小さな助っ人


うちの近くにゴルフの練習場がある。たまに行くのだが、照明がガンガンについているので夏場は蛾が多い。蛾はゴルフボールの籠にとまったり、目の前をチラチラ飛んでみたり、蛾の嫌いな私にとって、夏の夜のゴルフ練習場は怖くてゴルフに集中できるところではない。

ゴルフ練習場はかなり前から行っていたので、蛾が多いのはわかっていた。でもまさかそんなところに自分が引っ越してこようとは!。ゴルフ練習場は夜の11時半位まで照明がついている。ゴルフ場の照明があるうちは、うちの庭の明るいのだが、照明が消えると真っ暗。真っ暗は気持ちが悪いし、放火予防も兼ねて、庭に電気をつけている。テレビか何かで見た、放火犯に聞いた「放火を思い止まった理由」の中に、明るかったから、よそから丸見えだったから、というのがあったのを思い出したのだ。

そこで問題は蛾対策。うちの窓辺で蛾が舞い舞いしてくれたのでは困る。窓ガラスも汚れるし、なにより怖くて夜、洗濯物など干せたものではない。引っ越して最初の夏、窓辺のガーデンライトをつけるのをかなりためらっていた。それでソーラー庭園灯を買って花壇に設置した。

夏場はいい。問題はこれから1カ月。日が短くなるので、ソーラー庭園灯があまり長く照らない。夜、庭園灯が消えた後どうしても窓辺の明かりをつけなければならないのだ。11月に入ると蛾もいなくなるので、電気を一晩中つけても安心なのだが…。

先日、夜、洗濯物を干していると、白い蛾が壁にとまっている。「げげっ」と思ったが、結構気温が低かったので、蛾もあまり動かない。刺激しないようにそーっと洗濯物を干していたのだが、蛾から目は離せない。そのとき蛾の下から忍び寄るグレーの影が。ヤモリだ。私は洗濯物を干し終わったのだが、ヤモリと蛾の戦いを見ていた。最初、ヤモリの攻撃をかわした蛾だが、2回めの攻撃で、ヤモリに食われたと思った。しかしヤモリがくわえたのは羽の先だったようで、パタパタと飛んでまた壁にとまった。今度は屋根の方から別のヤモリがでてきた。上下からヤモリに狙われて蛾、危うし、と思ったら、下のヤモリが胴体をぱっくりくわえて食べてしまった。上のヤモリは「あーあ、下のヤツに食われたよ」と思ったのか、どこかに消えていった。

我が家の窓辺の安全は、小さな助っ人たちによって守られている。がんばれ、ヤモリ。

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