崎谷さんはどこへ行く


私と崎谷さんのかかわりの続編です。前半は先月号を読んでね。相変わらずエラソーなこと書いてます(笑)。

5.ミュージックテープからCDへ
1990年「ただ一度だけの永遠」が発売される。私はラジカセと車のステレオしかオーディオ機器がなかったので、「DIFFERENCE」〜「ただ一度だけの永遠」までの期間はミュージックテープを買っていた。ダビングして車にコピーを積み、家で本物を聞いていた。1991年の「ambivalence」からはCDを買っている。CDラジカセを買ってから、今までミュージックテープで持っていたアルバムのCDが欲しくなった。「まともな値段で買うのもなんだなあ」と思った私は、中古屋さんやレンタルCDの売り出し(これって崎谷さんのレンタルコーナー廃止を意味してたりして)をまめにチェックして手に入れた。しかし中古屋さんでも岩国の店は品ぞろえが少なく、崎谷さんのCDは出物自体が少ないのもあって、「ただ一度だけの永遠」だけが何年も揃わなかった。ハマヤ(私が行くCD屋さん)で2800円で買おうかなあ、とも思った。

ある日スーパーの特設会場で中古CDフェアをやっていた。そこで見つけた「ただ一度だけの永遠」はかなり程度も良さそう。しかも買って帰ってパッケージを開けてビックリしたのだ。ミュージックテープの歌詞カードは1枚紙で字だけ。CDの歌詞カードは写真集みたいになってる!。「KISS OF LIFE」まではテープもCD同じ仕様なのに何で〜?。最初からCDを買った人はなんとも思わなかったろうけど、非常に得した気分でうれしかった。


6.「水に眠る」の無断使用?宣伝?
1991年「ambivalence」が発売される。この時期、私は今の劇団とは違う所に所属していて音響担当だった。音響兼務で時々役者もしたけど、選曲から現場まで大体一人でやっていた。この頃崎谷さんの曲も劇中で使った。「ザ・シェルター」という題の芝居で、私が入団する前に公演した事があり、リメイクと言う事でテーマ曲以外を全部私が選曲しなおした。そのとき「水に眠る」と「LOVELY PETRUSHUKA」を使った。「水に眠る」はセリフがないシーンで、ワンコーラス使ったので聞かせ放題!。「ザ・シェルター」はあっちこっちの学校で公演したけど、「水に眠る」を聞いて「崎谷さんだ」と気づく学生は多分いないだろうなあ、さびしいなあ、と思いながら曲をかけていた。

7.迷い
1992年「BOTANY OF LOVE」が発売された。当時はよく聞いていたが、今となっては何か印象の薄いアルバム。崎谷さん作詩の曲が多いのがこのアルバムの特徴だけど、これはちょっと失敗だったかも。崎谷さんの世界を最も表現できるのが崎谷さんの詩とは限らない。「ambivalence」から「BOTANY OF LOVE」にかけて、初期のアルバムほど強烈な印象がないのはなぜ?。ネタ切れでもないんだけど、何かパッとしないなあ、と思うのは私だけだろうか。この時期、崎谷さん、何か悩んでたのかなあ。

8.復活
1993年「HOLIDAYS」が発売。聞いて、ああ崎谷さんはトンネルを抜けたなあ、と思った。無理も気負いもない柔らかなメロディ。「BOTANY OF LOVE」と同じように崎谷さん作詩の曲が多いのに、何でこんなに違うんだー。
実は1993年と言えば私がSING LIKE TALKINGにハマった、崎谷さん危機の年。もうちょっとでSLTに私の中の首位を奪われそうになっていたのだ。しかし「HOLIDAYS」で危機を脱出、今に至っている。

9.生活路線
1994年に「delicate」が発売された。作詩に秋元康さんを起用している。私は先月も書いたが、「崎谷−秋元」ラインが最も気にいっている。「delicate」で変わった思う所は日常を歌っている点。今までの崎谷さんの歌詞ってキザで生活感のない感じだった。相変わらずのキザ一直線(これも崎谷さんらしくていいけど)の曲もあるが、「公営駐車場/最後の夏の日」、「クリーニングのタグ/なつかしい週末」のような日常的な言葉は、崎谷さんをより身近に感じる事ができて、私は気に入っている。このような歌詞は崎谷さんの初期、1988年ごろの企画では絶対通らなかっただろうと思われる。

10.崎谷さんはどこへ行く
崎谷さんはデビュー以来、ずっと変わり続けてきた。それは一部のファンの期待を裏切る形になったかもしれない。でも私は、変わった後の崎谷さんも、変わる前の崎谷さんも好きで、ずっと今まで支持してきた。変わりつづけて10年、ネタ切れを感じさせないのはすごい事だと思う。崎谷さんのミュージジャンとしてのキャパシティというか懐の深さを感じる。

ファンの皆さんなら、崎谷さんがアルバム2〜3枚おきにがらっと表情を変えているのにお気づきだろう。「HOLIDAYS」「delicate」と穏やか路線が2枚続いたので、ひょっとして次は変わる・・・?。もう長いことアルバムが出ていないが、どういう形であれ、私は崎谷さんがどこへ着地するのかとても気になっている。
(1998.11.17 KAWA)


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