収納の虫


アパートから引っ越して、あまり新しい調度品を買わないようにしていた。家が広いからといっていろいろ買っていたのではすぐ狭くなってしまうからだ。狭い家の押入れにはいろんなものが上手に入っている。私は引っ越すたびに思う。「どうやってこれだけの物をあの家におさめていたのだろう。」今回も同じ事を考えた。新しく買った物を全部捨てても、今あるものも前のアパートに詰めることはできないだろう。

アパート時代、押入れが狭いのでいろいろ工夫していた。洋服ダンスの上は天井までぎっしり服やカバン、植木鉢やクリスマス用品などを乗せていた。押入れにはカラーボックスの背板を抜いていれ、天井まで物が積めるようにしていた。今は押入れにかなりゆったり詰めているので、かさは押入れいっぱいだが、かなりスカスカだ。私はあまり本気で詰めようとしない。アパート暮しの収納の知恵を絞れば、押入れのかさは半分になるだろう。でも私は押入れの収納力に合わせて物を買うようで、収納力をアップして隙間をふやせば、それに見合う量を買ってしまうので、わざとスカスカのままにしているのだ。

しかし、手をいれないといけない所が出てきた。庭の小屋だ。前の住人が置いていってくれたもので、重宝している。主に園芸用品が入っている。買い置きの土、植木鉢、ガーデントローリー(農業用コロ付イス)、プランターの足、土方スコップ、くわ、ホース、噴霧器、等々。アパート暮しの時はスコップは玄関に、ホースは風呂に、植木鉢は洋服ダンスの上に、噴霧器は押入れに、土は軒下に置きっぱなし、と分散していたのだ。まとめて置けるようになり便利になったが、あまりの多さに自分ながら驚く。小屋に手を入れようというのは、こういう訳だ。アパートは国道のすぐそばの平地だったので少々の雪でも凍結しなければ年中夏タイヤでよかった。今の家は坂の上なので、雪が降ったら帰れない可能性がある。それでスタッドレスタイヤを買おうと思っていて、夏タイヤを置いておくスペースを小屋の中に作ろうと思っている。

幸い小屋の中は、腰から上の空間は使っていない。小屋の中にアングル棚か何か置いて、一番下にタイヤや植木鉢等の重い物、上の段にはプランターや使いかけの肥料や、噴霧器等の小物を置けば、と思っている。そこで心配なのが例の「収納力に合わせて物を買う」癖。小屋を改造するなら、一気にやったほうが安上がりなのはわかっている。だが、今一気に収納力をアップさせると、多分小屋がスカスカになってしまい、また物を詰めるだろう。いいのかわるいのか。ヘタに収納力をアップさせるより、夏タイヤを実家に預けるとか、他の方法を考えたほうがいいかもしれない。

家の押入れにしてもそうなのだ。花瓶の入っている棚などはかなり効率の悪い入れ方をしている。棚板が奥のほうにしかないため、奥はスッキリしているのだが、手前側が突っ込み放題になっている。また、2階の倉庫として使っている部屋もオルガンの上が使えていないので、床に箱が置きっぱなしになっている。またぎ棚を使えばかなりの物が片づくはずなのだが…。生活が落ち着いてきて、そろそろ収納の虫が騒ぎだした。この虫はかなりの強敵である。数年前にも「河村家おしゃれに変身計画」と称して、いろいろ手をくわえた時期があった。今でもこの時の貯金がきいていて、何でもないけどちょっとおしゃれな物が家に、特に台所にはある。このときはかなりお金がかかった。今回はかけられるお金はない。うーん、何かお金のかからないよい方法を思いつくまで、ガマンするしかないか。

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