学歴厨のページ
【学歴厨とは】
大学(場合によっては中学・高校も)を序列づけることに多大なる執念を燃やす残念な人たち。
(自称)教育関係者や、中途半端な大学を卒業して自らの学歴にコンプレックスを持つ者が多い。
※東大を出ていれば大学の序列など気にしないし、いわゆるFラン大学であれば初めから参戦しない。
ここでは「学歴厨」としての主宰が大学について考えたことを綴っていこうと思う。
【序列の決め方】
大手予備校が定める「偏差値ランク」による場合が多い。
原則は数値が高い方が上とされるが、留意すべき点がある。
まず、科目数についてである。科目数が少ない場合、その少ない科目を徹底的に研ぎあげた人たちの戦いとなる。
そのため、該当科目については難化しがちになり、偏差値も高く出がちである。
よって、5教科7科目以上必須の共通テストを要する国公立と、少数科目勝負の私立を単純比較することはできない。
また、理系の方が二次試験の科目数が多くなる傾向がある(多くが英・数・理×2の3教科4科目)ため、文理を単純比較することもできない。
次いで、辞退率についてである。
いくら優秀な人たちが沢山受験し合格したとしても、多くが入学しないのであればその大学の評価は高くならない。
私立のトップである早慶ですら6〜7割は辞退する。また、国公立でも私立ほどではないにしろ、辞退率の高い大学は存在する。
たとえば偏差値が同等であれば、辞退率の少ない大学の方が優位である。
【大学群とは】
似たような難易度の大学を一括りにした集まりのこと。大学を序列づけるのに便利なのでよく使われる。
有名なのは「MARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)」や「関関同立(関西、関西学院、同志社、立命館)」など。
最近はいろいろな大学群が加わり、またさらに作ろうという動きもあるが、中には眉唾なものも多い。
また、難易度によらず、出自による大学群もある。
有名なのは「旧帝国大学(東京、京都、大阪、東北、名古屋、北海道、九州)」であるが、他に「旧三商大(一橋、神戸、大阪公立)」や「旧二文理大(筑波、広島)」、「旧六医大(千葉、新潟、金沢、岡山、熊本、長崎)」、「旧三工大(現存は東科大のみ)」といったものがある。
【大学の序列】
上記を踏まえ、大学の序列について上から見ていくことにしよう。
序列については、上述の「大学群」を中心に見ていくことにする。
ランクは線を引いて分けている。
なお、医学部医学科は別格の世界なので考慮していない。学力以外の要素を要求する大学・学部(芸術系、体育系など)も対象外である。
また、入試については一般入試のみ考慮している。他の方法(推薦、AOなど)は考慮していない。
<東京一科(東京大、京都大、一橋大、東科大)>
日本の大学のトップの大学群。
○東京大学
日本の大学の最高峰であり、トップオブトップ。
特に文系はその難易度(偏差値)のみならず、2次地歴で2科目を課す鬼重量入試であり、そのハードルは果てしなく高い。
「知力」「エリート」の象徴であり、大学名がテレビ番組のタイトルになるのはこの大学だけである。
「官僚養成機関」の印象が強かったが、最近は霞が関の人気低下とともにコンサル、ベンチャーなどその進路は多岐にわたる。
○京都大学
かつては「西の雄」として東大に並び立つ存在であり、東大の「官僚養成」に「自由の殿堂」「アカデミック」の校風で対抗してきた。
ただ最近は少々その色彩が薄れ、単なる東大に次ぐ「ナンバー2」大学になりつつある印象である。
折田先生像や立て看板、卒業式の仮装などの文化は残っているが、日常でその雰囲気を残すのは今や「吉田寮」のみである。
とはいえ研究部門では東大に比肩する優秀な大学であることに変わりなく、ノーベル賞輩出者数では東大を上回る(20世紀以降)。
○一橋大学
文系オンリーの日本ナンバー3大学。
ただ、入試難易度においては京大に限りなく近い水準に達しており、負けているのは多分ネームバリューだけである。
文系大学なのに数学が異常に難しく、特に後期試験においては理系受験者も珍しくない。
2023年からはソーシャル・デジタルサイエンス学部が設置され、「文理融合」の色彩をますます強めている印象がある。
○東京科学大学
理系ナンバー3の東京工業大学と、医系の難関である東京医科歯科大学が合併して2024年10月に誕生した。
名前の評判が非常に悪く、「どこかのFラン大学みたい」と噂されている。
「医工連携」が大きな目的であるようだが、合併でさらなる発展を遂げることができるのかどうかが注目である。
難易度については、2次国語がない分京大とは差があり、真下の阪大とは1ランク程度の差であるため、この大学群の中では少々立ち位置が悪い。
<地方旧帝+神戸(大阪大、東北大、名古屋大、北海道大、九州大、神戸大)>
東京一科とともに、いわゆる「難関10国立大学」と呼ばれる難関国立大群である。
○大阪大学
地方旧帝と呼ばれる大学の中では総合力で突出している。ただ、お隣に京大があるため、威光という点では損をしている。
当人は「地方旧帝」と呼ばれるのを嫌い、「その名称は神戸大にあげる」という無理筋を展開している(神戸大は旧帝ではない)。
他の旧帝同様理系が優位であるが、文系においても司法試験の合格者数などで健闘しており、決して悪い訳ではない。
別名「大阪外国語体育大学」と呼ばれ、外国語と体育の単位取得が厳しいことで有名であるほか、一般的に学業面は厳しい。
○東北大学
東北の雄であり、現在(2024年10月現在)唯一である「国際卓越認定大学」に指定されている。
それ故に研究については厳しいのか、2013年にはこれまた国立大学で唯一である「ブラック企業大賞」の「特別賞」を受賞してしまった。
無論全部がブラックという訳ではないが、特に理系は相当の覚悟をもって志望する必要があるだろう(どこの大学も同じだが)。
関東から最も近い地方旧帝であるが故、東京一科が難しい場合の関東圏の国立大学志望者のターゲットになりやすい。
○名古屋大学
中部地方の雄であり、東海圏の秀才たちがまず挙って目指す大学である。
他の地方でも同じだが、特にこちらでは「東大、京大」の次が「名古屋大」であると考える者は多い。
近所に天下のトヨタがあるため、多くの卒業生が幹部候補としてトヨタもしくはその関連企業に就職している印象がある。
ただ、逆に東海圏以外で名古屋大学OBに会うことはあまりないだろう。良くも悪くも「偉大なる名古屋ローカル」大学と思われる。
○北海道大学
まず思い浮かべるのが広大なキャンパスである。札幌駅から至近でもあり、このキャンパスに魅かれて志望する者は多い。
難易度的には旧7帝大の中で最下位であり、旧帝大の中で唯一「指定国立大学」になっていない。
そのため「学歴厨」によく揶揄されるが、そうは言っても難関大学であることには変わりはない。旧帝の中では下、というだけである。
後期入試における募集人数が多いため、「東大残念組」が後期で結構な数入ってくる。
○九州大学
キャンパス移転失敗の典型例であり、広い土地と引き換えに大学としての評価を著しく落とすことになった。
以前はもう少し難易度が高かったはずであるが、今は北海道大学とともに「下位地方旧帝」のレベルとなっている。
とはいえ、九州の経済界では圧倒的な影響力を誇る。九州では「東大の次が九大」と信じられている模様。
なお最近、最も遅く「指定国立大学」に滑り込んだので、ここからの逆襲なるかが注目される。
○神戸大学
難関国立大学の中では唯一、全国でも珍しい「文系優位の総合国立大学」である。
社会科学系が看板であり、その方面では阪大と競るほどの実力を持つが、現在は理系優遇の時代であるため過小評価されやすい。
最近では神戸商船大学を合併して規模を大きくしたが、某旅館重大事件を引き起こしてその名誉を著しく毀損することとなった。
「難関10」の座から引きずり降ろそうという動きも(関東民中心に)激しいが、難易度は文系が阪大の次、理系は北大・九大並である。
<早慶(早稲田大、慶應義塾大)>
言わずもがな、私立の最高峰である。
並べて書けないので地方旧帝の下に書いたが、地方旧帝(+神戸)とレベル・立ち位置は同等である。
即ち、「東京一科」の一つ下、これらに行けなかった人の受け皿、という役割である。
ただ、上述したように私立最高峰であり、東大受験組をはじめとする最優秀層も受験するため、偏差値ランクは青天井である。(ただし、辞退率も高い。)
また、ブランド力・就職力について言えば地方旧帝や神戸大を大きく凌駕しており、極端に言えば政界や芸能界でも困らない人脈がある。
○早稲田大学
早稲田と言えば「バンカラ」「人種のるつぼ」という印象が強い。全国各地から個性豊かな人材が集まるというイメージである。
ただ、かつて「バンカラ」の象徴と言われた明治大学でさえ女子学生が増え、「東京のお洒落な大学」と化した。況や早稲田をや、である。
難易度的には、かつて「東大より難しい」と言われた政経学部から「ヒエラルキー最下位」とされる教育、「所沢体育大学」と揶揄される人科、スポ科まで非常に幅が広く、「国立で言えばどこレベル?」という話題がよく上がるが、「学部次第」としか言えないであろう。
○慶應義塾大学
慶應と言えば「陸の王者」「金持ち」「エリート」という印象であり、私が受験した当時は早稲田とは対照的な校風のイメージであった。
ただ、学費のみで言えば早稲田と大差なく、そのイメージの要因は特に幼稚舎から上がってきた内部進学者に富裕層が多い所為であろう。
早稲田のような学部間格差はないが、経済学部が看板である。SFCはよく揶揄されるが、軽量入試であるものの倍率と難易度は高い。
共立薬科大学を合併して誕生した薬学部は私立薬学部では日本一難しく、理工学部とほぼ同難易度である。
<筑横千(筑波大、横浜国立大、千葉大)>
「難関10国立大学」に僅かに及ばないとされる関東の3大学である。
○筑波大学
北大や神戸大がなっていない「指定国立大学」の一角であり、旧帝並に難易度も高いため、難関大の括りに筑波を入れようとする動きも目立つ。
ただ、筑波の場合は文系が弱く、また軽量入試であることや推薦が異常に多いことなどの点で「難関10」との違いがある。
いわゆる「国策大学」の側面があり、そのおかげで富と名声を得て優秀な研究機関となったイメージがある(某やんごとなきお方の件しかり…)。
今後2次試験など、学力試験を廃していく方向に舵を切ると承っており、もしそれが本当であれば近いうちに偏差値ランクから姿を消すだろう。
○横浜国立大学
元「二期校の雄」。かつて国立大学が一期校と二期校に分かれていた頃、東大(一期校)残念組を二期校の横国が多く受け入れたと言われる。
最近でも東大残念組が横国後期を受験するパターンは少なからず見られる。文系が軽量入試であることもあり、難易度は高い。
ただ、東一科・早慶合格組は多くが蹴るため、辞退率が高いことでも有名。コロナ禍で二次試験を取りやめた時は辞退率が30%を超えた。
看板は経済・経営両学部と都市科学部の建築学科。特に後者は全国的にも評価が高い。実学志向であり、就職力も強い。
○千葉大学
首都圏では意外に多くない、主要学部を網羅した「総合国立大学」である。
筑波や横国に比べると難易度が低い印象だが、これは2次試験で原則文系3教科(英、数、国)、理系3教科4科目(英、数、理×2)を課すためである。
故に、私見ではあるが、「筑横千の中で『難関10』と同じ土俵で相撲を取って良いのは千葉大だけ」だと思っている。
旧六医大の一角で医学部は非常に強いが、他にこれと言った看板がないことが少々残念である。
<電農名繊(電気通信大、東京農工大、名古屋工業大、京都工芸繊維大)>
理系における「隠れた実力派国立大学」と言える4校である。
※1ランク引き上げました。(2024/11/4)
○電気通信大学
地名を冠しない全国唯一の国立大学(大学院大学を除く)。
私が大学受験をした当時は正直無名であり、広告代理店の「電通」が持っている私立大学と間違われ、難易度も高くなかったが、時代は変わった。
現状横国や千葉大辺りと比較しても引けを取らない難易度になっており、今後の飛躍が期待される。
○東京農工大学
上述したように、「隠れた実力派国立大学」の一角である。それ故、無名ではある。
電通大が広告代理店と間違えられるように、この大学は「東京農業大学」と間違えられる。
この大学は大根踊りはしない。また、国立大学であり、東京農大より難易度は高い。お間違えのないように。
○名古屋工業大学
河合塾のデータを見ると、電農名繊の4校の中で最も難易度が高く出ているのはこの大学である。
河合塾が愛知県に本拠を構えているからか、あるいは2次が3教科3科目(理科が1科目で良い)だからか知らないが、阪公や下位旧帝に比肩する。
名古屋大学や後述の豊田工業大学同様、トヨタ直結の人生ルートが保証されるから、なのかも知れない。
○京都工芸繊維大学
この名前だと未だに着物や伝統工芸品を扱っているように見えるが、実際には「京都工業大学」と考えた方が良いだろう。
ライバルは阪公大と見られるが、2次前期試験の難易度は京工繊の方が上回っている。
小規模の工業系大学であるが、男女比は3:1程度であり、意外に女性も多い。
<上理ICU(上智大、東京理科大、国際基督教大)
実際には「早慶上理ICU」と呼ばれるが、早慶とそれ以下には厳然たる差があることは事実である。
○上智大学
大正時代からある日本最古のカトリック大学であり、女子アナウンサーの登竜門としても有名である。
かつて「国際化、グローバル路線」で大いに評価を高めたものの、国際系学科の新設ラッシュやコロナ禍で少々旗色が悪い印象。
ただ、難易度においては「早慶に次ぐ私大ナンバー3」の座を守り続けている。
入試については「TEAP」という英語の検定試験がほぼ必須となるため、生半可な気持ちで併願することはお勧めしない。
○東京理科大学
1881年に創立された東京理学講習所に端を発する理工系の名門であり、昨今の理系優位の風潮の中で評価を高めている印象がある。
ただ難易度は勿論高いのだが、科目数が少ないところで偏差値ランクを上げているという印象が否めない。
また学部によってはいわゆる「四工大(後述)」の猛追を受けており、予断を許さない。
なお、私立大唯一のノーベル賞輩出大学である。理工系のイメージだが、薬学部と経営学部も備えている。
○国際基督教大学
通称「ICU」。置かれている状況は上智と同様であり、また最近では「あるやんごとなきお方の結婚話」の影響で評判を落とした節がある。
とはいえ、国際系の私立難関大学であることに変わりはなく、難易度は非常に高い。
入試においては、総合問題と称して各分野から幅広い知識を問う問題が出るため対策がしづらいと言われる。
小規模の単科大学であるため、アットホームな雰囲気という印象。ちなみに男女比は1:2であり、意外に男性が少なくないらしい。
<その他>
このレベルに属すると思われるのは、上記のほか次のとおり。
○中央大学法学部
私自身は名門であると思っているし、現に今でも法曹界に多くの人材を輩出していると思うが、難易度には反映されていないと思われる。
特に河合塾のランクで上智はおろか青山学院の法学部にすら引けを取っているというデータを見て我が目を疑ったものである。
法学部だけ都心の茗荷谷にキャンパスが移転したので今後は難易度が上がると予想されている。
…でも、都心にあるからという理由だけでそんなに人気が上がるとは、最近の受験生は何を考えて進学先を選んでいるのだろうか。
○大阪公立大学
旧三商大の一角として社会科学系が強く医学部を持つ大阪市立大学と、理系で特に存在感を発揮してきた大阪府立大学が合併して誕生した。
実力・規模共に公立大学の中では恐らく日本最強であり、「神戸大超えはマスト」と鼻息が荒い。
ただ難易度は、中期日程に優秀層が集まるものの「京阪神残念組」の受け皿であり、また法学部が軽量入試であることを考慮するとやや弱いか。
合併を快く思わない学生・OBも少なからずいるため、今後のてこ入れにより「合併して良かった」と思えるような大学を作ることがまず重要だろう。
○東京外国語大学
外国語に特化した難関国立大学。
二次試験の科目が英語と地歴のみとかなり特殊であり、また当然ながら英語の問題は日本一難しいと評判である。
ICU同様小規模の単科大学であるため、宗教色を除けば雰囲気は近いのではないだろうか。男女比も同じくらいである。
後述の国際教養大学と比較すると、東京で楽しいキャンパスライフを送りたいというのであればこちらをお勧めする。
○国際教養大学
秋田県の鄙びた山の中にある新興公立大学。
その難易度は凄まじく、河合塾のデータによるとA・B日程(2次英・国)が67.5〜70、C日程(2次小論文)の共テ得点率は98%がボーダーである。
さらに入学してからも、留学生と寝食を共にしながらみっちり勉強をさせるらしく、図書館は24時間営業であるという。
ただ、その分就職力が非常に強いということは特筆すべき点であろう。
○お茶の水女子大学
日本に2つしかない国立の女子大である。(あとの一つは奈良女子大学)
教育・人文系に特化した大学ではあるが、理学部や共創工学部といった理系の学部もあり、最近の「理系女子」のニーズにも応えている。
「女子大」であることをどう考えるかということや、志望する学問分野があるかどうかで選択が分かれるのではないだろうか。
とはいえ、全国の女子大がほぼ枕を並べて討ち死にしている現状で今のレベルを保っているのはさすが歴史と伝統の力であると言える。
<金岡(千)広+熊本(金沢大、岡山大、(千葉大)、広島大、熊本大)>
上記の「筑横千」などとともに、国立の「準難関大学」と言われるレベルの大学群。
ただ、これらに比べると僅かに及ばないと見られるため、1ランク下に位置づけている。
「駅弁」扱いされることもあるが、全ての大学が旧制官立大学であり、歴史と伝統はしっかりある。
このレベルの括りには諸説あり、長らく「金岡千広」が定説であった。
しかし「千葉大学が抜きん出ている」「熊本大学を入れたらどうか」ということで、「金岡熊広」「金岡千広熊」と呼ぶ向きもある。
当項においては、千葉大学は「筑横千」に入れており、熊本大学を引き上げる分には誰も不幸にしないと考えて「金岡熊広」として記載する。
○金沢大学
中部地方では名古屋大に次ぐナンバー2であり、本州日本海側では最強の国立大学である。旧帝国大学になる可能性もあったが、なり損ねた。
九大と同様、土地を求めてアクセスの悪いところ(金沢市内だが)に移転したことはマイナスであろう(熊が出るらしい)。
千葉大同様、旧六医大の一角として医学部はそれなりの力を持つが、それ以外に特筆すべき点が見られないのは残念である。
○岡山大学
旧帝国大学がない中国地方において、広島大学と熾烈なトップ争いをしている大学。出自は旧六医大。
広島大学と違って交通至便な場所にキャンパスがあり、また国家公務員総合職などの合格者数を伸ばすなど、勢いはむしろ岡大にあると言って良い。
医学部以外に特筆した強みがないのは旧六医大共通の悩みか。
○熊本大学
九大に次ぐ九州ナンバー2であり、旧六医大(余談だが、同じ九州の旧六医大に長崎大学もある)。
ただ、直近までこの括りに入っていなかったことでも分かるように、難易度では分が悪く、どちらかと言うと1ランク下の「5S」に近い。
なお、法学部があって経済学部がない。非常に珍しい構成だと思うが、要注意である。
○広島大学
キャンパス移転失敗の典型例その2であり、旧帝国大学になり損ねた大学の一つでもある。
岡大との抗争においては都市規模の分だけ優位に立っており、難易度もまだ少し勝っていると思うが、相手の方が勢いがあり旗色の悪さは否めない。
出自は旧二文理大であり、教育系が看板。理学部も強い。
<その他>
このレベルに属すると思われるのは、上記のほか次のとおり。
○明治大学
日本一有名な大学群の一つである(G)MARCHの一角であるが、他の4校とは少々差があるためこちらに記載した。
上述したように、以前は「バンカラ」を絵に描いたような校風であったが、最近は女子学生も増えてすっかり「東京のお洒落な大学」になった。
元々は法律学校であり、法学部が看板。司法試験の法科大学院別合格者数では、私大では早慶中の次で同志社と同じくらいである。
○同志社大学
(G)MARCH同様日本一有名な大学群の一つである関関同立の一角であるが、もはや一つに括ってはいけないレベルで他3つと差がある。
今も昔も関西のトップ=西日本のトップ私大であり、京大落ちも結構な数生息するほか、関西ではそのブランド力で高い人気を誇る。
明治とどちらが上かという比較は(両方受ける人はほぼいないので)無意味だが、西のトップである分同志社がやや上かな、という印象である。
○東京都立大学
独立した法学部があって偏差値(河合塾)が60あって、ということになれば相当レベルは高い、と思わせられるが、実際には軽量入試であり、恐らく横国辺りと同様、「早慶の滑り止め」ポジションにとどまっている感が否めない。
また、司法試験をはじめとする資格試験においても目立つ結果は残していない。ただ、恐らく東京都庁(又は特別区)へ進む人は多いだろう。
○名古屋市立大学
名大の影に隠れて目立たないが、医学部をはじめ(法学部を除いて)一通りの学部を揃える総合公立大学。
文系には珍しく(最近はそうでもないか?)経済学部は英数の2教科必須。
芸術工学部、総合生命理学部、データサイエンス学部と少しひねった名称の学部が目立つ。
○奈良女子大学
お茶の水女子大と共に、国立大学としてはたった2校しかない女子大。
お茶女の項でも触れたが、他の私立女子大が悉く存亡の危機に瀕している中、関西女子大の雄(矛盾?)として存在感を増す。
最近工学部を新設し、「理系女子」の発掘にも乗り出している。
○京都府立大学
人文系と農学系のみという珍しい構成の小規模公立大学。
後述の神戸市外国語大学もそうだが、小規模ながら評価と難易度は意外に高く、国公立信仰の強い関西では同志社より優先する向きさえある。
扱う分野が地味なことや関西以外の知名度がないため、他地区での就職では少々不利を被るかも知れないが、めげずに頑張ろう。
○神戸市外国語大学
外国語学部のみの単科大学であり、小規模公立大学であることから関西以外では無名だが、軽量入試とは言ってもそれなりの難易度である。
東京外大などがある関東と比べ、西日本にはこのような国公立大学が少ないため、たとえば中国地方の女子高からの受験者が多い印象がある。
キャンパスは郊外にあるが、まだイノシシが出ないだけマシかも知れない(いや、出るかも知れないが)。
○東京学芸大学
言わずと知れた教育系の名門であり、教員養成系では全国でもトップレベルの難易度を誇る。
ただ、ここに行く人は大抵教員になるので、当然「学歴フィルターに引っ掛からない大学」には含まれない(就職しないから)。
あと、スポーツ界で活躍する在学生・卒業生も多いようで、ホームページでその活躍ぶりが大いに喧伝されている。
<G(M)ARCH(学習院大、(明治大、)青山学院大、立教大、中央大、法政大>
上述したように、恐らく日本一有名(?)な大学群である。東進は「明青立法中(学習院は含まない)」と呼ぶが。
6校が同じ大学群で括られているが上述のように実際には格差があり、いわゆる「準難関国立」と迷うのは明治のみで、あとはワンランク下だと思う。
(立教や青学はイメージ、好みで選ぶ人がいるかも知れない。)
この中では伝統があるのが立教、最近人気があるのが青学(駅伝のおかげかも知れない)、それ以下は少々地味な印象である。
とはいえ、筑横千レベルの受験生が滑り止め気分で受験すると普通に落ちるので、受験する場合は最低限の対策はしておきたい。
<関関(同)立(関西大、関西学院大、(同志社大、)立命館大)>
この大学群では同志社が抜きん出ており、ここに一緒に書くのは失礼なので前項にて記載したところである。
2番手はかつては関学であったが、推薦入学率の高さとそのレベルの低さが論われて人気を落とした。
現在の2番手は恐らく立命館であり、これは就職や資格試験の面倒見の良さと実績が買われて人気を集めたと思われる。
関大は4番手から抜け出せず、近大の猛追を受けている。関大は元々関西法律学校であり、法学部は地力がある。あと、芸人輩出数トップらしい。
京大落ちで同志社までに滑り止まらないと関西でかなり理不尽な扱いを受けることになるので、受験戦略には注意を要する。
<5S(埼玉大、信州大、静岡大、新潟大、滋賀大)>
頭文字が「S」の大学を5つ集めたものであるが、このレベルであれば他にも同ランクの大学がある(岐阜、三重辺り)ほか、その1つ下と言われる「5山(山形大、富山大、山梨大、和歌山大、山口大)」などと比べて極端な差はない。
ただ、「5S」の中には旧六医大の出自を持つ新潟大学や、旧高商で経済系の一部ゼミにおいて大企業への就職に滅法強いと評判の滋賀大学があり、学部によっては難易度に比して実力のある大学があるので、志望校を選ぶ際には留意したい。
また、国公立大学に関して言えば、この辺りが「学歴フィルター」の当落線上とされる。
<四工大(芝浦工業大、東京都市大、工学院大、東京電機大)+豊田工業大>※
ここに挙げられた大学は「学歴フィルター」当落線上のレベル帯であるが、工業系は例外であり偏差値ランクに関係なく就職に滅法強い大学が多い。
これらも例外でなく、特に豊田工大と芝浦工大は以前、東洋経済オンライン「『有名企業への就職に強い大学』トップ200校」の上位に顔を出した。
特に豊田工大は天下のトヨタが作った大学であり、勿論卒業生の多くがトヨタに就職すると見られる。
とはいえ、それだけ就職に強い大学を受験生が放っておくはずもなく、豊田工大は西日本では関関同立に匹敵するか凌駕するレベルまで難易度が高くなっているし、芝浦工大を筆頭に四工大もそれと同等か近いレベルくらいのところまで来ている。「理系人気」が続くようなら、この傾向は今後も続くだろう。
※四工大は単位互換を行っている工業系の4つの大学の集まりであり、厳密には「大学群」ではない。
ただ、「工業系である」「難易度が近い(芝浦・豊田はやや抜けているが)」「就職に強い」など特徴が似通っているので入れたものである。
<その他国公立大学>
国公立大学においては、以下の大学が「5S」相当と考えている。(私見です)
○岐阜大学、三重大学:上述のとおり。学部構成も非常に似通っているので、地理的条件と専攻を精査して選ぶことになると思う。
○横浜市立大学:横国の影に隠れるが、理系中心で医学部も持つ。小規模で地味な印象があるのが惜しい。
○東京海洋大学:旧東京商船大学。片割れの神戸商船大が神戸大に合併した中、東京水産大を統合して我が道を行く。
○九州工業大学:工学系の強さを遺憾なく発揮し、九州の就職では九大に次ぐレベルの強さを誇る。名前からは分かりにくいが立派な国立大学。
<上記以外>
上記までが一般的な「学歴フィルター」通過の目安となるラインの大学であり、本項の記載対象とする。
ただ、これ以外にも、次の大学は個人的には印象深く、学力に応じて検討の余地があると思う。
○近畿大学:関関同立を猛追するマンモス校。特に関関同立にはない学部(医学部、農学部など)を志望する場合は志望・併願を検討したい。
○小樽商科大学:かつては北大経済より難しいとまで言われた名門。現在は全国的には目立たないが、北海道の経済界ではまだまだ強い。
○立命館アジア太平洋大学:外国人留学生が多い国際系の新鋭。人気上昇中だが立地は別府の山の中なのでそこは要考慮。
○地方国立大学の看板学部:例えば和歌山大学や山口大学の経済など。大学の出自によって「強い学部」というのはあり、地元では武器になる。
○オンリーワンの学部:以前、秋田大学に鉱山学部があった(現在は改組済み)。そのような分野に関心があれば考えたい。
【学歴フィルターとは】
上記で何回か出てきた「学歴フィルター」。
要は、企業が学生を採用する際、一定レベル未満の大学の学生をエントリーシートの段階で門前払いすることを指す。
基準は当然企業によって異なり、厳しいところになると「東京一科と早慶以外は…」などというところもあるとかないとか。
ただ、一般的には「(G)MARCH又は関関同立まで」というところが多いようである。
ネット上には「学歴フィルターを通過できる42大学」なるものがあり、そこに挙げられている大学もその辺りで区切られている。
とは言っても、私が上述した大学が全て「通過できる大学」に入っている訳ではない。
言うまでもなく東京を中心とした大都市の大学が有利であり、逆に地方大学では難易度が同じでも入れてもらえないところもある。
これは恐らく、選定の基準として上述の東洋経済オンライン「『有名企業への就職に強い大学』トップ200校」を使っているためだろう。
この記事の「有名企業」はどうしても東京を中心とした大都市圏に固まりがちであり、地方の企業は殆ど出てこないと思われる。
地方大学の学生は地元で公務員や教員になったり、地方銀行や地元メディア、地元企業に就職するケースが多い。
わざわざ東京やら何やらまで何度も就職活動に通うのは負担であるし、また地元の方が入ってから良い扱いを受ける場合も多いだろう。
たとえば大変失礼ながら、関西大学が入っているのに広島大学が入っていないのはそのためだと思われる。
なので、「学歴フィルターを通過できる大学に含まれない」=「レベルが低い」とは一概に言えないことは指摘しておきたい。
なお、この種のことを気にしなければならないのは主に文系の場合である。
理系であれば、学校(教授)つながりで就職先を紹介してもらえるケースも少なくない(学校推薦)。
また、そうでなくても「理系にしかできない分野」は多いものであり、その点でも有利と言える。
上述したように、工業系大学が難易度の割に就職に無類の強さを誇るということもあるので、その点は考慮しておきたい。
【早慶と地方旧帝の不毛な争い】
ネット上で最も荒れるのが、「早慶と地方旧帝(+神戸)ではどっちが上か?」という議論である。
この点の判断は難しく、ほぼ地域性や好み次第にも思える。
私見だが、文系は阪大・早慶上位>他の地方旧帝・神戸>早慶中位、理系は阪大がトップで早慶・東北・名古屋が続く印象である。
なお、早慶上位には(内部進学者の一部を含め)ハイレベルの学生が多い印象がある。
なお、「早慶>地方旧帝」を唱える者が論拠として用いるのが「併願成功率」であるが、これは注意した方が良い。
理系はともかく文系で併願成功率が低いのは当たり前の話で、地歴については東大、京大、一橋を目指した勉強をしていないと早慶の問題にはまず太刀打ちできない。地方旧帝や神戸と早慶の併願は基本的には無理であり、仮に成功者がいるとしたら多分「東大京大一橋残念組」のはずである。
逆に早慶専願組が地方旧帝に合格するのも、特に文系の場合難しい。理由は言わずもがな、2次数学が必要になるからである。
いずれにせよ、これらの大学の立ち位置は、「東京一科」の一つ下である。
早慶はそのブランドに憧れて、また地方旧帝はその地方のトップ(東京一科に手が届きそうなレベルの学生)が第一志望として目指すケースも多いが、上述の超難関4大学に行けなかった者が行くケースも少なくない。
彼らのムーブを次に述べてみる。
【東京一科残念組の行方】
「東京一科に行けなかったケース」は主に2つに分けられる。
即ち、学力や共通テストの点が足りなくて事前に諦める場合と、前期二次試験を受けたが不合格となった場合である。
関東で言えば、いずれのケースにおいてもまず早慶が進学先となるケースが多い。
事前に諦める場合、「どうしても国立」という者は、例えば東大から他の超難関3つ(京大、一橋、東科大)に下げる者はいるが、首都圏に住んでいれば早慶に行くのも他地方で独り暮らしをするのもお金的に大して変わらず、また首都圏企業における早慶の就職の強さは別格であるため、地方旧帝より早慶が優越する。
東大受験生にとっては「早慶は最低ノルマ」という意識があるらしく、早慶も受からなかった場合は浪人を選択することになるだろう。
※メジャールートの一つとして後期横国もあるが、仮に進学したとしても翌年には多分いなくなっているだろう。
関西で言えば、「超難関」が京大しかなく、また地方旧帝や早慶に匹敵する私大がない。
逆に京>阪>神>阪公>以下略、という具合に国公立の総合大学がいい感じの難易度差でばらけている。
そう言う訳で、関西の場合、事前に諦める場合は国公立の中から自身の学力に応じて受験校を選ぶことになる。
京大の前期二次試験に落ちた場合、神戸大の後期と阪公大の中期(理系のみ)が主ターゲットになるだろう(無論、難易度は高いが)。
これらに受からなかった場合は同志社をはじめとする私大しか選択肢がないが、実際進学した場合は不当な扱いを受ける可能性がある。
位置づけとして、地方旧帝、神戸、早慶は「東京一科志望者」が我慢して妥協できる最低限の大学であると言える。
ここまでに引っ掛からなかった場合は受験戦略に失敗したと言わざるを得ず、学歴コンプを拗らせる可能性が高くなるだろう。
【関東と関西の違い】
関東と関西では大学の序列の解釈において相容れないほどの違いがある。
関東では東大がぶっちぎりのトップであり、京一科と早慶が続き、次いで阪大、次いで筑横千≧神戸と考えられている。て言うか、そもそも阪大や神戸大(特に神戸大)については認識すらしていない人が多い。また、全体的に東京の有名私大の評価が高く、明治は同志社より上であり、GMARCHは全ての「駅弁大学(後述)」より上であるとされる。
関西では東大が日本一であるものの、関西トップの京大とは大差なく、次いで阪大、神戸大が優先順位上位に来る。一橋、東科大、早慶に関しては上位層は認識こそあるものの、実際に受けに行く人はあまりいない。筑横千に至ってはほぼ知名度皆無であり、神戸と同等以上などと言おうものなら怒られるか呆れられる。むしろ筑横千よりは阪公大の方が優先度が高くなる。また、私大は完全に「国公立の滑り止め」扱いであり、同志社がトップであるものの、その扱いは低い。GMARCHに至っては「関関同立」があるのにわざわざ受けに行く必要はない、と思われている。
ちなみに、たまにネット上で一流・難関大学を括る際に「旧帝一科早慶」と言われる場合がある。
私の母校である神戸大がハブられているのは非常に不快であるが、これは関東特有の表現である。
何故なら、関東民は旧帝(東大、東北大、北大など)には行くし一橋や東科大、早慶にも行くが、神戸大にはまず行かないからである。
【駅弁大学とは】
かつて作家の大宅壮一氏が戦後の「1県1校、どこにでも国立大学がある」状態を揶揄し、その没個性化を皮肉って作った造語。
転じて、現在では主に関東民が旧帝を除く地方国立大学をバカにするために使用する言葉。
本来の意味であれば地方国立大学の中でも旧制官立大学(神戸、広島、千葉、岡山、金沢、新潟、熊本、長崎)は含まないはずだが、歴史を知らない関東民はこれらの大学もひっくるめて「駅弁」と呼んで蔑む傾向がある。
ちなみに彼らの特徴としては、関東の私大を過大評価し、逆に地方国立大を過小評価する。(例:早慶は阪大より格上、駅弁は皆MARCH以下、など)
このような人たちには適切な進路指導はできないので、受験生は十分に注意する必要がある。
また、まさかいないと思うが、この言葉は悪口・蔑称になるので、間違ってもリアルの場では言わないよう釘を刺しておく。
【大学の歴史に見る看板学部】
ここでは、大学の歴史からわかる「看板学部」について記す。
なお、単科大学(医大、外大など)は一部を除き対象外とする。
出典は主にウィキベディアを参考としている。
<国公立大学(主に国立)>
○東京大学
1886年に、当時大日本帝国唯一の「帝国大学」として設置された。
当然のことながら、全学部に歴史と伝統があり、看板と呼ぶに相応しいと言える。
何故なら、戦前の旧制帝国大学時代から全ての学部(法・医・工・文・理・農・経)を網羅していたからである。
ただ、1877年の「東京大学」設立当初からあった学部は法・理・文・医の4学部であった。
特に国を動かす政治家や官僚などを数多く輩出した法学部と、東京医学校以来の伝統と実績を持つ医学部が看板であると言えるだろう。
○京都大学
東大同様、旧制帝国大学時代から全ての学部を網羅していたため、全て看板学部と呼ぶに相応しい歴史と伝統を持つ。
元々の起源は医療施設(長崎養生所)であったが、理化学部門のみ関西(当時は大阪)に設置され、洋学校と合併の後京都に移転した。
京都帝国大学となった後に分科大学(後の学部)としてまず理工、法、医、文と設置され、その後学部として経済、農と設置された。
このため、最も歴史があって看板と言えるのは理学部ということになるだろう。後のノーベル賞受賞者等の多さを考えても納得である。
○大阪大学
阪大は帝国大学としては比較的新しく、設立当時は医学部と理学部のみであった。
中でも医学部は適塾を源流とするとされ、別格の歴史と伝統を持つ。
また、これらの他、旧三工大の一つとして1929年に大学に昇格した大阪工業大学は、その僅か4年後に大阪帝国大学に吸収されている。
このため、医学部が別格であり、次いで理工系が看板と言える。
法文学部が設置されて総合大学となったのは戦後の学制改革直前のことであり、歴史としては浅いため、この点で文系は少々分が悪い。
○東北大学
元々、「北海道・札幌にあった札幌農学校を東北帝国大学とする」というところから始まり、結果的に起源を持たない理科大学として設置された。
その後、医学と工学の専門部を設置したので、これらが最も歴史のある学部ということになる。
その後、1922年に法文学部が設置されており、現在の文系4学部の礎となっている。
戦前に文系学部が設置された旧帝大は、東大と京大のほか、東北大と九大の4つだけである。
○九州大学
東北大学と同年(1911年)に九州帝国大学として設置された。このとき、分科大学(学部)として工科大学を設置している。
元々は医学教育のための藩校に端を発し、京都帝国大学の分科大学としての福岡医科大学が母体であることから、医学部と工学部の歴史が長い。
その後、戦前においては農学部、法文学部、理学部が設置されている。
先述のとおり、旧帝でも数少ない「戦前から文系学部(法文)を擁した大学」であることは注目すべきポイントである。
○北海道大学
元々は札幌農学校が起源であり、元々は東北帝国大学農科大学であったものを移管したのが始まりである。
このため、農学部が押しも押されもせぬ看板学部である。
後に工学部と理学部が戦前に、学制改革直前の1947年に法文学部が設置された。他は新制大学となった後に設置されたものである。
○名古屋大学
帝国大学の中では最も遅く設立され、設置当時の学部は医・理工(後に理と工に分離)のみであった。
戦後、学制改革直前に文・法経の2学部が、他の学部は学制改革後に設置された。
このため、特段に歴史ある看板学部はないが、ノーベル賞輩出の実績がある理学部が看板と見られる場合が多い。
○一橋大学(・東京外国語大学)
一橋大学は旧制東京商業大学であり、旧帝の向こうを張って経済・経営系の教育を主に担っていた。
このため、特に経済学部と商学部は歴史と伝統があると言える。
この点は旧三商大の兄弟分である神戸大・大阪公立大も同様であるが、一橋大のみ総合大学化の道を辿らなかった。
ただ、一橋大の前身である東京商業学校は東京外国語学校と商工徒弟講習所を分離し、後の東京外国語大と旧東京工業大となっている。
一橋大・東京外大・旧東工大・旧東京医科歯科の四大学の合併の噂が以前から絶えないのはこのような歴史が関係していると思われる。
○神戸大学
上述のとおり、旧制神戸商業大学としての歴史と伝統を誇り、当時から続く経済学部・経営学部は別格の歴史を誇る。
また、経済学部・経営学部でも法律学を必修又は履修可としており、法学についても重視されていた。
このような経緯があるためか、経済・経営・法学部については扱いが他と異なり、この三学部のみの同窓会(凌霜会)が存在している。
○大阪公立大学
旧大阪市立大と旧大阪府立大が合併して出来た大学であり、各々に歴史と伝統がある。
伝統として別格なのは、旧制大阪商科大学として旧三商大の伝統を持つ、旧大阪市立大学の経済学部と商学部である。
旧大阪府立大学の中では、大阪府立大阪医学校(現・阪大)から分かれた獣医学講習所に端を発する生命環境科学域が最古である。
実は近畿の大学で獣医学を学ぶことができる大学はここだけである。
○東京科学大学
旧東京工業大と旧東京医科歯科大が合併してできた大学であり、これまた各々に歴史と伝統がある。
旧東京工業大は旧三工大の一角として1929年に旧制官立大学となった。特段の看板学部はないが、強いて言えば旧制大学時代からの化学系、工学系(電気・機械)、建築系は伝統があると言える。
これに対し旧東京医科歯科大は1928年に設置された東京高等歯科医学校に端を発し、戦後に旧制の東京医科歯科大学となった。
「大学」としては後発となり、群馬・弘前・信州・徳島・鳥取各大学の医学部と同期(医科歯科のみ2年早いが)という扱いになる。
○筑波大学(・お茶の水女子大学)
元々は日本初の師範学校を源流とする旧制東京文理科大学が前身であるが、その後東京教育大学時代を経て筑波に新設された。
師範学校から旧東京教育大までは教育者の育成を主目的としていたが、現状の筑波大はこれとは全く別物と言って良いだろう。
このため、旧制大学時代からの歴史と伝統を持つ看板学部はなく、今の時流に乗った研究機関としてその名を高めていると言える。
なお、かつてお茶の水女子大が筑波大の前身である東京師範学校に合併されて女子部となっていたが、僅か5年で分離している。
○広島大学
筑波大と同様、日本にわずか2校しかない旧文理科大学であった。
紆余曲折のあった筑波大とは異なり、広島大はこの伝統を正統に継承しており、旧広島文理科大の流れを汲む文・教育・理学部が看板である。
なお、この三学部の同窓会として「尚志会」が結成されている。
○旧六医大
千葉・新潟・金沢・岡山・長崎・熊本の6つの大学は、元々医学専門学校であった旧制医科大学を母体とするもので、戦後の学制改革において他の学校(ナンバースクール、師範学校、専門学校)を包括して新制大学として発足した。
このため、これらの学校は医学部が大看板である。
学校設立当時に創設されていた学部は以下のとおり。
千葉大:医、園芸、学芸、工芸、薬
新潟大:人文、教育、理、医、工、農
金沢大:法文、教育、理、医、薬、工
岡山大:法文、教育、理、医、農
長崎大:医、経済(※)、薬、学芸、水産
熊本大:法文、教育、理、医、薬、工
※長崎大学は長崎高商を吸収しているため経済学部を持ち、こちらも看板の一つと言える。
○旧高商
次の大学はいわゆる「旧高商(高等商業学校)」の出身である。これらの大学は、経済学部・経営学部を看板としていることが多い。
国立:山口大学、小樽商科大学、福島大学、大分大学、滋賀大学、和歌山大学、横浜国立大学、香川大学、富山大学
公立:横浜市立大学、兵庫県立大学(旧神戸商科大学)
※旧三商大も正確には「旧制大学に昇格した旧高商」であるが、ここでは割愛する。
※名古屋高商(旧帝の名古屋大学に吸収)、長崎高商(旧六医大の長崎大に吸収)もここでは割愛する。
○その他
弘前大:医(新八医大)
岩手大:農(日本初の高等農林学校である盛岡高等農林学校が前身)
秋田大:国際資源(前身は開学当時からの伝統を持つ鉱山学部)
山梨大:教育・工(昌平坂学問所の分校である徽典館が前身、ワイン科学研究センターを擁する)
信州大:繊維(1910年設立の上田蚕糸専門学校が前身)
鳥取大:農(鳥取大学乾燥地研究センターを擁する)
徳島大:医(四国の国立大で唯一、新制大学発足時から医学部を有する)
上記以外の新制国立大学については、多くが師範学校と各種専門学校を合併して建学されたものである。
多くは医学部と文理学部(文学部、理学部、工学部)から始まったものであるため、これら(特に医学部と工学部)が看板である。
<私立大学> ※戦前から存在するもののみを掲載。
○慶応義塾大学
1858年に福沢諭吉が講師となって開かれた蘭学塾を起源とし、1920年に日本初の私立大学として文・経済・法・医の4学部で発足。
工学部が1944年に発足し、戦後の新制学部としては医学部を除く4学部で改めて発足した。(新制医学部発足は1952年)
伝統として最も古いのは文学部であり、蘭学塾時代からの流れを汲む。次いで医学部(1873年に慶応義塾医学所設立)、法学部(1879年に夜間法律科が、1890年に大学部法律科が発足)、経済学部(1890年に前身の理財科が、1920年に経済学部が発足)。
ただ、経済学部に該当する学部が設立当時他になかったため、看板学部は経済学部になっている。
○早稲田大学
慶応と並び、1920年の大学令で発足した日本初の私立大学であり、発足時の学部は政治経済、法、文、商、理工の5学部。
前身は大隈重信が設立した東京専門学校であり、この時あったのは政治経済学科、法律学科、英学科(理学科もあったがすぐに廃止)。
この時に東大のドイツ流の法学中心の学問体系に対抗して政治学・経済学を融合した政治経済学の構築を目指したため、政治経済学部が看板である。
なお、法学部についても当時の「五大法律学校」の一つに数えられるレベルの伝統を誇っている。
○旧制法律学校
東京にあった法律学校のうち特に教育水準が高く、特別許認可を受けたもので、上述の早稲田大学法学部以外に次の4校がある。
当然ながら、これらは法学部を看板学部としている。
専修大学:1880年に慶応義塾の夜間法律科から分離独立して誕生。法律科のほか、日本初の独立した「経済科」(経済学部)を設置。
明治大学:1881年創立の明治法律学校が前身。西洋近代法第一世代で、創立期のメンバーには西園寺公望らがいる。
法政大学:1881年創立の東京法学校が前身。フランス法学を講じ、明治法律学校(現明治大学)とはライバル関係にあった。
中央大学:1885年創立の英吉利法律学校が前身。当時主流だったフランス法学に対し、イギリス法学を講じた。
また、五大法律学校の他、次の大学は旧制法律学校を前身としており、これらについても法学部が看板学部である。
日本大学:専修学校が生徒数の減少で法律科の募集を停止したため、日本大学の前身である日本法律学校が五大法律学校の一つとなった。
関西大学:東京以外では初の特別認可学校を目指し1886年開校。一度は失敗するも1893年に関西唯一の司法省指定学校となった。
立命館大学:1900年に、旧制高等学校卒業者(=京都帝国大学)以外にも門戸を開く目的で開校。
○同志社大学
1875年に新島襄らにより設立された英学校が前身。
後に総合大学化を目指して同志社政法学校を創立。この時は短期で廃止になったものの1912年に「政治経済部」として復活し、法学部の前身となる。
このため、文学部や法学部がやや目立つものの、上述の関西大や立命館大と比べるとはっきりした看板学部はないと言われる。
○仏教系
仏教の研究を目的に設置された各大学。その背景から文学部又は仏教学部が看板である。
龍谷大学:1639年に西本願寺宗主良如により創立された学寮を前身とし、1922年設置。多くの学部を積極的に設置しているが、文学部が看板。
大谷大学:1665年に東本願寺が設置した学寮を前身とし、龍谷大学と同時期に設置。こちらも開設当時からの歴史を持つ文学部が看板。
大正大学:1926年に仏教三宗の連合大学として設置され、現在は四宗五派が参画。独立した仏教学部を持ち、当然こちらが看板学部。
駒澤大学:1592年創立の曹洞宗の学寮が前身。曹洞宗系の仏教学部を持つ唯一の大学であり、仏教学部と文学部が看板。
立正大学:1580年設立の日蓮宗僧侶の教育機関を前身とする。仏教学のほか、心理学、歴史学、地理学にも注力。
○神道系
神職や教員の育成を目的とする。神道系の流れを汲む文学部が看板であり、神職の資格を取得できる課程を持つ。
國學院大学:日本の古典、礼式を研究することを目的に1882年に設立された皇典講究所が前身。
皇學館大学:1882年設置の神宮皇學館を母体とする。終戦後一旦廃止されたが、1962年再興。宗教科教員免許を取得できる唯一の大学。
○キリスト教系
立教大学:1874年に英国国教会宣教師が設立した私塾が前身。創立以来リベラルアーツ教育を重視。看板学部は経営学部。
上智大学:1913年にイエズス会により設立。戦前には文学部と商学部を擁した。かつての文学部の流れを汲む外国語学部が看板。
関西学院大学:1889年に神学部と普通学部で発足し、1912年に文科・商科を設立。商科の流れを汲む経済学部が看板。
○哲学系・その他
東洋大学:1887年創設の「哲学館」に端を発する歴史から、文学部(哲学科)が看板。また、都心の主要キャンパス全てに夜間部を設置している。
拓殖大学:1900年創設の台湾協会学校を起源とし、戦前は植民政策学を中心とした。この流れを受けた政経学部が看板学部と言える。
【各地方の大学事情】
ここでは、私個人の独断と偏見で各地方の大学の、序列を含めた事情に関する印象を述べる(個人の印象です)。
なお,偏差値は河合塾のものを用いている。
<北海道地方>
旧帝国大学である北海道大学の一強であることはもはや疑う余地がないが,各分野に応じた国立大学が点在している。
ちなみに北大についても各地にキャンパスが点在する。水産学部は函館にあるため,「あのキャンパス」に憧れて来たら残念な思いをするかも知れない。
社会科学系は小樽商科大,教育系は北海道教育大,工業系は室蘭工業大と北見工業大,農学系は帯広畜産大といったところがあり,小樽商大はかつての名門で今もまあまあの地位を保っている。ただ小樽商大以外は国立の中では最も易しいと言われる区分に属している。
そして医学系では旭川医科大学。医系の国立大学なので当然難易度は高く,北大医学部と比較しても遜色ない。他の大学は北大の滑り止めとしても少々不足感があるが,ここだけは別格。また,これらの1ランク下であれば,札幌医科大学も選択肢としてある。
公立については小規模の単科大学が点在している,いずれも難易度は最易の部類に入り,知名度も高くない。
私大においても偏差値で50を超えるものはなく,「BF(ボーダーフリー,測定不能)」評価の大学も珍しくない。
<東北地方>
これまた旧帝国大学である東北大学の一強であり,国立については宮城県以外の各県を代表する大学が近いレベルで競っている。
目を引くところでは岩手大学農学部には共同獣医学科(東京農工大学と共同のためこの名らしい)があり,非常に難易度が高いものであるほか,秋田大学にはかつて鉱山学部という学部があり,この系譜から成る国際資源学部と理工学部が現存している。
個性豊かなのは国立だけではなく,公立においては前述の国際教養大学や,コンピュータに関する研究機関として評価の高い会津大学がある。
このほか,公立では医学部を持つ福島県立医科大学や,保健系の学部を持つ大学が点在している。また,美術系の単科大学である秋田公立美術大学の存在は異彩を放っていると言って良いかも知れない。
難易度は東北大と国際教養大,医薬系,農学部獣医系を除けば偏差値50前後であり,国公立の中では「やや易」くらいの位置になる。
私大については,東北医科薬科大学と岩手医科大学の医学部が突出しているのを除くと,唯一の総合大学である東北学院大学が高い評価を得ている。また難易度について言えば,野球で有名な東北福祉大学もこれと同程度のところにいる。
ただ東北の私大についても,「BF」を含めてかなり下の方に位置している大学が多い。
<関東・甲信越地方>
言うまでもなく日本で一番多くの大学がひしめいており,東大を頂点に国公立,私立と多彩な大学がある。
まず国立について言えば,東大>一橋・東科>筑波・横国・千葉>埼玉・新潟・信州>茨城・群馬・宇都宮・山梨といったところか。
それ以外にも国立女子大の一角であるお茶の水女子と外国語特化の東京外大は筑横千相当の難易度である。東京農工,電気通信もこの辺りであり,理系の東京海洋はその一つ下のいわゆる「5S」レベル。
教育系の東京学芸大はやや難易度がばらけるが,やはり筑横千〜5S辺りに相当する難易度になる。
公立では東京都立がトップである。関東では多くない独立した法学部を有する大学だが,東大や一橋の受け皿にはやや弱い。
これに匹敵するのが横浜市立であるが,規模が小さいのが泣き所。それ以外は,他地方と同様に主に保健系の小規模大学が各地に点在する形。
高崎経済や都留文科などは私が受験生だった頃は独自日程だったので印象に残っているが,高崎経済は今は割と難易度高めである。
私大について言えば早慶をトップに本当に数限りなく…と言うと大袈裟だが,河合塾の地方別ランキング表が46ページまであるくらい数がある。
トップの早慶は上述したように東京一工の受け皿の役割も持ち,そのブランド力も相俟って日本で大きな影響力を持つ。
また,早慶上理やGMARCHのような有名どころ以外の,あまりその名を聞かない大学でも偏差値50前後あるところが散見される。他地方でこのレベルの私大はそれほど多くないので、特に東京においては私大の偏差値バブルはまだ続いているのだろうか。
ただ,逆にかつて名門と言われた女子大やそれなりに名の知れているはずの私大でもこれらに及ばないところまで難易度が下がっているところもあり,やはり少なからぬ大学でBF〜30台に甘んじているところも多い。これらの大学であれば,この先生きのこるにはどうしたらいいのか,ということが課題になってくるのかも知れない。
ちなみに余談だが,多摩美大や武蔵野美大にも入試の偏差値が掲載されているが,必要なのだろうか。この系統ではトップと思われる東京芸大とともに,一般的な大学入試とは違った入試をやっている印象があるが,どんなものだろうか。
<東海・北陸地方>
関東以外の地方は全てそうだが,旧帝大の名古屋大学がトップ,旧六医大の一角の金沢大がナンバー2になる。
ただ,工業系に限れば名工大が金沢大を上回る難易度を誇っており,医系では浜松医科大学が,また公立では名市大が若干軽量気味ながら金沢大の同系統の学部に匹敵するレベルにいる。
その下にいわゆる「5S」クラスである静岡,岐阜,三重が続き,わずかに遅れて福井,富山といった県名を冠する国立大が続く様相である。
これ以外にもいくらかの公立大学があるが,その多くが偏差値50以上となっており,決して簡単に入れるものではない。
なお,この地区の公立大学は医療・看護系の大学,○○県立大学と名のつく大学のほか,芸術系の大学が3つもあり(金沢美術工芸,静岡文化芸術,愛知県立芸術)、逆に教育系は愛知教育大しかない。これは意外な特色と言えるだろう。
私大は名古屋圏に集中している印象で,医大(愛知医科,藤田医科)を除けば文系は南山,理系は名城がトップで,名城に愛知大,愛知学院大,中京大を加えて「愛愛名中」と呼ばれる大学群を形成している。「愛愛名中」はよそで言えば日東駒専や産近甲龍あたりと同じくらい,南山はそれらより少し上の難易度である。
また,天下のトヨタを擁する地区だけあって工業大学が多いのが目を引く。東海では前述の豊田工業大に愛知工業大,北陸にはやはり就職に強いと言われる金沢工業大や福井工業大がある。
ただ,全国区と呼べる難易度の高い私大は多くなく,多くは偏差値30〜40台であり,BFレベルもかなり多い。
<近畿地方>
「国公立=大正義」という価値観が根付き,上位国立3校(京大・阪大・神戸大)で「京阪神」という鉄壁のブランドを構成している地区である。
これに割って入ろうとするのが大阪公立大であり,難易度で言っても出自(旧三商大)で言っても恐らく日本最強の公立大学と言える。
これに続くのが滋賀大,京都府立大,和歌山大,兵庫県立大あたりだが,工業系だけであれば京都工芸繊維大があり,女子大なら奈良女子大もこれに匹敵するか凌駕する実力を持つ。
難易度の序列で言うと,京>阪>神>阪公・京工繊>奈良女・京都府立>滋賀>和歌山・兵庫県立といったところか。
また医系の国公立大が多いのも特徴で,京都府立医大・奈良県立医大・滋賀医科大・和歌山県立医大はいずれも京阪神に劣らない難関である。
このような中でどうしても「国立の滑り止め」的な位置に置かれがちな私立であるが,関西トップの同志社はそのまま西日本トップの私大であり,京大落ちだけでなくそのブランドで多くの優秀な学生を惹きつけている。
産近甲龍の中では近大がマグロやアナゴなどの宣伝効果もあって勢力を伸ばしているが,それ以外は偏差値50未満の学部も多く,少し元気がない印象。むしろ京都女子,同志社女子,武庫川女子などの女子大が元気であり,難易度において上回っているところも多く見られる。
近畿には私大は非常に多いが,東海・北陸と同様に一定程度の難易度にあると言える大学は言うほど多くない。某首長のあいさつで話題となった姫路獨協大学も含めてやはり偏差値30台やBFは多く,この先(以下略)と言わざるを得ないところも多い。
そんな中で目を引くのは,京都精華大学の「マンガ学部」と大阪電気通信大学の「総合情報学部デジタルゲーム学科」だろうか。
私は以前娯楽装置という小説を書いたことがあるが,それを地で行く(かどうか内情は分からないが)大学があったとは。
関西という土壌なのだから,もっとおもろい,個性的な大学があっても良いのではないかと思うが、どうだろうか。
(専門学校でええやん,と言われそうだが)
<中国・四国地方>
旧帝大がないため,旧二文理大の広島大と旧六医大の岡山大が激しい覇権争いを繰り広げている。
現状は都市規模の分だけ僅かに広大がリードしているように見えるものの,岡大も公務員試験総合職合格者数で上位に入るなど力を伸ばしている。
これ以外の国立はこの2校とはかなり差があるが,経済系が強い山口大,農学系の評価が高い鳥取大に国内初の生体肝移植を実施した島根大(当時は島根医大),実はノーベル賞輩出大学である徳島大,数少ない独立した法学部を持つ香川大など何気に個性のある大学が多かったりもする。
公立は古くからの伝統ある大学と最近できた新設が混在する。前者のうち広島県立大など下位国立に迫る難易度のものもあるものの,特に後者については多くが苦戦している印象である。
私大はさらに分が悪く,多くが偏差値30台やBF評価である。苦境を脱するべく公立化に光を見つけようとする大学(山陽小野田市立山口東京理大,周南公立大)もあるが,決して都会とは言えないこの地区で評価を挙げられないようだと「廃校」の2文字さえ頭をよぎるだけに予断を許さない。
まあまあの伝統があるはずの広島修道大や松山大などはここまでではないが,かつてと比べるとかなり難易度は落ちている。
逆に近畿地区と同様,就実やノートルダム清心といった一部の女子大がこれらに匹敵するレベルのところにいるのが目を引く。
とはいえ,広大や岡大落ちで行くには少し厳しいところであり,私大不毛の地区であることは残念ながら間違いないと言わざるを得ない。
<九州・沖縄地方>
他の多くの地区と同様,旧帝大の九州大が大正義として君臨し,他は県名(又は旧国名)を冠する国立大学がしのぎを削る。
2番手は旧六医大の熊本大だが,工業系だけであれば九工大もこれに匹敵するか凌駕するレベルの難易度がある。
3番手争いは同じく旧六医大の長崎大がややリードするが,いわゆる「5S」よりは少し下と見られている。
佐賀と琉球は日本の総合国立大学の中で最易と言われる大学群「STARS」の中の2つに数えられるが,宮崎・大分・鹿児島と比較しても大きな差はないと言って良いだろう。
なお,鹿児島には日本唯一の国立体育大学である鹿屋体育大学があるのは特筆すべきところである。
公立大学については他地区と比べて少ない印象であり,難易度も(軽量入試のところも多く)あまり高くない。
私大は福岡大と西南学院大の2強。西南学院が文系のみ,福岡は文系・理系各学部を擁する比較的大きな規模の大学となっており,いずれも難易度的には近大と同じか少し下くらいと思っておけば良いだろう。
また,国際系に限れば新興勢力の立命館アジア太平洋大が九州の私大ではトップレベルの難易度を誇り,また全国区の高い評価を得ている。
それ以外は医療系(久留米大,産業医科大)を除くと高くても40台中盤くらい(九州産業大や福岡工業大九州ルーテルなど)であり,少なからぬ大学がやはり30台やBFの評価に甘んじているところである。
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