白い爆弾息子


先日から引っ越しで、車で荷物を運んでいる。愛車サイノスにはあまり荷物が積めないので、毎日小さなダンボール5個ずつ位運んでいる。初日は本とCDを運んだ。小さな本棚だが10年かけて上手に詰めたのでとてつもなくよく詰まっていた。本を出してみてびっくりした。(本はこれから3日に分けて運び出す事になる)アパートの2階に本棚があるのだが、よく今まで床が抜けなかったと思うくらいの量だった。本の入ったダンボールを全部一階に降ろし、一気に車に積んだ。私は家の鍵を締めて新居へ向かった。

新居で本を車から降ろすのがまた大変。降ろしたら降ろしたで新しい本棚に並べて、「この並べ方では後から来る本が入らないじゃないか」と思って並べかえたりしていたので、本5箱、CD6箱とはいえ結構時間がかかった。(私は引越し荷物をとりあえず運んでおくのではなく、持って行った分は確実に片づけたい人なのだ。)

新居での片づけを終え、帰りに近所のスーパーに寄った。スーパーの中でご近所さんに会った。ご近所さん曰く
「猫、家の中に入れました?。2階でないてましたけど。」
私は一瞬目が点になった。いつの間にあいつ…。
「ど、どうもありがとうございました…。」
私は言葉半ばに飛んで帰った。

夕方遅かったので家の中は真っ暗だったが、鍵を開けるなり
「くさい!」
暗闇の中、猫が足元にまとわりついてきた。こういう時に限って電気のコードが見つからず、やっとヒモを見つけて明かりを点けた。私は臭いの正体を見た。

私は猫を外に放り捨てた。私が見たものは、コタツ布団の上に半分下痢状のうんこ。パソコン椅子の足におしっこ。台所はスキムミルクの粉だらけ。コタツの天板の上にも水滴が散っているので、どうやらコタツの天板の上にこしかけて布団めがけて爆弾を落としたらしい。

コタツ布団はこの8月に洗ったばかりなのに…。私はパニック状態だった。でもこういうときの私は気が張っているのか、なぜかパニクっている割には冷静な行動をとる。速攻でコタツ布団のカバーの上の糞尿を取り除き、洗濯。コタツ布団本体にもしみていたので、コタツ布団もシャワーと洗剤で汚れた所を洗い、外に干した。もう夜中なんか関係なかった。コタツ天板と床や椅子はアルコールスプレーで拭いた。スキムミルクは掃除機でうまく取れなかったので雑巾で拭き取った。

2階へ上がってみるとやっぱりくさい。奥の部屋の畳の色が変わっていたので、どうやらそこでおしっこをしたようだ。またアルコールスプレーで拭いた。一階の臭いがおさまったころ、2階に上がってみるとまだくさい。明らかに手前の部屋とにおいが違う。テレビのスピーカーのツブツブに水滴が…。またよーく探して見ると、目ざまし時計と洋服タンスにおしっこが散ったあとが。そこを拭いてもまだくさい。絶対テレビの辺りが怪しいと思うのだが…。

次の日に行ってもまだくさい。臭いの位置から絶対テレビだと思って、テレビをひっくり返してびっくり。テレビの底におしっこがついている。くさいはずだわ。そこも拭いて拭いてふきまくった。

今日、そのテレビが乗っていた台を引っ越しで運んだ。台の裏を何げなく見て「うわーっ!!」と思った。白木の台の裏にシミが…。「こんな所までおしっこかけるなよ」。

猫は6時間位うちに閉じ込められていた事になる。2階でないてたって話だから、「出してー」とか「開けてー」とか叫んでいたのだろうが、勝手に入って来ておいて爆弾攻撃とはこちらはいい迷惑だ。多分本を車に積むとき私と入れ代わりに入ったのではないかと思う。それにしても一週間がかりの猫騒動だった。恐るべき爆弾息子。


猫の写真8KB(注)この猫はノラでうちの飼い猫ではない。うちによく遊びに来るが絶対家にはあげないようにしている。しかし勝手に入ってくるので、そのたびにひっ捕まえ、外に投げられる。

この猫は自分でドアをあけて家に入る芸当を身につけているので、鍵を締めていないと勝手に家に入ってくる。また、私が外から帰ってきて鍵を開けようとすると、私の足元に座って、10センチ位戸が開こうものならすぐ家の中に入る。私より早く家にはいるのだから許せない。当然猫はすぐつまみ出される。夏、花に水をやるときが特に大変で、バケツとジョロを持って外と中を3往復するのだが、その間猫を6回つまみ出す。私が出ようと戸を開けると入ってくる、猫を出す、戸を締める。私が家に入ろうとする、猫を出す、戸を締める。これを3回繰り返すのだ。

目が青く毛が真っ白(いつも汚れて灰色になっているが、シャンプーしたら見違えるようになるだろう。)で愛嬌がいいやつで、いろんな所で可愛がられているようだ。7〜8年前、うちに通っていたお婆さん猫にそっくりなので、子供かもしれない。(写真は1999年春、うちの玄関前で日向ぼっこしているところ)

次ページへ