血だらけの手


ある朝目が覚めると、手のひらが血だらけになっていた。私は一瞬何がおきたのかわからなかった。昨日床につくまではきれいな手だったはず・・・。

「寝ている間に引っかいて、どこかのカサブタを取ったのかなぁ?。」

それなら指が血で汚れていそうなものだが、指は全然汚れてない。手のひらの、それも真ん中だけに血が着いている。
考えてもよく分からないし、とりあえず手を洗いに台所へ行くと、妹が私を見て笑って言った。

「ハハハ、ゆかちゃん、鏡みてん。」
「はぁ?」

と思って覗いた鏡には世にもマヌケな私の顔が・・・。
額に血が「バーン」とついていた。手のひらの血と形が似ている。それだけではない、よーく見ると、額の赤丸のまんなかに蚊が張りついているのだ。

私は昨日の夜の事を思い出した。そういえば蚊が耳元でブンブン、ブンブン言ってたっけ。眠たくて半分目をつぶっているわ暗いわで、ブンブン言うあたりを、見えないまま片手を顔に押しつけた。その中に「当たり」があったのだ。おまけに私が蚊に刺されたところは眉毛の下あたり。薬も塗れやしない。


何で蚊は、目の回りなどの「薬を塗れない所」や、足の裏などの「薬が効かない所」ばっかり攻めてくるのかなあ。

「耳元でブンブン言わんと、
薬が塗りやすい所を噛ませてやるから、とっととどっか行ってくれ〜。」

と思うのは私だけでしょうか。

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