腹時計


普通、腹時計というと、昼どきや夕飯どきに必ず鳴る、というものだが、私のはちょっとちがう。

中学校の頃、毎日、帰り道の同じ場所でお腹がいたくなっていた。そこから家は歩いて2分ぐらいなので、帰ってトイレに行っても十分間に合う。でもなんで「毎日」「同じ場所で」腹痛を起こすのかわからなかった。学校が休みの日はお腹が痛くならない。お腹が痛くなるのは必ず「学校の帰り」で「お地蔵さん前」だった。私は考えてみた。毎日決まった時間にくるのだから、毎日学校がある日に決まった時間にすることは何か?…。

…牛乳…。

私の学校では昼ごはん時ではなく、終業のホームルーム時に牛乳が出た。それを飲んでクラブに行く者、帰る者、に別れた。注文だけして飲まない者もかなりいたので、牛乳は毎日残る。運動部の男の子には、未開封のひとの牛乳を毎日1リットルも水がわりに飲んだいう猛者がかなりいると聞く。私も小学生の時は一気飲みとかやっていたので、牛乳は好きだ。部室が牛乳置き場から遠かったこともあり、クラブ中にひとのまで飲んだことはないが、毎日決まった時間に飲んでいた。ひょっとして、と思い、1日だけ飲むのをやめてみた。

その日、クラブの帰りにいつもの道を通って、お地蔵さんの前を通りかかったが何もおきない。帰ってもどうもないのだ。次の日から先生に理由を言って牛乳の注文をとめてもらった。ホームルームも決まった時間、クラブが終わるのも決まった時間なので、いつも決まった時間にお腹が痛くなる。いつも同じルートで帰るのでお腹が痛くなるのが同じ場所になっていたのだ。

この時に私のお腹はキッチリ2時間で下ることがわかった。そして高校に行ってからしばらくして、牛乳を飲んでもお腹がいたくならなくなった。今は氷をいれてギンギンに冷やして飲んでもどうもないのだから不思議だ。それから後、他にキッチリ2時間で来る物があることがわかってきた。L製菓の「Z」というチョコレート。確かに注意書きに「大量に食べるとお腹がゆるくなることがあります」とある。私は一箱全部食べると必ず来る。半分ぐらいまでならいいのだが、どうも全部食べるとまずい。それでなるべくこのお菓子は人前や出先では食べないようにしている。それから最近わかったのは梨。店頭や梨園にある気温と同じ温度の「ホット梨」はいくつ食べても平気なのに、冷蔵庫で冷やしたのを1個全部食べるとヤバい。

食べて下るまでの時間がピッタリ2時間なので、何を食べてそうなったかが推定できるのはいいが、食べてしまった後に予定は入れられない。全部出し切ってしまうまでは。

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