◆◆◆「白い影」を立案した、伊佐野氏のインタビューを読んで◆◆◆


ネットで話題になっていた、医学雑誌「PSIKO」に掲載されている、TBSの伊佐野氏のインタビューを、やっと読む事が出来た。
私は、『なぜ「白い影」を』『なぜ中居君で』やる事になったのか、ずっと疑問だった。ちゅーか誰もが疑問に思うでしょう(笑)
ドラマプロデューサーのインタビューは、当初、雑誌に載っていたが、「某CMの、ガッチャマンを演ずる中居君を見て、出来ると思った」とか、私的には「はぁ?」なコメントだったので、ぜんぜん納得出来なかった。
ところがある日、番組の公式HPに、実は立案したのは、そのプロデューサーではなく、企画の伊佐野氏で、 彼が制作に居た頃の話だったと書いてあった。
でも残念ながら、伊佐野氏に関してはそれ以上載っておらず、結局核心に触れる部分は、わからず終いだったのだ。

さてさて前置きはこのぐらいにして、インタビューの内容について話そうと思う。
と言っても、著作権等が関わってくるので、細かくすべては書けないのだけど・・・
まず全体の感想は「おもしろーい」だった。季節はずれにTV誌ではなく、医学雑誌という、あまり業界人とかが読みそうにないところで掲載したせいか、かなり本音で、細かく話してくれているのだ。もう、大満足、ありがとうPSIKOて感じ。


伊佐野氏は、中居君が初めて「日曜劇場」で主演した「good news」の時のプロデューサーだ。
当時彼は中居君について、ドラマの主人公の丈一と比べ、

「丈一は、行く手を壁に阻まれた時、「頑張ればなんとかなる。行くしかない」と思うタイプで、傍らで見ている限りでは、中居君も完全に「前向き型」で、この役との境界線がない様に見え、現場のスタッフもいつの間にか励まされ、グイグイ引っ張られていた。」

と語っていた。
しかし今回のインタビューには、その後の中居君の、別の一面が書かれていた。
この「good news」というドラマ、実は数字があまり良くなく、その責任を中居君が感じていたらしいのだ。
ドラマ終了後、伊佐野氏が出張先で中居君へのお土産を買い、それをマネージャーさんに預けたところ、そのお礼が留守電に入っていて、その内容は「good newsの時は僕の力が足りなく、みんなに迷惑をかけました」というものだったらしい。
この言葉に「別に中居君のせいではないのに・・自分が悪いのに・・」とショックを受けた伊佐野氏が、中居君で中味的にも数字的にも成功するドラマを作ってやる!と思ったのがきっかけだったようだ。
「熱いぜ!」て感じのきっかけが、いかにも中居君らしいなーと思う。
熱いのは、伊佐野氏なんだけど(笑)

そこからはひたすら作品探しの為、過去の名作が載っている本などを見て、その中にある、田宮二郎氏の「白い影」の切なげな写真が目に止まったらしい。
ここでまたまた「good news」撮影中のエピソードが語られる。
ファンには有名な話なのだが、中居君は昔、神経性の胃炎肝炎で入院した事があり、今でもたまに、胃の調子が悪くなる事があるのだ。「good news」撮影中も胃が痛くなり、脂汗をかいていた事があったらしい(中居君にはよくある事なんだけど^^;)。「15分で良くなるから」と言ってその場を離れた中居君に、現場の雰囲気が重苦しくなりかけた頃、ニコニコしながら「すいませんでしたー」と何事もなかったかのように帰って来たそうだ。 その時の、冷や汗びっしょりの姿が、直江と重なって気になったのかも、と伊佐野氏は言っていた。
正直私も「苦痛のシーンは慣れているだろうなー」と思っていた(^^;)
そしてそんな時、偶然にもSMAPのチーフマネージャーである飯島女史より、「白い影を中居でどう?」という提案があったそうだ。
これにはかなり驚き!
デビューの時からのマネージャーで、中居君の裏も表も知っているであろう彼女が、あの田宮二郎氏の作品を「中居でどう?」なんて思う訳だから。
中居君ってどんな人や?て改めて思った。
そりゃDTの松ちゃんに「40〜50のおっさんみたいに落ち着いてる」とか、某プロデューサーに、「同年代のどんな仕事をしてる人より、はるかに大人」とか言われてる人だよ。
ファンもなかなか見れない一面を持ってる人だという事はわかるけど、あの役は、やはり中居君で、ポッとイメージ出来る様な役じゃないだろう。
中居君自身もかなり戸惑った様で、マネージャーから話が来た時は、何度か断ったとラジオで言っていた。しかしマネージャーの根気強い説得により、ついには折れたらしい。
飯島さん、ありがとう、いいマネージャーだ。

かくして、『中居正広で「白い影」』という企画が立ち上がった。しかし、ここで大きな問題が。
そう、原作者の了解を得る事だ。
渡辺氏は、予想通り年齢的な事、そしてバラエティでの中居君のイメージから難色を示したらしい。 そりゃそうだ。当然だ。私が彼でも断る(^^;)
だいたい「中居君で直江を」なんて話を持って行ったその度胸に感心する。
実際「白い影」をやると聞いた時は「なんで作家がOKを出したんだろう」と不思議だった。が、伊佐野氏とプロデューサーの三城氏は、「絶対大丈夫ですから」と拝み倒して了解を得たそうだ。(想像通り^^;)
ほんっと、凄い熱意だ。
原作者も演じる本人も嫌がってたのに、よく実現したよなー。

そんなこんなでスタートした撮影。
中居君は、伊佐野氏に「気付いた事があったら何でも注意して下さい」と言ったそうだ。この辺、謙虚な部分を持ってる人で良かったーと思う。伊佐野氏は小姑の様に中居君にくっつき、まばたきに至るまで、注意したらしい。もうファンとしては感謝感謝だ。
いずれ注意する事もなくなり、中居君は直江庸介の世界に入っていったそうだ。
DVDで見た、演出家のインタビューによると、中居君は結構早い段階で役を捕らえていたらしいので、なんだかんだ言いつつ、腹括って挑んでたんだなーと思う。いつもはちょっとしたラブシーンの台詞とかも、凄く嫌がるのに、今回はそんな話も聞かなかったし。

こうしてドラマは、時代に逆らった内容ながら(「白い巨塔」制作やドラマ界がリメイクブームとなったのは、この後の事)、20%前後の視聴率を取り、成功といえる結果を残す事が出来た。

そして最後に気になる作家の渡辺純一氏の評価。
感動的だった打ち上げの様子と共に、渡辺氏のコメントも載っていた。
最初に難色を示した事に対し
「放送を観て、失礼を言ったことを非常に反省した。中居君にお詫びしたい」
とまで、100人のスタッフの前で言ってくれたそうだ。
中居君、制作発表の時、渡辺氏が目も合わせてくれなかったと言ってたもんねー。 それでも記者会見で、渡辺氏にジョークを送って、笑いを取った中居君のしたたかさに、私は心の中で「ニヤリ」と笑ったけどね(笑)
中居君にとっては、渡辺氏の冷たい態度も、やる気に繋がったんだと思う。そういう人だから。

約6頁のインタビューで、立案当初の局内の微妙な反応や、自分を含むスタッフの不安なども、ユーモアを交えながら話してくれていて、とてもおもしろかった。



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