、エサ取りも草フグが少しいるだけという無反応に近い海に向かって団子を投げ続けて、魚の顔をまったく見な いまま終わった一日だった。

 足元にはスズメダイと小さなハゲがいたんだけどね。もっとも、潮が下がってくるとスズメダイも見えなくなったけれど。

 サビキでアジを狙っていた人たちもほとんど釣れていなかったようで、エギンガーだけが小さなアオリイカを時折拾っていた。

 ここのところの妙な天気、つまり雨のせいで、ちょっと海がおかしくなっていたのかな...などと、自分の腕と、何よりいい加減な釣りをしたことを棚に上 げて考える。

 いや、棚に上げようと思ったけれど、やっぱり時合も無視して、なんとなく釣っていたのだから、この結果も当たり前かな、と、頭の中で結論づく。

 唯一、この日得たものは、思わず笑ってしまうような腕の模様。

 曇っていたのであまり気にせず、右腕だけ少し袖を捲っていた。ひと時、晴れ間が覗いた。
 その結果がこれであった。

 やれやれ...みっともないなぁ。



でもね、曇りがちの一日だったとはいえ、明らかに季節は変わった。
日が射せばそれなりに暑いけれど、日が陰れば、明らかに夏ではない冷たい風が感じられる。
暑かったな。この夏は。

帰り際、ひときわ冷たい、雨の気配を含んだ風が吹いた。

帰り道、フロントウインドウにポツリ、と雨。そして本格的な雨に。

一雨ごとに季節が変わる。秋になる。僕はもうすぐ45歳になる。四捨五入すれば50だ。歳なしだね。

まったく、そんな年齢に自分がなるとは想像していなかったし、今も実感はない。けれど、もしかしたらこれからの10年が人生で一番濃い時間になるのかも知 れない。

まぁいろいろあったここまでの時間の積み重ねの上だ。気負わず、しっかり歩こう。こうやって、たまに海を見れるようにもなったしね。


冬が来る前に...

だいたい月に一度くらいのペースで釣りに行けるといいな、などと考えていたの だけれど、最近、週末に家にいること自体が少ないので、これに天候や、また疲れ具合など合わせると、そううまくはいかない。

結局10月は行きそびれて、11月9日の土曜、よし、行こう、という気持ちになった。

こうやって、気持ちが「行こう」と言っているときにいく。これくらいがいい。
以前は、とにかく釣りに行けるときはすべて釣りに「行かねばならない」という脅迫概念的な気負いがあったのかも。

フカセをやりたい、という気持ちも結構あるのだけれど、団子の材料が余っている。紀州マッハの青と緑(攻め深場)が半分くらいずつ。
もう紀州釣りも今月くらいが楽しめる限界だろうと思うので、このまま来シーズンまで置いておく、というのもどうか、と考えた。

前夜から借りておいたレンタカーに荷物を積み込んで、7時半ころかな?出発する。
随分朝が早くなった(笑)

目指すのは前々回、つまりチヌが釣れた場所。

途中、釣具屋に寄る。余った紀州マッハを使い切るのが目的ではあったのだけれど、自分の今の実力というか腕の耐久性だと、ほとんど緑マッハにした方がよか ろう、と思い直して、緑マッハを買い足した。こうすると、また緑マッハがあまるのだけれど...

今回はアミエビも買っておく。刺し餌は前回使い残した生イキくん半パック(オキアミ)と生ミックがあるし、賞味期限切れのアオハタコーンはたくさんあるの で、何も買わない。

9時半。釣り場に到着。結構風が吹いている。前回の釣り座に直交した石波止からやろうかと思っていたのだけれど、南東風がまともに横から当たるので釣りづ らそう。結局前回とほぼ同じあたりに釣り座を構えた。
波止には、フカセをやっている人が2人。エギングやっている人が2人。少したってから底かごサビキの人が1人入ってきた。まぁ問題ない間隔が保てている。 僕が一番付け根よりだ。

団子を作ろう。と思ったら、サナギ粉が少ししかない...う〜む、ちゃんと確認すればよかった。
まぁいいや。

緑マッハと青マッハを2:1くらいでブレンドして、残っているサナギ粉の半分くらいを入れる。アミエビを遠慮がちな一掴みほど入れる。ちょっと多いけれ ど、まぁ11月だしな。

アミエビのおかげで随分握りやすい団子に仕上がった。粘り気がでるので楽だ。

前回、前々回と同じセッティングで仕掛けを整えて、タナ取りに入る。少し詰め気味のハワセになるまで、5投。

団子の割れは、やはり前回のポイントより随分早い。1分ちょっとというところか。
少し水を追加して、もう少し握りやすくして、もう少しだけ団子が持つようにする。

さて、まずは刺し餌はオキアミで第1投。

トッポーン

オキアミは盗られたり残ったり。ベラがちょっといるくらいかな。

案の定、10投前後で12〜3cmのベラが掛かる。

やはり8月とはまったく海の状況が変わっている。随分大人しくなったな。当たり前だけれど。
昔は毎週釣りにいっていたから、海の状況変化は逐一わかっていたけれど、こうやってたまに釣りに来ていると、ちょっと変化に戸惑う。前回の感覚をどうして も引きずってしまうところがある。

静かな時間が過ぎる。
生ミックを刺しても、オキアミでも、浮きにはほとんど反応が現れない。オキアミが盗られたり残ったりという状況が続く。コーンを刺そう、という気になれな い。

足元にはもうフナムシはいない。

釣り始めは10時ころだから、1時間半ほど経ったころだろうか。

少し団子アタリが見え始めていて、そろそろ来るかな、と思っていたら...

オキアミで永易浮きが前アタリのあと引き込まれる。
アワセ!

う〜む...期待値よりそうとう軽い手応えだ。

隣りのサビキ釣りの人が「チヌですか?」と聞いてくる。
「たぶん。でも小さいです。」

案の定、30cmないかな?というサイズのチヌ。引き抜く...と思ったら引き抜ききれずに波止に当たる。う〜む、格好悪い。再度引き抜く。

ストリンガーにかける。

オキアミがコンスタントに盗られ始めているので、ここでコーンを開ける。

さて、どうなるかな...

・・・と、思ったら早速反応。

軽い団子アタリのあと、コーンらしいはっきりとしたアタリだ。

アワセ!

今度はチヌの重量感が竿に乗ってくる。40cmはあるな。

竿の弾力だけを利用するようなやり取りで、底を切った後はゆっくり浮かせる。
水面下でチヌが反転して、竿を絞り込む。

ほぉ、なかなかのサイズだし楽しませてくれるな〜

2度ほど反転を楽しんで、空気を吸わせてから玉網を手にする。

「大きいですね〜」という隣人の声。

僕は、別に不愛想にしたいわけではないのだけれど、釣りをしていると自分の世界に入っているので、急に話しかけられると愛想よく対応できないところがあっ て、ちょっと申し訳ない気もする。

「いや、まぁ食べるにはいいかな」なんて、感動のない返事を返す。

p013-6

それから1時間くらい経っただろうか?
これはおそらくアミエビの入れすぎが原因なのだろうけれど、団子周りに気配はあるのに、浮きにアタリが出るような刺し餌への反応が出ないので、頭を悩ませ ていたところだった。

ハワセ幅を大きくしたり、詰めてみたりと試行錯誤していたとき。ちょうど、思い切って詰めてみてから試そうとしていた時だった。

「ちょっとよろしいですか。」

ん?もしかして...だとしたら、どう対応するかなぁ...

案の定だった。

昔、月間釣り情報というローカル釣り雑誌があって、今は月間釣り画報という名前に変わっている。

その釣り情報時代に愛読していたのは、もう10年?もっと前かな?たぶんもっと前だな...という頃で、もう長いこと見ていない。
割と面白い雑誌で、初心者のころはこれに結構刺激されて、チヌ釣りもこの雑誌でその気になって始めたという事実もある。

対応に悩むのは、この雑誌、契約記者が釣り場を巡って取材して、ポイントを事細かに雑誌に載せてしまうので、下手をすると、その釣り場に釣り人が集り初め てしまい、昔の僕のように毎週釣りに行く人間にとっては、それは相当邪魔くさいことになってしまう...という気持ちがあるからだ。

ただ、以前、週刊釣りサンデーの地方記事を誌面の半ページくらい書いていたけれど、このとき、渡船屋をやっている釣具屋に取材しようとして、冷たくあしら われたこともあり、ちょっと記者の人の気持ちを考えてしまったりする。

基本的に、フカセをやっているときは、まず取材に合うことはない。ほとんど人の来ないような地磯で釣りをしていたからね。
波止場だとそういう機会もありそうなものだけれど、僕の場合、なぜか驚くほどその機会はすくなかった。確か、何度かはあったのだろうけれど、まだ釣れてい なかったりで、取材されたことは過去1度だけ。そのときは船釣り、かつ会社の人数人だったので、気にせず答えた。

で、今回。

「釣れてますか?」

無愛想に、そこに魚、引っかけてますよ。と答える。

「上げてみてもいいですか?」

どうぞ。

なんだか、割と感じのいい人だな。

「月刊釣り画報ってご存知ですか?読まれてますか?」
 「釣り情報のころは見てたけど、もう長いこと見てないです。」

「取材に協力していただけますか?」

まぁここは有名な波止場だしな...別にいいか、と考えて、取材に対応することにする。

まだ、先のチヌのサイズを測っていなかったのだけれど、記者の人がメジャーを当ててくれた。

45cmだったらしい。その前の小さいのは29cm。

「大きいですね〜」と何度も言ってくれる。まぁ悪い気はしないけれど、それほど大きくもないので、ちょっとお世辞だよな〜などと...世の中を斜めに見て いるな、俺。

竿、仕掛け、エサなど、細かに聞かれて、一通り答える。

竿はがま磯プレシードSPで、これはもう20年以上前の竿だ。ちょっと恥ずかしいな〜などと思って、いや大した竿でなくてボロボロなんですけど...と 言ったら、いや、これいい竿じゃないですか、と言われる。

この手の契約記者は、だいたいが釣り師だ。どうもこの人はフカセ師のようで、大会にも出たりしているようだ。ならこの竿も知ってるよな。もともと、この竿 は定価は7〜8万円した竿だもんな。

写真撮られて、粗品のタオルもらって、取材終わり。

ちょっと失敗したのは、写真をあとでメールで送ってもらえばよかった、ということ。
先日、ミラーレス一眼を買ったのだけれど、これは釣りにもってくるのはもったいないから、iphoneで写真を撮っている。それはそれで別にいいのだけれ ど、iphoneは薄くて自分で立たないから、セルフタイマーで魚をもった自画像を写せない。
送ってもらえばここの載せれたのにな〜

さて、そのあと。

やはりアミエビの入れすぎだったようで、仕掛けを回収しようとしたら魚の手応え。思いっきり居食いしている。
そこそこのサイズだったのだけれど、これは思った通り外れた。

今更団子のセッティングを変えるほど時間もないし(そろそろ帰ろうと思っていた)、仕方がないので、ハワセ幅を思いっきり大きくとって、じっくり食い込ま せるかな、という対応をする。

永易さんなら、こんなときどうするのだろう?
もっともこんないい加減な団子のセッティングはしないだろうけれど。

このあと、20cmちょっとくらいのキビレが掛かったが、持ち直しできずに、バッカンの中の団子が切れた。まだマッハはあるけれど、もう今日はやめておこ う。
一人で食べるには十分すぎる釣果だし。

p013-7

幸い、風は少しあったけれど、薄曇りがちで太陽にもあまり焼かれず、寒いと思うような時間もない、心地よい一日だった。ほとんどをTシャツの上にポロシャ ツ一枚で過ごせた。

でも、もう次はこんな恰好で釣りは当然できない。もうすぐ冬が来る。もちろん次に釣りにくるのはもう冬だ。年内は釣りは無理かな?結構予定も入っている し。

次はフカセだ。ちょっと楽しみだな。

ゆっくりと再開した釣り。ゆっくりとした紀州釣りも楽しかった。腕は辛かったけれど。

今、こうやってパソコンに向かっている。
外は季節を変える雨が降ったり止んだりしている。ゆっくりとした午後だ。

昨日は刺身、アラの塩焼き、魚汁をいただいた。コブ締め、西京焼き用に漬け込みもしている。
今日は29cmを塩焼きかな。

いただきます。


季節感の喪失と釣りに行ける程度の幸せ

2月1日。土曜。
天気予報を見る。晴れそうだ。しかも気温も14〜5度くらいまで上がりそう。

潮汐表を見る。大潮最終日、満潮、10時45分ころ。地磯には最高の潮回り。

レンタカーを予約する。いつもの格安レンタカー。
天気を確認しないとレンタカーを予約するのはリスクがある。雨や風の強さを押してまで釣りに行こうとは思っていないから...ちょっとそこまで気持ちは戻らないし、釣りは楽しくやりたい。

金曜の夜、会社帰りに釣具屋により、道糸を買う。
ブランクが長いので、前に使っていたものは売っていない。僕の好みは、基本的にフローティングタイプで、かつなるべくしなやかなものだ。
シンキングラインやサスペンディットのラインは、僕的にはあまり意味が分からない。いや、ことフカセに関してだけれども、ラインが海中に沈めば、竿でラインをさばこうとしても、海面を切って持ち上げないといけないので、仕掛けに無用な力が掛かってしまう。
フローティングラインでも、どっちにしても使っていれば水を吸って沈んでしまうのだから、それ以上沈む必要はないと思う。
風の影響は海面も受けるから、どっちにしても風にラインは押される運命にあって、それをうまく操作するのが釣り師の腕だと思うのだけれど。

レンタカーを借りて家に帰り、道糸を巻き替える。
少しわくわくする。
いい傾向だな。

釣りに行ける程度の幸せが訪れますように...というのは、長いこと新年のあいさつにしている僕の言葉だけれど、この幸せが帰ってきているのかもしれない。
気持ちが落ち着いてきているのかな。

5時に起床。
釣りに行くのにこんなに早く?起きるのも久しぶりだ。
身支度をして、荷物を抱えて部屋を出る。

さて、行こう。
やはり相当暖かい。寒い日は冷凍マグロのように氷をまとった車を目にするが、今日は全くそれがない。

一路、周防大島へ。

しかし...なかなかスタート地点が以前より大島から遠い、ということに慣れないな。

途中、釣具屋によった時点ですでに空が明るくなってきた。少し焦る。

何せ、今日目指している釣り場は、車を停めてからの距離自体は比較的短いのだけれど、途中が相当険しくて、一部切り立った岩場の壁をわずかな足がかりを 頼って越えていかなければならず、岩質も剥離しやすくて気を遣う。できるだけ潮位の低い時間に行きたいし、あまり潮位が高くなりすぎると、そもそも行けな い。
なので、ちょっとでも早く、磯歩きをしたいのだ。

釣具屋でまたブランクを感じる。
まず、無用に集魚力を上げてしまっているチヌパワー麦を手にする。新MP酵母だか何だか知らないが、無駄に集魚力が高い集魚剤はうっとうしいだけなのだけれど...
大会などで他人と競うときはまだしも、独りで誰もいない磯で釣りをするときは、集魚力など気持ちでよくて、さばきやすさとか、拡散性とか、沈下速度の幅とか、そういうのが重要なのだけれど。まぁその意味ではチヌパワー麦はお気に入りではあるので、仕方がない。

僕はこれにオカラダンゴをブレンドするのだが、オカラダンゴが見当たらない。あれほど定番商品だったはずなのに...この店に置いてないだけなのか、廃盤になったのか...

まったく、不自由するなぁ。

5時間ちょっとの釣りだとすると、チヌパワー麦だけでも十分か、と諦めて、オキアミ...キザミッコと、サシエを取るための0.5kgのブロックを買う。

さて、急げ。

駐車スペースに着いたのは、もう7時半ころ。
途中、朝日を拝みながら運転していたので、当然、もう完全に明るくなっている。
あと30分早く着きたかったのだけれど。

冬場のフカセ。そのための身支度。なんだかくすぐったくなるような懐かしさを感じる。

防寒着のズボンを履き、フェルトスパイクブーツを履く。今日は暖かそうなので、冬用のブーツではなくて、普通のブーツ。
上着を着て、ヒップガードを付けて、フローティングベストを着る。

背中に集魚剤をいれたリュックを背負い、バッカンとロッドケースを手に歩き始める。

ゴロタ浜を歩き、磯場に着く。さて、ここからだ。

ここのところ視力がどうにも落ちてきていて、こういう微妙な磯歩き、磯越えは少し怖い。
さらに、完全に足腰も弱くなっているしバランス感覚も少し落ちているようで、おっかなびっくりの磯越えになる。
ああ、昔は磯の猿、と呼ばれていたのだが...情けないなぁ。

ところどころで海中落下の恐怖を感じつつ、最後の難所を越えてフラットな釣り座に到着。
汗ばんでいる。
ふぅ。

バッカンにキザミッコを開けて、海水を入れ、よく水を吸わせる。先に粉を入れてしまうとオキアミの水分を吸ってしまい、オキアミが沈みにくくなってしまう。
チヌパワー麦を一袋入れて、海水を足しながらよく混ぜる。

ブロックのオキアミは水汲みバケツに放り込んで、サシエが取れる程度に解凍しておく。

撒き餌を周辺一帯に撒く。割としっかりめに。ほら、ご飯の時間だぞ。
冬場やノッコミの時期は、場の活性をあげておくのが勝負を早めるコツの一つだろう。

仕掛けを作る。

アテンダー1号。久しぶりだな〜
BBXタイプ1という、今ではもうこのリールも過去のものだろうけれど、こいつを装着。

さらに昔使っていたBBXテクニウムはチヌ釣りには最高だった。あれはフリーにしても少しブレーキが効いているので、逆転して道糸がもつれるということが なかった。チヌで完全にフリーにしないといけないようなことはまずないし、必要があればそうもできたから、本当に気を遣わなくていいよいリールだったな。
このタイプ1はフリーにすると完全にフリーになってしまうので、ロックしておかないと道糸がもつれてしまう。
とても邪魔くさい。余計なことに気を遣わずに釣りをしたいものだ。

とりあえず、ここは水深も割と深いので、プロ山本浮きBを装着。道糸にG2、ハリスにG5とG7の段打ちといういつものセッティング。

浮き下はとりあえず竿一本ちょっとくらいからスタートする。

さて、始めよう。

風は予報に反して北西から弱く吹き付けてきていて、潮も左から右へ、当て潮気味に弱く流れている。

まぁ、どうにでもなるかな、という感じ。そもそもここはそんなに潮が走るポイントではないからね。

第1投。15mほど沖に軽く仕掛けを放って、手前にある程度の面積を持たせつつ、手前に広がるように撒き餌を4〜5投。
投入した仕掛けを、馴染み具合を見ながら、少しずつ手前に引いて、撒き餌の帯のなかになるべく長く入るようにする。そして、馴染ませ、持ち上げ、また沈める。ゆっくりと、竿先に聞きながら操作する。

あれだけ長いことフカセをやってきたから、何も考えなくても、どうしたらいいか分かる。
遠投すると撒き餌のコントロールにはブランクが出てくるだろうけれど、ここはそれもないし、おおむね問題なく釣れそうだ。

釣れるかな??
魚の活性は低そうで、サシエはそのまま戻ってきている。

棚を矢引ほど深くして、ハリスのG5のガン玉をハリスの最上段に移動。G7をハリスのほぼ中心に。ハリスはちなみに2ヒロ。

釣り開始から30分ほど。

仕掛けが馴染んでしばらくして...ん?まさかこんなに早く食う予定ではないのだけれど...

しかし、明らかにアタリかかっている。竿先でかるく誘うとプロ山本浮きのオレンジっぽい朱色が海面下に引き込まれていく。

あれ、もう来ちゃったのか。

仕方ないのでアワセ!

グゥ〜ンっと竿先を絞り込む。叩く。

こりゃ、チヌだ。早いなぁ、早すぎるぞ。

心地よい引きを感じつつ、竿の弾力で一気に浮かせて玉網に綺麗な銀鱗を滑り込ませる。

1

チヌ、37cm

続く1投。
あれ、また来た...
2

チヌ35cm。

続く1投。

もういいから...

と、何故こんなに遠慮がちなのか、というと、ストリンガーのフックが5つしかなくて(昔は10つけていた)、あまり早く釣れすぎてしまうと、あとあと間が持たなくなるからだ。

できれば、キャッチアンドリリースはしたくない。かといって、独り暮らし、また帰りに友達にもおすそ分けしようかと思っているけれど、そこも独り暮らしなので、たくさん持って帰っても困る。

そんな遠慮がちな気持ちが通じたのか?次も間違いなく触っていたのだけれど、無事に?離してくれた。誘いもかけなかったけれど。

ゆっくり間を置きながら、なるべく釣れすぎないように注意しつつ、次の1投。

エサ取りがほとんどいないような状況なので、やはり馴染むまでは浮きに変化はでない。

が、また...仕方ないのでアワセる。

心地よいが重量感がない引き。

3

チヌ、32cm。なんだかだんだん小さくなるな...

これはいかん。このままだと1時間も経たずにストリンガーがいっぱいになってしまう。

あえて、今の釣れているセッティングを変える。もう少し型を大きくもしたいし。

浮き下を一ヒロ深くして、サシエを前回の団子のときに買った生ミックにしてみる。

見事にアタリが出なくなる。素晴らしい...

しかし、ここからアタリを出していくのが釣りなので、浮き下を変えながら数投試していると...仕掛けが馴染み切る前に浮きが斜めにシュっと入る。

ありゃ?これは...アワセてみると、手応えなく仕掛けが帰ってくる。針がない。
案の定、草フグだ。
練り餌は好物だもんな。こいつら。

足元にも草フグの姿が少し見え始めた。

この状況は、つまりちょっとチヌの食いが遠のいた、ということだろう。だから草フグが堂々とサシエに触り始めた、ということ。

サシエをオキアミに戻し、浮き下をさらに矢引ほど深くして、G7のガン玉をハリス最上段に移動させて、ハリス2ヒロは完全フリーな状態にする。

少し沖目に仕掛けを入れて、深めの棚になるべく沖で馴染ませてから、手前に誘いながら寄せる。

30分ほどして、またアタリが戻ってきた。

今日は仕掛けのセッティングがどうもうまくはまっているようだ。

4

32センチだったか35センチだったか忘れた。

次と次は魚の雰囲気を浮き周りに感じたけれど、アタリにならず。

さらに次。

またアタリ。アワセ!

それにしても、大した大きさではないけれど、そこそこ水深もあるので、このチヌの引きというやつは心地よい。
気分はいいのだが、これでとうとうストリンガーはいっぱいになる。

35だったか37だったか忘れた一枚が玉網に滑り込む。

針掛りが少し面白くなくて、上あごの奥の方にかかっているので、10cmほど浮き下を深めにする。

そして次の1枚。

これは35cmだったかな?33cmだったかな?

5

こうやって6枚目が玉網に滑り込んでしまった。
唇に掛かっている。場所もそんなに悪くない。

仕方ないので、すでにストリンガーに引っかかっているものと比較して、大きいのを残すことにする。

潮位がかなり上がっていて、もう元立っていたは波に洗われている。

満潮潮止まりまであと20〜30分くらいかな?

少し投点をずらして様子を見る。

2投目。

ユラユラっと朱色がにじむ。誘う...アワセ!

こいつはちょっと良さそう。竿を絞り込みながら走る。面白いな〜

ゆっくり楽しんでから玉網ですくう。

6

チヌ40cm。大したサイズではないが、この日釣れているチヌはすべて身が分厚くて、こいつはさらに体高もあって、重量感たっぷり。おいしそうだ。

ところで、こうやってHP更新するにあたり、昔はホームページビルダーを使っていたのだが、今はKOMPOZERというフリーウェアを使っ ている。どうもなれないからか使い勝手が悪く、写真も縦横比が勝手に変わってしまい、なんとなく普通に見えるように直しているのだけれど...何か写真が 変だとしたらそのせいなので、ご了承ください...と誰に言っているんだか...

ともかく、7枚目。

そして8枚目。
8

これは32cm。リリース。

潮止まりまでの、実釣3.5時間くらいで32cm〜40cmを8枚。
サイズは相変わらず僕らしいのだけれど、これが2月の釣りか?

温暖化の影響で、ちょっと海を空けている間に、さらにこのような状況が進行してしまっているようだ。

これはかつての12月頃の釣り。あるいはノッコミの釣りだ。

陽射しを受けるとちょっと防寒着が暑苦しいくらいの暖かさも2月には違和感があるが、それにしても、怖くなるような海の変化だな。

日本の美しい季節感が失われていくようで、寂しい。怖い。そんなやるせなさ。

潮止まり。

当て潮が緩み、ちょっとふらふらとした潮になる。

途端にアタリが遠のき、サシエも触られなくなる。

投点を変え、浮き下を深くしたり、浅くしたりしながら探っていく。

このあと、1枚掛けたいな、と思う。

思い出してみると、ここは上げ潮でよく釣れるが、下げ始めるとあまり食わないのだった。


お!
浮き周りに魚の雰囲気が出る。

浮きが滲み、沈む。

アワセ!

この日最後の1枚となったチヌが、小さいながらも力強く竿を叩き、玉網に収まる。

9

リリース。

その後はまったくアタリがでず、9枚釣ったら、ついでに「つ」抜けさせたら...などと思いながら、まぁ思い上がったらいかんな、と...

つまりは、たまにこうやって釣りに来ても、これほど楽しませてくれる豊かな海に感謝している。

本当にありがたいね。

帰りに友達「安芸海人」さんの家によって、チヌをおすそ分けする。「広島湾のチヌ釣り」の昔からの友達ですね。親子ほどの年齢差なのだけれど、お互いの理屈っぽい性格がうまく馴染んで、仲良くさせてもらってる。
ときどき、お宅にお邪魔して、おじさんの手料理?をいただいているのだけれど、なかなか僕の作らないようなものを作ってくれるので、楽しませてもらっているところ。

一緒に食べようよ、と誘われ、いったん家に帰って片付けて、レンタカーを返して、電車でまた安芸さんの家に向かう。

皮つき、湯引きしたチヌの刺身。37cmほどのチヌの尾頭付きの塩焼き。

いただきます。と命に感謝して、箸をつける。

さすがにこの時期のチヌは美味い。

素晴らしい海と命に感謝しつつ、また友達に感謝しつつ...また持ってきてね、といわれても、そんなに釣りに行けないしなぁ〜、などと思いつつ...よい一日だったな。