決して開かれることのなかった箱があった。それを開けると恐ろしい物が飛び出すと、誰もが知っていた。だが「何故恐ろしい物が入っているのか」ということを答えることのできる人間は1人としていなかった。そして、その箱を開けた者の名前は「パンドラ」という1人の女性だった。彼女が箱を開けると、確かに黒い者が彼女の隣を通り抜けていったという。人間は知ることのなかった負の感情、すなわち、憎しみや妬みなどのことである。だが、箱の中に入っているものはそれだけが全てではなかった。パンドラが箱を慌ててふさいだが遅かった。呆然とするパンドラは自分の傍らに明るく光る、小さな何かが残されていたことに気づく。パンドラはそれを手に取った。
 それこそ人間の新たなる感情、「希望」だったのである。

























EPISODE:0 Contact

























―――西暦2000年
 世にいわれる「セカンドインパクト」が南極で発生。その巨大な爆発は極寒の海だけを残して雪と氷に閉ざされた大陸をわずか数秒で消し飛ばしてしまったのだ。あまりのエネルギーと熱によって土砂や粉塵はほとんど舞い上がることはなく、核の冬と称されるような、舞い上がった粉塵などが太陽光を遮るという事態はほとんど見られなかった。しかし、南米大陸とアフリカ大陸の最南端も一部が削り取られ、メキシコ湾以上の巨大なクレーターと化した南極のあった海は拡大するばかりだった。溶けた氷によって世界の気候と海面は重大な局面を迎えていた。融解した氷が海面を押し上げ世界の陸地の約5%が海に沈んでしまったのだ。もう、2015年の地図を見ても、オランダという国とパキスタンという国は存在しない。日本においてもかつての首都はすでにオールドトウキョウと呼ばれる廃墟となって、大半を海のそこへと沈みやっている。
 爆発に伴う巨大な衝撃は地球の自転にも影響を与え、地軸もずれていた。日本では、沖縄は熱帯に、九州の半分は亜熱帯に属する。北陸北海道でも山沿いを除いてほとんど雪を見ることはなくなっていた。気候は、新世紀では旧世紀で培われてきた経験と観測の結果が役に立たない。

 セカンドインパクト
 その真相は、誰も知ることなく15年が経った。そして、人類は初めて己と向き合うことになる。それはあたかも、神の住たもう天国の扉を叩くに等しい行為であった。








―――南極大陸某所実験施設―――
「……ですか。それはそれは」
「いえ、大したことじゃないんです。現段階ではまだ未確定の情報でしかないんですから」
「情報に確定も未確定もないでしょう。知っているか否か。そのどちらかが情報を扱う言葉だと思いますよ。で、その『情報』は確かなんですか」
「それは確かです。私自身の目で確かめてきましたから。今でも自分のこの目が信じられない思いですよ」
「ほう。半信半疑というやつですか。世界に名高い科学者、葛城博士らしくないお言葉ですな」
「そうじゃありません。ただ、あれは生やさしいものじゃない、ということが一目でわかるような……そんなものなんですよ。迂闊に手は出せないでしょう」
「しかし、あまりにも急でしたな。この10年は。もうすぐ新世紀になってしまう」
「ええ、まったくです。娘を全くかまってやれなかったのが残念で仕方がないんです。これからはゆっくりできれば、と思っています」
「ああ、そう言えば博士は来週……」
「ええ、日本に。2年ぶりですよ。娘を母親に会わせてやらないといけませんからね」
「噂をすれば…。ほら、娘さんが向こうで手を振っていらっしゃる。それでは、私は」
「ええ、またいずれ」
「そうですね、また日本ででも」



Neon Genesis EVANGELION
Please,Never ending dream

EPISODE:0 "Contact"




『第弐級の職員は至急脱出してください。緊急事態発令、繰り返します。緊急事態発生。第弐級の…』
「いかん!このままでは隔壁どころか、この大陸そのものを吹き飛ばしちまうぞ!」
「…ああ、そうだ。銃器の使用許可は下りてるんだ。もたもたするな!」
「目標は地下の第3層を突破!第2防壁とベークライトが融解してきます!」
「あの男はどこだ!?」
「ああっ、ダメです。第2層まで目標は到達しました。現在、下のフロアで交戦中です!」
「足止めでも構わん!奴のフィールドに干渉することが一マイクロ秒あれば十分だ」
「交戦部隊との連絡が絶たれました。ダメです。電磁波、粒子、光線、全て遮断されていきます」



















「いかん、イブと接触するぞッ!」


















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