■車の数学(12): ハイブリッドカーの経済性と対環境性
トヨタとホンダのハイブリッドカー(HV:Hybrid Vehicle)が激しい販売競争を繰り広げています。 両者のHVの概略比較は次の通りです。
●HVの概略比較
項 目 | トヨタHV/ 新型プリウス | ホンダHV/ 新型インサイト | ホンダ/フィット(ガソリン車) |
排気量 | 1.8 L | 1.3 L | 1.3 L |
10・15モード 燃費 | 38 km/L | 30 km/L | 21.5 km/L |
CO2排出量 | 61 g/km | 77.4 g/km | 108 g/km |
発売日 | '09年5月18日 | '09年2月6日 | '09年6月 |
価 格 | 205 万円〜 | 189 万円〜 | 135 万円〜 |
月間販売台数 | 1万台 | 5千台 | 約1万台 |
HVはガソリン車に比べて燃費が大幅に向上し、CO2排出量などの対環境性は断然優れていますが、価格がプリウスやインサイトと同じ排気量クラスのガソリン車に比べて数十万円程度割高になります。
●HVの経済性
HVの価格:C1(円)、 ガソリン車の価格:C2(円)
HVの燃費:F1(km/L)、 ガソリン車の燃費:F2(km/L)
ガソリン価格:G(円/L)
年間走行距離:L(km)
車の使用年数(買換えまでの年数):Y(年)
として、HVとガソリン車のどちらが経済的かを考えてみましょう。ただし、エコカーに対する優遇税制、補助金は考慮しないこととし、単純に車の購入費と燃料代の合計で考えます。
・HVの総費用 P1 = C1 + YLG/F1
・ガソリン車の総費用 P2 = C2 + YLG/F2
両者が一致するのは、P1 = P2 より
C1 + YLG/F1 = C2 + YLG/F2
C1 - C2 = YLG (1/F2 - 1/F1)
が成り立つときです。
たとえば、C1 - C2 = 500,000(円)、L = 10,000(km)、G = 120(円/L)、F1 = 30(km/L)、F2 = 21.5(km/L)とすると、HVとガソリン車双方の総費用が等しくなる年数Yは
Y = (C1 - C2)/(LG)・F1F2/(F1 - F2) ≒ 31(年)
となります。
年間走行距離が20,000kmなら約15年以上で、50,000kmなら約6年以上でHVの方が総費用が低くなります。
買換えまでの走行距離が長い場合、HVはエコであるだけでなく、非常に経済的でもあると言えます。
●燃費(km/L)とCO2排出量(g/km)の関係
燃費(km/L)とCO2排出量(g/km)の間には次の関係があります。
燃費 X CO2排出量 = 2320
車による二酸化炭素(CO2)の排出量はどのくらい?
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