2015年2月21日。
予報では天気も良さそうだったし、南紀でkishiさんの釣りを見てからずっと考えていたことを実践したくなって、レンタカーを借りた。もちろん借り出したのは20日。
周防大島といえど、この時期になるとチヌがそこそこ釣れる場所も限られてくる。最近、冬場お気に入りのこの磯、潮が上がってくると行くのが大変。できれば上げ3分くらいで入っておきたい。
割と切り立った岩肌で、かつ岩質が剥離しやすいところで、潮位が上がると、入るのにかなり苦労する。もちろん、上げ5分を超えると入ることすらできない。
昔のように磯を飛び回るのはちょっと無理なので、慎重を期して、珍しく朝4時に起き、5時前には家を出た。
夜が白み始め、明るくなってきたころ、駐車スペースに到着。
防寒着の下にフリースを着込むか?そこまで寒くはないだろう。最高気温も13〜14度くらいありそうだし。
上下の防寒着に、ヒップガード。フローティングベストをつけて、ロッドケースとバッカン、集魚剤を入れたリュックを背負って歩き始める。
ゴロタを歩き、一部へばりつくようにして岩場を越えて、少し息が荒くなったころ釣り座についた。ここは釣り座は広くてフラットで楽だ。
撒き餌は前夜購入して半解凍状態になったオキアミ生3kgとチヌパワー麦、さらにオカラダンゴを一袋ずつ。こんなに要らないかなぁ、と思いつつ、用意している。
オキアミを2kg分ほど崩して、海水を入れる。シャバシャバにしてからチヌパワー麦を入れて混ぜる。水分を馴染ませてからオカラダンゴを入れ、また海水を入れて混ぜる。
残り1kgほどのオキアミはサシエを取ったり、少し余らせている集魚剤を足しながら崩して撒き餌にする。冬の時期はオキアミは過剰に混ざっていない方がいい。
お!夜明けだ。
これはこれで美しい。瀬戸内はほんと雰囲気よいね。
たっぷりと撒き餌を入れておいてから仕掛けの準備をする。
しかし...それにしても北風が強い。ほぼ真正面(弱右側)から風が吹き付けてきている。まともに風表に立っている。これじゃ、正面に向いては釣れないなぁ。
kishiさんにもらったトヨフロンガイアXXの1.2号を7ヒロ。道糸も銀鱗スーパーストロングNEOの1.5号に撒き替えている。
ちょっとkishiさんの釣りをトレースしてみよう。・・・と思ったのだけれど...初めての長ハリス。これがまた超大変。
いつも使っているVハードに比べて、このガイアってやつはハリが弱い。いや、しなやかでよいハリスなのだけれど、過剰に固くてピンピンしているVハードに比べると、柔らかくて扱いにくい。2ヒロくらいなら何とでもなるが、7ヒロともなると...
強風で煽られて訳が分からなくなってくる。
さらに道糸も2号に比べて1.5号はやはり柔らかい。こいつも吹きさらしで訳が分からなくなる。
ええい!面倒な風だ。
老眼なのか??この扱いにくいラインを直結するのに悪戦苦闘。さらに針を結ぼうと思っても、風が吹き付ける指先はだんだん感覚が薄くなってきていて、歯がゆいほどうまく結べない。なんだか、ど素人になったみたいだ。
浮きはkishiさんが、使わないから、といってくれたプロ山元浮き0号の「よ」と入ったやつ。0号マイナスの意味らしい。いろいろ作るなぁ。
ようやく仕掛けをセットしたころには30分くらい経っていた。
さて、釣り開始。
1月末ころなら、最初からエサが触られても不思議ないのだけれど、さすがに2月も末。水温も最も低くなる時期だ。しばらくエサも触られない時間が過ぎる。
kishiさんの仕掛けを真似ているのだけれど、確かに、あまり遠くに仕掛けを入れなければ、自然に仕掛けが馴染み、ゆっくりと入っていく。
潮がまだ低いので、ハリスに浮き止めをつけている。4.5ヒロくらいからスタートだ。
瀬戸内、とくに広島湾周辺は干満差がとても大きく、この日も3m近く差がある。沖に払い出る潮なら良いのだけれど、そういう潮が必ずしも期待できない海なら、6ヒロ、7ヒロを固定していると、根掛かりが懸念されるところ。
慣れればその手前で仕掛けを持ち上げればいいのだろうけれど、少し不安なので浮き止めを入れている。
しばらく、まったく反応のない時間が続く。
1.5時間くらい経っただろうか。
仕掛けを回収しようと竿をあげたら、グンっと重量感が竿を襲う。竿を立てる。ガンガンっと首を振る手応えが伝わってくる。完全に居食いだ。
しかし...足元にかなり近いところで食っている。この釣り座、正面向きなら足元に何もないのだけれど、北北東から吹き付ける風をよけて北西〜西向きに竿を出している今日は、足元に大きな根がある。ちょっと拙いかな?と思ったら、案の定、根につかれてしまった。チヌでこんなことするのは非常に情けない。まぁ居食いで完全に後手に回ったからなぁ。
しかしチヌなので、少し緩めれば出てくるだろう、と思ったのだけれど、少し荒いこの磯、ラインが挟まったようで、結局切れてしまった。40絡みくらいだろうなぁ。これで終わらなきゃいいけど。
また、しばし静かな時間が過ぎる。どうも、まったくアタリが取れない。
その上、足元の根を避けて少し沖に仕掛けを入れると、強風もあってうまく仕掛けが入っていない...訳ではないのだけれど(回収するときの状況から)、何か不安。慣れない仕掛けだから。
それと、もう一つずっと考えていたのだけれど、確かにグレは仕掛けを一直線にして、残留浮力も殺して、魚が口を使った後、負荷が段階的に魚に伝わらないようにしないといけないのだけれど、チヌの場合、よほど渋いときを除くと、少し抵抗があった方が食い込みがよくなることがある。だとすると、いつもの仕掛けの方が理に適っているのかな?(この海だと、という意味だけれど)。
そう思い始めると、居てもたってもいられなくなり、仕掛けをいつものものに戻す。プロ山元浮きG2、ハリスはVハード1.25号。G5をハリスの最上段へ、G7を上から1/3あたりに打つ。
さてさて、どうなるかな?
と、思ったら、早速浮きに気配が出る。
そーっと誘いを掛けると浮きが入る。やっぱりこうやって浮きの朱色が滲み、引き込まれる時間が好きだなぁ。
アワセ!グンっと重量感がのり、首を振る手応えが竿越しに伝わってくる。しかし大したサイズではないなぁ。
玉網に滑り込んだのは36cmのチヌ。
この時期のチヌは身が厚く、見るからに脂が載っていて旨そうだ。
しばらくして、またアタリが出る。流石に食ってくる棚はかなり底近く、食いも渋いけれど、この時期にこうやってアタリが出るというのも、やはり海水温の上昇なのだろうなぁ。
よい引き。竿を絞り込んでくれたのは39cm。なかなかサイズはでないな。僕の釣りだと、こういうサイズばかり釣ってしまうのかも知れない。
変化しないといけないかな?
7ヒロのハリスは、また後で使おうと思って丁寧に巻き取っておいた。
これを再びセットする。浮きも0号マイナス。が、また強風にあおられて悪戦苦闘。絡まる絡まる。散々時間を費やして、ようやくセット完了。
が...やはり上手くいかない。仕掛けが軽い分、ある程度馴染ませて、仕掛けを底へ入れても、風に対処するロッドワークや(道糸を風上に戻す)、ハリを入れるロッドワークに対して、思いのほか仕掛けが浮き上がってしまう。明らかに底で食ってきている状況なので、これだと効率が悪すぎる。
悪すぎる、というより、この仕掛けが使い慣れず、うまく扱えていないのだ。kishiさんなら上手く扱い、結果を出すのだろう。
結局、仕掛けをまたG2のいつもの仕掛けに戻す。
そうすると、少ししてまたアタリが出た。
アワセ!
一瞬重量感を感じた後、竿先が跳ね上がる。
あっちゃ〜、バラしたか。情けないなぁ。・・・と思いつつ仕掛けを回収すると、スイベルの下に糸がない。
あれ??
なんと、かじかんだ指で頑張って結んだつもりが、きちんと結べてなかったようだ。そういえば、ハリスの端が立つ向きがおかしいような気がしてたんだよなぁ。これもブランクのなせる業か。やれやれ恥ずかしい。それに口から2ヒロ強のハリスをはやして泳いでいるチヌにも申し訳ない。
ハリスを張り替える。潮は満ち上がり前の時合を過ぎて、潮止まり、さらに下げに入ってきている。
このポイントは、満ち上がりは釣れる。下げはじめも釣れるのだけれど、下げも5分を過ぎるとまったく反応がなくなる。
今日の釣りもあと少しだな。
お!また触ってるぞ。しかし、渋い。入らない。そっと誘いを掛ける。でも入らない。あ、離した。
仕掛けを打ち直す。よし、触ってる。そ〜っと...ホンの軽くラインにテンションを掛ける。
滲んでいた朱色が引き込まれ始める。
アワセ!
グンっと乗ってきたが、これもまた大したサイズではないなぁ。
34cm。
そのあと、30cm弱が釣れたが、これは即リリース。
予測通り、完全にアタリが遠のいた。帰りやすいように潮位が下がるまで、一応努力する。
結局、4枚釣って、キープは3枚。この時期で2枚もバラしてりゃ仕方ないわなぁ。
ダイビング用に買ったオリンパスTG3。防水カメラ(ダイビングにはハウジングを使っている)。WIFI付でiphoneをリモコンにできる。ちょっと使ってみよう。
なんだか、妙に魚がデカく写ってしまった。
それと、このカメラ。顕微鏡モードがあって、超接写のマクロ撮影ができる。面白いので試してみよう。
チヌの目...怖い...か。でも綺麗だね。
この日は、すべてカンヌキに掛かっていた。そんな写真も撮ってみよう。
このカメラ、遊べて面白い。
しかし、寒い一日だった。納竿間近になって、今にも雨が降りそうな曇り空になったころ、風も落ちて少し寒さは和らいだけれど、ほとんどの時間北風にさらされて、予想気温ほどの暖かさはまったく感じず、指先の感覚はなくなるし、インナーのダウンを外した防寒着越しに風の冷たさが伝わってきた。フリース、着とけばよかった。
でも、こうやってこんな真冬にでも楽しめる海には感謝だな。
車に戻り、走り始めたら雨が落ち始めた。
広島県の県境を超えたころには本降り。早めに撤収してよかった。
夜は、安芸さんの家にチヌを届け、安芸さんの料理でチヌを楽しむ。やはりこの時期のチヌは美味い。
一枚をさらに安芸さんの家に置いて帰った。翌日は刺身、翌々日はアラ汁にして楽しんでいただけたようだ。
僕は、翌日、湯引きにした刺身。さらに西京焼きにしようと...思ったら西京味噌が売ってなかった(前はあったのになぁ)ので、仕方なく甘口の白みそを買って、なんちゃって西京焼きのために白みそ、味醂、酒の味噌床を作って漬け込んでおいた。
さらに翌日、つまりは今日なのだけれど、これを焼いて食った。美味い。
お酒には弱いけれど、獺祭の小瓶があったので、刺身、西京焼きと、お猪口一杯ずつの獺祭で楽しんだ。
あぁ、楽しかった。
今度、この時期にkishiさんとこの磯に入ってみたいなぁ。
南紀で刺激を受けて、そして今日の楽しい海に出会えた。感謝。