きもの


ここ最近、きものを着る機会が増えた。といってもお芝居の衣装がきものなので、きものを着た動きを想定した稽古をするために着ているのだ。私は本式にきものの着付を習ったことはない。今までも衣装で着るだけなので、我流。なんとなく、それらしく着ているだけである。

舞台衣装でのきものは普段より余計に動きまわるので、当然着崩れる。そこで必殺技。おはしょりの形にはじめからしつけしておくのだ。そうすれば、上下方向に崩れることはない。左右方向にずれたのは、中から引っ張れば元に戻る。この方法は子供のゆかたが大きすぎる時にも使うそうで、猛者は2重にはしょって、帯で隠すとか。(それで子供のゆかたの腰がモコモコしてるのか。なるほど…。)

先日、膝をついて、右向いたり左向いたり、という動作をしていたら、右の身頃のおはしょりが全部出てしまい、右の身頃だけがミョーに長い(引きずるほど長い)とんでもない格好になっていた。背が低いのでただでさえ、おはしょりの量が多く腰周りがモコモコなのである。本番の衣装は、おはしょりの形にしつけをしておかねばなるまい。普段の練習は、しつけをしないで普通に着ている。今から着ておけば、少しはきものを着るのが上手になるかもしれないが、着崩れ著しい。

稽古中は普通の服の上にきものを着る。白のポロシャツの上に紺のきものを着た時は「三四郎」みたいだし、何より暑い。着ているだけで疲れる。ゆかただって、花火大会に着て行ったりするが、絶対洋服より暑い。きものを涼しい顔で着ていられるようになるにはどうすればいいのだろう。昔の人はきものを普段に着ていた。蒸し暑い夏など、きものはあまり快適ではない。もっとも平安時代には十二単なる驚異のスーパー重ね着もあった。冬はまだいいが、夏は重ね着の枚数が少なかったのだろうか。当時は風呂にもあまり入らなかったと聞くので、あせもにならなかったのか疑問である。

慣れないきものに四苦八苦である。

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