沖縄ギリギリガールズ


1日目

GWに友人2人と沖縄に行った。目的はダイビングのライセンスをとること。私たちは「ギリギリガールズ」だ。いつもギリギリのところで何か間違えている。前にも福岡の都市高速で迷子になったし、何か不安のある危なげなメンバーである。今回のハプニングは、初日から起こった。新幹線の駐車場が近くて料金が高い所から、遠くて安い所まで全部満車!。空いている駐車場をさがして、何周かぐるぐる回ったあと、とんでもないところに空いている所を見つけて停めた。第一希望の新幹線に乗り遅れそうだったのでまさに「ギリギリ」。(遅れても第二希望までに乗れれば飛行機には間に合うのだが、それでは昼食ぬきになる。)

新幹線、飛行機と無事に乗り継いで沖縄へ。駐車場もギリギリでクリアできたし、完璧である。そして空港近くのレンタカー屋で1時間ぐらい待たされて車を借り、東南植物園に向かう。着いたのは5時半。植物園の入り口の人に「ここ、6時までなんです。今日は団体客の方が遅れて入られたので、今日は少し遅くまであけています。」と言われた。見て回るには1時間ぐらいかかるらしい。あきらめて、写真だけとって帰った。ここでもギリギリ間に合わない。「ギリギリガールズ」ぶりを発揮してしまった。

しかたがないので次の目標、伊計島に行く。車で走っているうちにカーナビのルートからはずれていくが、適当に走って本ルートに出た。海の中に道ができていて、夕日が美しそうなところだったが、とっくに日没して夕焼けはほぼ終了の時刻。夕焼けをバックに写真を撮ろうとするが、シャッターのリモコンが効かなくて、セルフタイマーを押して走って写真の列に入るが、撮れるのはヨリちゃんの後ろ姿ばかり。ここでも何枚かオマヌケな写真をとって伊計島ビーチへ。ビーチに着いた頃にはもう真っ暗。ビーチでキャンプをしている人がいたので、その明かりがたよりである。20分位遊んでダイビングショップの宿へ。

途中コザで道を間違える。ナビが少し遅れて表示したのでその通り行ったら、嘉手納基地のゲート前。あわててUターンして一つ前の道に入ったつもりが、2つ前の道に入ってしまったようで、またナビのルートから離れていくが、適当に走って本線に出る。それからは道なりに進むのだが、最大の難関は大通りからダイビングショップへ入る事。ほぼ近くまで来ているのだが、ナビの案内は終了するし、真っ暗だし目標はないし、途中海岸通りの一方通行の道を逆走するしで、どこをどう走ったかわからないが、偶然店の前まで出た。とにかく私が道を間違えまくったのは間違いない事実だ。その日はご飯を食べに出て、なんとか終わった。


2日目

午前中は機材の組み立て方とプール実習、午後は海で実習である。生徒は6人。沖縄から来た2人、私たち3人と福岡のユミさん。私はマスクの水抜きをするとき鼻から空気を吸いそうでむせたり、マウスピースから水が入ってきたり(単に噛みようが甘いだけ)して、溺れそうになった。「ありちゃん」というダイブマスターをめざしている人が潤子先生のサブで、教えるのを手伝ってくれた。私は泳ぎには自信があってプールでも海でも溺れる思いをすることはまずないのだが、今回だけはマジで溺れるかと思った。しかしこんなところでわかったフリをしていると、海に出てから自分が困る。潤子先生が他の生徒をみている間にありちゃんが私についてマスククリアを教えてくれた。おかげでプール実習はなんとかなった。

次、海での実習では私の機材からどうも空気が漏れてるらしいことがわかり、レギュレーターを交換。3本ホースのタイプの物に変更されたので、「3本じゃ助けてあげられないねえ。」とかいいながら海へ。浜なのであまり透明度はよくないといっても、瀬戸内海よりは格段にきれいだ。先発隊の私とヨリちゃんが潜ったときはまだマシだった。しかし後の組がポイントにつくまで、私たち2人で海底を踏みまくるので、6人目が来るころには砂が巻き上がって視界はメチャクチャ。そのあと、沖まで泳いで行って終了。いくら浜とはいえ、瀬戸内海よりずっときれいな海で、珊瑚礁もあるし、熱帯らしい小魚はたくさんいるしで、海洋実習が終わる頃には、朝プールで溺れそうになったことはすっかり忘れていた。浜に歩いて上がるのだが、水から上がると機材がズッシリ重い。大きな石がゴロゴロしている所をタンク背負って歩くのは辛い。水中での軽さがウソのようである。そしてショップ帰ってから少し学科をやった。

その日、夕御飯をダイビングショップのスタッフや試験が終わった人と一緒に行くが、明日の試験が気になり、私と笑ちゃん、ヨリちゃん、ユミさんは先に帰ることにした。ライセンス用の写真がいることを聞いてなかったので、私とユミさんは近所の大型スーパーにデジカメプリント機や証明写真ボックスを探しに行った。デジカメプリントは39分もかかるし、証明写真ボックスかと思っていたものは「求人情報ボックス」だったりして、日焼け止めだけ買って帰った。もちろん、宿に着いてから猛勉強である。しかし教本を読んでいると、試験に出そうな所以外も読んでみたくなり、寄り道が多くなる。で、とうとう最後まで読まないうちに寝てしまった。明日朝食後にまたやるか。


3日目

朝食後、集合時刻まで30分あるから教本を読もうと思っていたら、「8時半出発で慶良間に行くので、支度してください。」と電話がかかる。電話がかかった時刻は8時半。ヒェー、私たちは泡食って大急ぎで支度。お茶と日焼け止めだけ持って行くと「タオルとかはいいんですか」と言われ、あわてて部屋のバスタオルを持って行く。私たちの格好はあまりに軽装すぎたようだ。船で1時間半ぐらい走って慶良間諸島の儀志布島沖についた。船がとまるとゆーらりゆーらりして酔いそうになる。今日の担当はハルカ先生で最初はシッティング・バックロール・エントリー。船の縁に座ってコロンと後ろ向きに海に入るのだが、見た目溺れそうで怖い。「コロンと入って水飲んだらどうしよう」と思っている間に私の順番が来て、船長さんが私を船縁から押す。意外に結構大丈夫。タンクが重いので、船縁に座って力を抜くと後ろに落ちる。やってみればなんとかなるもんだ。

コンパスナビゲーションの説明の時に、ちょっと気持ちわるくて吐いた。だめだ、頭がグラグラする。昼御飯は私が好きなカツ弁当。普段なら完食なのだが、船酔いでさすがに食べられない。大好きなカツは端っこの小さいのを1切れ、ごはん3口。あとは一番酔いそうにないキャベツばかり食べた。次に来るときはお弁当はいらないなあ。多分。

慶良間の海にはきれいな魚がたくさんいた。私が名前がわかる魚はカクレクマノミと紋柄カワハギだけだったが、海に図鑑が持って入れるなら持って入りたい気分だ。海底に大きなシャコガイの殻が落ちていて、私は「欲しいけど、あれを拾って帰ったら怒られるだろうなー」と思った。(最初にまわりの物にあまりさわらないよう注意があった。)帰って聞いたら他のメンバーも同じことを考えていたことがわかり、おかしかった。きれいな海の中にいると、船酔いしても来てよかったと思う。帰ってから聞いて名前がわかったのだが、ハマフエフキ、六線スズメダイ、オグロトラギスなどの魚がいた。帰りの船でトビウオを見た。結構長く飛んでいて、「あーーーーーーーーーーーーー、とびうお」ぐらいは飛んでいた気がする。隣に座っていたユミさんにトビウオがいたことを言ったが、トビウオはそれっきり現れなかった。残念。

ショップに戻って試験。外は雨が降っていて、部屋の中が満員なので屋上で試験を受けた。風が強くて寒いし、問題と回答用紙が飛ばされないよう、結構大変。結果は全員合格でメデタシメデタシ。教本を最後まで読めずに寝てしまったのが悔やまれる。そしてもう一つ悔やまれるのが、琉球ガラス村に電話できなかったこと。朝は予約電話をかけるどころではなかったし、夕方は試験を受けている間にガラス村の閉店時刻を過ぎてしまい、ガラス製作の予約を入れられなかった。「ギリギリガールズ」、ギリギリでダメである。

ダイビングショップを後に、次の宿へ向かう。昼御飯を食べてないのでお腹はすきまくっている。着くなりどこで食べるかの相談。「沖縄そばと泡盛」をキーワードに選んだ店「Tぬ美しゃ」。大通りより1本入った所にあったので結構探してやっと看板をみつけた。そして「本日串焼き30%引き」の文字。「うわー、ラッキー」と思いながら店に入る。何かあまり月をイメージしてないインテリア(笑ちゃん談)でフツーの食堂だ。ヨリちゃんが店の人に「沖縄そばはないんですか?。」と聞いた。店の人は「うちは串焼きの店ですから。」と言った。しかたがないので、串焼きを3本ずつぐらいと焼きおにぎり、飲み物を頼んだ。箸袋もぜんぜん違う店の名前だし、表に確かに看板があったのに…???と思いつつ、お腹半分ぐらい食べて会計を済ませた。店の外に出て3人唖然。間違えて隣の店に入ってしまったのだ!。さすがは「ギリギリガールズ」、ギリギリのところでなぜか間違っている。しかしなんで隣の店に入るんだ?。で、2次会を当初の目的の店でやり、隣どうしの食堂のハシゴになってしまった。満腹で国際通りを歩くが、12時近いので店はコンビニ以外ほとんど閉店。開いているのは深夜営業の食べ物屋ばかり。そして露店で自分のおみやげをそれぞれ買い、国際通りを1周して宿に帰る。帰り道、「先におみやげ買って、開いている店で食べればよかったのかなあ」という話になった。やっぱり「ギリギリガールズ」、ギリギリのところで詰めが甘かったようだ。ま、間違えて入った串焼きも安くておいしかったので、よしとしよう。2時ごろ就寝。


4日目

今日はどこに行くか前の日に話し合った結果、買い物に決まった。東南植物園も9時開園に合わせて行ければ見られないことはないのだが、なにぶん遠い。前の日が2時就寝じゃ起きられるはずがない。琉球ガラス村が開店(9時)するのを待って電話したのでは、ガラス村までの往復も怪しいのでパス。朝、紅茶風呂に入ろうと6時半頃起きて大浴場に行く。半分寝ていたが、お風呂につかると目がさめた。9時ごろから買い物に出発。アーケード街は閉まっていたが、市場は活気があった。青ブダイが当然のような顔で魚屋に並び、肉屋には豚の顔。夜光貝、伊勢海老、スナックパイン、ウイキョウ、島バナナ、ゴーヤ、パパイヤ、紅芋などを売っていた。八百屋のおっちゃんが「紅芋をバレないように送ってあげるから」と言っていたが、どうやって送るんだろう。空港のカバン検査では洗濯ヒモまで見えた。芋は形ですでにバレバレじゃないかと思うのだが。結局、紅芋はヤバそうなので買わなかった。私は肉屋でソーキに心惹かれたが、「なんだか要冷蔵っぽいなー」と思って買うのをやめる。これから12時間ぐらい持ち歩くのだ。腐ってしまうかもしれない。私は市場でシャコガイの貝殻を500円分買った。重いが、旅の思い出にはいいだろう。浜でひろった珊瑚や貝をいれて飾ろう。

市場を抜けて国際通りへ。ラッキーな事に最初にお菓子を買った土産物屋が一番安かった。あとから寄った店に同じ物があっても、前の店より高い。最高が空港の売店で価格差は+100円ぐらい。私は結構おみやげ王になってしまい、「十分と思っていても絶対足りないんだよなー。」と思いつつ、これ以上重くて持てないので買い物ストップ。おみやげ袋のひもが食い込んで肩がちぎれそうだった。(帰ってさばいてみたら、案の定足りなかったので、家族の分を削る事にした。)すでにいい加減重いのだが、最後に空港で自分用にガラスの皿を買う。市場で買ったシャコ貝や浜で拾った珊瑚や貝殻を乗せて飾ろう。

飛行機は40分遅れて出発した。搭乗口が変更になっていてちょっと慌てたが、無事に福岡までつく。福岡駅で食べたラーメンが安くておいしかった。今回沖縄では食費がかなり安くついて助かった。4日で7食1万円かかるかかからないか。飛行機が遅れても、当初の第二希望の新幹線には間に合ったのでそれに乗って帰る。岩国に帰って、車でヨリちゃんを家の前で下ろし、家に帰る。ヨリちゃんの家から大通りに出るまでの団地で迷子になりそうになる。さすがは「ギリギリガールズ」、帰るまで油断はできない。笑ちゃんと「自信のある所まで戻って、それでダメならわかる道で帰ろう」ということになり、走っているうちに正しい道に出て、我が家に帰ってきた。家に無事帰るまでが旅行である。終わりよければ全てよし。ギリギリガールズ、次はどこへ行く。

2枚貝が市場で買ったシャコ貝とシラナミ貝。浜で拾ったサンゴ、マダライモガイ(小さい紫ツブツブ模様の貝)、マガキガイ(茶色の里芋型の貝)、ニシキウズガイ(円錐形で白地に赤模様)、ハナマルユキダカラ(腹を見せている貝)、ハナビラダカラ(マガキガイの前の黄色の環模様のある貝)、などなど。中には波で削られてなんだかわからない貝も。


潤子先生、ハルカ先生、ありちゃん、ユミさん、楽しい旅をありがとう。また会えるといいね。

目次へ ガラクタ展2004年7月号へ