出雲の潟湖

地形から見れば出雲は古代において日本でも珍しい内海を持っていた。つまり どういうことかというと、現在ある宍道湖、神西湖、中海はつながっており、北 山山系が中国山脈と分離していたのである。それが地球の冷却化と長年の砂粒の 堆積により、しだいにうめられて現在にいたった。ちょうどこのことは「出雲風 土記」にある国引き神話と符合していて興味深い。

このような潟湖を持っていた場所は割合、日本海側に多い。それは日本がちょ うど太平洋に対してエビゾリに反った形をしているためである。そのため太平洋 側は常に黒潮に腹を晒している形となり、潮に削り取られて潟湖を形成し難かっ た。逆に潮の流れを直接受けない日本海側の海岸は比較的緩やかで潟湖を形成し やすかったということもいえる。

弥生時代に栄えた場所はほとんど潟湖を持っている。このことからも航海民族 の躍動が聞こえてくるようでもある。この場所場所が出雲と交易があったといわ れている所と一致することからも出雲の海上交易が想像できる。

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