会社案内 ごあいさつ

建築は、もっとも根源的な人間作品であり、しかも人間の生存、生活に密着しているが故に、もっとも複雑な人間作品でもあります。この人間作品を生み出すためには、多くの目的系列を整理すると共に、伝統の工学技術をもって当たらなければなりません。

ロマネスク、ゴシックからルネッサンスへと、中世から近世にかけて花開いたヨーロッパ建築は、古代ギリシャ神殿に源を発し、その様式を多く引き継いでいます。そして今でもディテールを考える上で多くのヒントを与えてくれます。(我が社においても八重東小学校等、これらのディテールは随所に採用しております。)

日本古来の建築は、仏教の伝来と共に唐の様式が移入され、大きく変化をとげました。また、唐の様式は日本の風土にあわせてアレンジされ、垂木割や組物配置等、精美なディテールが出来上がっていきました。鎌倉時代に入ると新宗派も盛んになり、再び大陸からの様式が取り入れられたりして、多様な造形が行われるようになりました。(我が社は玉照院の設計に於いて鎌倉時代の禅様を基本に、極力、当時と同じ木組を再現するように心がけました。)

戦前から戦後にかけては、ル・コルビジェやミースにより、鉄やコンクリートを用いた機能的で合理的な建築が作られるようになり、近代建築(モダニズム)の時代となりました。丹下氏による広島平和記念資料館は、コルビジェを手本としておりこの時代を代表する建築です。

そして70年代に入ってからはこのモダニズムに批判的な流れが生じ、機能性に代わって象徴性や多様性を重視した、個性の強い建築が作られるようになりました。これはポストモダンと表現されますが、ボストモダンに特定の法則があるわけではなく、また、ポストモダンという表現が今後とも続くのかどうかもわかりません。しかし建築はより個性が強く、自己主張の強いものになっていく事に異論は無いと思われます。そして個性と自己主張の強い建築を生み出す時こそ、基本に忠実でなければなりません。つまり伝統の建築文化の把握と先端の技術が必要となってくるという訳です。

我が社は、意匠的な面のみならず、技術面に於いても、常に先端を心がけております。大空間シェル構造の立体解析や、高層ビル等の振動解析等も自社で行い、日本建築センタ一の評定が必要な物件にも進んで取り組んでおります。トヨヒラウィングは、積雪に強いシェル構造の形をシミユレーションにより割リ出し、立体トラスで設計しました。三井金属日比製錬所では約100mのスパンを100mmのアングルという極小の部材で構成するトラスアーチで設計しました。千代田町庁舎(現:北広島町庁舎)は、空調のエネルギーロスを大きく削減し、150kwのソーラー発電を設置して超エコロジービルとしました。さらに積層ゴムを用いた免震構造として、大地震の時でもほとんど揺れない構造としました。この様に、我が社は常に先端の技術を研究し、これを取り入れて、より大胆な建築表現が実現できるよう、日々挑戦し続けております。