夢の年間上演本数


私は眠っている間にあまり夢を見ない。夢を全然見ないわけではないのだが、夢を見ない人は、よく見る人より一晩で見る夢の本数が少ないと聞く。私は初夢が夏休みやゴールデンウイークのあたりになるのはよくあること。見る数が少ないだけならまだいいのだが、気持ち悪いのや恐いのばかり見てしまうので、子供の頃は寝るのが嫌だった。

子供の頃よく見ていた恐怖の夢は、真っ白い広場のような所に私が寝ていて、突然白い壁が現れて四方からザザーっと私めがけて寄ってくる。何度も同じ夢を見るので、私は夜寝るのをいやがって「お腹が痛い」「トイレに行ってくる」「喉が乾いた」とか理由をつけて眠りたがらなかった事を覚えている。

他に最近見た気持ちの悪い夢と言えば、家の裏に川があって、大水が出て川の水がミルクコーヒー色になってものすごい勢いで流れている。そこに流れてくるのはおびただしい数の死体。それも人間の腐乱死体や錆びたヘルメット、丸太…。こんなのもあった。見知らぬ少年3人が嫌がらせをするためにうちに白い猫の死体を捨てに来る。首の所がスパッと切れてない。切り口がギザギザしていて、首をちぎったように見える首なし死体(胴体)。その少年たちがうちに勝手に上がり込んでコタツで寝ているのだ。

なかなか笑えるものがなくて困る。微笑ましいとか、おもしろいとか、きもちいいとか、そういうのはまずない。気持ち悪い、恐い、ヘンなのばかりなのだ。一番最近見た夢は、恐くはないが、ヘンテコな夢だった。

友人と赤ちゃん(1才位)がベッドに寝ている。そこへ私が入ってくる。3人で川の字になって寝ようとすると、友人が「死のうか?」というのだ。私は「えー?!」と思ったが、「これはかなり悩んでいるようだ。悩みを聞きださねば。」と思い、全然死ぬ気はないのに「うん、そうだね。」と言って手のひらいっぱいの薬を友人からもらう。しかし内心「げげ、こんなにいっぱい飲むのかよ。」と思った。

私は薬を一旦口に含み、友人がよそ見をした隙にベッドの下に薬を吐き出し、コップの水だけをゴクゴク飲んだ。そして「どうせ死ぬんなら最後に話せば。」と悩みを聞き出した。詳しい話は忘れてしまったのだが、話の内容はこんな感じだった。「友人が直接の犯人ではないのだが、不正疑惑の鍵を握っているのが友人で、そのことで組織の人に追われているらしい。」

話がだいたい済んだ頃、深夜の来客がある。友人がよく知っている人で、家に上がり込んで長電話をしている。電話をしている間、友人がちょっと部屋を出た。その隙に私はさっき吐いた薬を隠した。「客が帰ってそのまま寝てしまったら、私は飲んだフリして吐いたのでいいが、朝には友人は死体になっているだろう。困った困った、なんとか自殺を思いとどまらせなければ。」と私は思った。「友人が薬を飲んでからもう1時間以上たっている。早く手を打たなきゃ。早くなんとか。」と思った所で目が覚めたのだ。

覚えているものの中には割と死体がらみの夢が多い。死体の夢や死ぬ夢は、夢占いでは悪い事を示していない事が多いが、見るほうから言えば気持ちが悪い。ホラーは大嫌いなのに、ホラーな夢が多い。「今の続きが見たい」と思えるような楽しい夢が見てみたい。しかし、私の夢は年間上演本数が少ないのでいつになることやら…。

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