一般住宅の太陽光発電システムにおいては、発電パネル(太陽電池モジュール)は通常住宅の屋根に固定されて設置されるため、季節や時刻によって太陽光のパネルへの入射角が変化し、太陽の日射エネルギーを完全に利用することはできません。ホーム
発電パネル面に対して太陽光が常に直角に入射するように発電パネルの姿勢を制御すれば最大の電力が得られます(完全自動追従)。このためには、発電パネルを水平面内で旋回させる機構に加えて、上下に首を振る機構が必要です(2つの回転機構)。
ここでは、発電パネルを太陽の方向に自動追従(追尾)させる2つの方式の発電量をパネル固定方式と比較した結果を紹介します。
・完全自動追従方式 (水平面内旋回+上下首振り)
・水平面内自動追従方式(水平面内旋回のみ、首振りなし)
(1)1日の瞬間発電量の変化(秋分の日)
・完全自動追従方式では日の出〜日の入まで常に一定量を発電します。 ・パネル固定の通常の方式では、上図のように発電量が変化します。 ・水平面内自動追従方式はこれらの中間的な発電量になります。(2)1日あたりの発電量の変化(年間)
各方式における1日当たりの平均発電量(上記グラフの平均高さ)は次のとおりです。 ・完全自動追従方式 1.009 ・水平面内自動追従方式 0.834 ・パネル固定方式 0.595 従って通常のパネル固定方式に対して、完全追従方式では約2倍、水平面内追従方式では約1.5倍の発電量が得られることがわかります。(3)完全自動追従システムはお得か
上記のように、完全自動追従システムでは通常のパネル固定方式の約2倍の発電量が得られます。 このことは3kWのシステムでも通常の6kW相当の発電が可能なことを意味します。 3kWの通常システムでの年間発電量は3,000kWh程度であり、従って自動追従システムでは年間約3,000kWhの 発電量増加が期待できますので、これを電力会社に売却すると(売電料金単価:25円/kWhとして) 3,000 (kWh/年) x 25 (\/kWh) = 75,000 円/年 の収入となります。自動追従システムの寿命を太陽光発電システムの寿命と同様の15年と仮定すると、 その間の総収入は 75,000(円/年) x 15(年) = 1,125,000 円 となります。 従って、自動追従システムの導入設置価格がこれ以下であればペイすることになります。(注1)広島市内(北緯34度付近)の住宅の屋上に設置された太陽光発電システムを想定し 太陽光発電における発電量計算プログラム を用いて計算した結果をベースにしています。 (注2)自動追従システムを商品化しているメーカもあるようです。