4.銅鐸の埋納場所

銅鐸は遺棄されたものか、埋納されたものかという議論がある。
それは銅鐸発掘時、ひれの部分を地面と垂直に突き刺すように置かれているのを見ても一目瞭然であろう。銅鐸は確かに埋納されたものである。それもただ単に埋納されたものではないということが分ってきている。例えば埋納場所。銅鐸はほとんど谷あいの斜面に埋納されている。そして埋納時の銅鐸の向きにも法則があるようである。さらに埋納のための土は酸化の防止、水分の遮断のために粘土質のものを銅鐸の上下に使用し、そして一度水分の遮断のために火をたいたことも分っている。このことから古代人は当時の最高の技術と知識を用いて銅鐸を埋納したことが分る。それでは何故このようなことをしなければならなかったのか?おそらくそれは海水による酸化を防ぐためのものだったのであろう。たとえ鉄よりは酸化しにくい銅といえども海水の塩分にあたれば酸化速度も速くなる。そのためできるだけ潮風のあたらない谷あいを選び、塩分を取り除くため水洗いをした後、火をおこして塩ををあぶりだし、といった作業を繰り返し、その後水分を通しにくい粘土でくるんで埋納したというのが実状ではなかろうか。

とかく儀式や祭祀は未知なものであるため、野蛮で未開なものとして取り扱われることが多い。しかしどんな儀式や祭祀でもその中にはその当時必要不可欠であった最新の技術が取り入れられているのである。それを掘り起こしてみなければその当時の祭祀や儀式の重要さは見えてこないように思う。

戻る