オルゴールこぼれ話


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100年の時を経てなお、現代に生き続けるオルゴールたち

現代のオルゴールの逸品たち

そんなオルゴールにまつわるお話を

 一 話

 

アンティークディスクオルゴール1

 

ずいぶん前になりますが、ある地方のデパートでのお話。

そのデパートでスイスオルゴール展が開催されておりました。その会場に、大事そうに風呂敷包みを抱えた、一人の中年紳士がやって来られました。包みの中には古いオルゴール。

持って来られたオルゴールは、その方のおじいさんが昔、上海で手に入れたもので,小さい時から蔵にあり、時々聞いていたが、その後、長いこと忘れていたということでした。

新聞のオルゴール展の記事を見て思い出し、取り出してみたところ動かないので修理ができるものならお願いしたいとのこと。とりあえずお預かりすることにしました。

名刺とオルゴールを置いていかれたので、デパートの担当の方に報告すると、名刺を見て驚かれました。中年の紳士は、地元では有名な方で、そう言われてみれば私も思い出しました。

お名前から、 その方のご先祖は幕末に坂本竜馬との付き合いがあったと本で読んだような。おじいさんはそんな時代に、上海に行って、オルゴールを手に入れ、持ち帰ったのでしょうか?

遠い昔に海を渡って日本にやってきたオルゴール、そして、今は動かなくなってしまったオルゴール。しかし、そのオルゴールは再び甦りました。きっと今も、あの紳士のもとで、懐かしい音色を響かせていることでしょう。

 

 

 二 話

 

アンティークディスクオルゴール2

ある日、若いカップルが来店されました。

婚約の記念にオルゴールを選びに来られたとのこと。しかし、お話を聞くうちに驚きました。その女性は、ずっと以前、まだ彼女が小学生だった頃、私とオルゴールに出会った小さな女の子でした。そして、そのときの音色が忘れられず結婚する時には絶対オルゴールと一緒にと、ずっと心の中で温めていたそうです。

その日、ゆっくりとオルゴールを選び、念願のオルゴールを注文して、帰られました。

後日、懐かしいお客様(お母様)も一緒に来店 され、届いたオルゴールを大切に持って帰られました。

こんな時が、至福の瞬間です。

おそらく結婚後、夫婦でオルゴールを楽しまれ、赤ちゃんが生まれたら、子守唄に聞かせて育てられたことでしょう。そしてそのお子さんも、今はずいぶん大きくなっておられるでしょう。

 

 

 三 話

 

シリンダー式オルゴール

 

オルゴールの仕組みは、大きく分けてシリンダー式、ディスク式、ふいご式の3種類があります。今回はその中のシリンダー式のお話を。

シリンダー式は皆さんがよく見かける、一般的な仕組みですが、スイスオルゴールの場合シリンダーにオルゴール職人が一本一本、ピンを植え込んでいきます。その作業には50分の1ミリの誤差も許されない、精密さが要求されます。

次に、櫛歯(コーム)ですが、72枚のものですと、たくさんの音を作れますのでピアノ曲などを入れたものは、フル伴奏の演奏になります。もちろんこの櫛歯もオルゴール職人が、一本づつ調律していきます。つまり、オルゴール職人は高い精密技術を持ち、なおかつ高い音楽性を持った職人です。

櫛歯の多いものは、スイス製の高級機械式時計のように、一点一点職人によって製作されていきます。それで、一度に大量には生産できないため注文いただいたオルゴールが、スイスから届くまで、何ヶ月かお待ちいただくこともあるのです。

しかし、それゆえに、スイスオルゴールは100年以上の耐久性を持ち子どもの代へ、さらに孫の代へと譲り伝えていくことが出来るのです。

 

 

 四 話

 

ふいご式オルゴール

ふいご式オルゴールは、鳥のオルゴールとも言います。このオルゴールは、音楽を奏でるのではなく、鳥の鳴き声と、動きを見て楽しみます。

ふいごからピストンに空気を送り込んで、ピストンを上下させその鳥の鳴き声を出します。また、鳥はくちばしを動かしながら

頭や体を動かします。上の写真のオルゴールの鳥は、ハチドリです。

世界で一番小さい鳥である、実物大のハチドリが、スイッチを入れると箱の中から飛び出し、ひとしきりさえずると、ケースの中に戻ります。大きな鳥かごの中に、剥製のツグミの入ったものも、あります。 また、王侯貴族が、カナリアなどの鳴き声の調教に使ったものもあります。

 

 

 五 話

 

ディスク式オルゴール

 

ディスク式オルゴールはその名のとおり、円盤が回転して演奏するオルゴールです。ディスクを交換することにより、いろいろな曲を聴くことができます。皆さんもさまざまなディスクオルゴールをご覧になったことがあるかもしれませんが、ディスク自体は直径11.5cmのものから最大76cm位のものが製造されました。

おおきなものはロッカーくらいの大きさがあり、上の画像はディスクを外した機械部分です。このタイプはディスクを垂直にセット(アップライド型)します。対向している2枚の櫛歯が音楽を奏で、櫛歯の長さがディスクの半径弱になります。サイズが大きく、音量も大きなこのタイプは営業用としてバーやレストラン、ビアホールなどに設置され、客寄せやバックグラウンドミュージックとして使用されました。それゆえ、このタイプには横にコイン投入口が付いているものも多く見受けられます。また、レコードのジュークボックスのように、コインを入れると自動的にディスクがせりあがってきて演奏し、ディスクチェンジを自動的に行う機種も作られました。

一方、ディスクをレコードのように水平にセットするタイプ(ポータブル型)もあります。これは主に家庭用でアップライド型に比べ、ディスク直径が小さくなりますが、それでも50cm直径のものもありました。

ディスク式オルゴールは1800年代末期に誕生し、普及しますが、同時に発明された蓄音機と競合します。やがてより安価な蓄音機との競争に敗れ、第一次世界大戦を期に、ヨーロッパのほとんどのメーカーが会社を閉じていきました。ですから、現在見かける大型のアップライド型やポータブル型は、ほとんどのものが製造されてから100年近く経ったアンティークオルゴールです。

今もコレクターのために大型のディスク盤だけは生産されています。現在も、わずかに生産されているディスク式オルゴールがありますが、最大のものは、ディスク直径40cmのものです。価格でいうと100万円以上数百万円になります。大型のアンティーク物になるともう一桁アップしますが。

 

 

 六話

3曲72弁カヴァレリアルスティカーナ

 

これはスイス・リュージュ社の現代物のオルゴール、3曲72弁です。

このクルミの箱のオルゴールに入っている曲は、マスカーニのオペラ、「カヴァレリアルスティカーナより間奏曲」3パートで、私の大好きな曲の一つです。

この曲は、昔、アンティークディスクオルゴールで聴いて以来、そのメロディーとトレモロ奏法(音を連続して小刻みに演奏する技法)の美しさに魅かれ、好きになった曲です。最近では、ヒーリングミュージックのCDに収録されたり、CM曲に使われたりしていますので、一度は耳にしたことがあると思います。私自身 は、映画「ゴッドファーザーパート3」の終盤で使われていたのが印象に残っています。

それで、ずっとオルゴールに入れて欲しい曲として要望を出し続けていましたら、近年、3曲72弁の新曲として、曲目リストに追加されました。願いがかなっただけでなく、人気曲の一つになっていると聞き、嬉しく思います。

 

七話

ピエロ・エクリヴァン

以前、開催していた「ふくやま美術館」でのスイスオルゴールコンサートのお話。

大小様々なオルゴールコンサートを行ってきましたが、初めて「ふくやま美術館」でスイスオルゴールコンサートを開催したのは、1992年4月5日のことでした。 ホールのキャパシティーから、150名定員で開催し、満席となりました。さらに、美術館からの依頼で、その年の12月、「ふくやま美術館クリスマスコンサート」を美術館1階のホールで行い、用意した席以上の方が来場され、階段手すりから2階のホールを囲む手すりにまで観衆で埋まる盛況ぶりでした。

このコンサートは、当店ルヴィーブル主催で、初回の1992年から1996年まで毎年春の桜の季節に連続5回開催しました。これが全国的にも珍しい美術館でのスイスオルゴールコンサートの先駆けでした。

アンティークのディスクルゴール、ストリートオルガン、オートマータ(オルゴール付きからくり人形)、現代物の様々なオルゴールなど、時間を忘れてゆったりとオルゴールを 堪能できる楽しいひと時でした。

特に思い出されるのが、上の画像のオートマータ「ピエロ・エクリバン」。これは今は亡き、当時オートマータ作家の第一人者だった、ミッチェル・バートランド氏製作 の希少な作品です。コンサートの途中で会場の灯りを消し、オルゴールの音色が響く中、ランプ の灯りに浮かび上がるエクリバンの姿は、幻想的でした。

またそれ以前に、地元デパートと「スイスオルゴール展」を共催し、全国のデパートでの「オルゴール展」の先駆けとなりました。これも「スイスオルゴール」を広く知っていただく良い機会となりました。

八話

3曲72弁カリスタ

この象嵌が美しい3曲72弁のオルゴールの中の1曲に、クララ・シューマンの曲が入っています。そう、あの有名な作曲家シューマンの奥さんです。

クララ・シューマンはシューマンの奥さんだっただけでなく、作曲家として多くの曲も残しています。。しかし、当時は女性が作曲家になることは世間的に認められておらず、女性というだけで作品を正当に評価してもらえませんでした。そのために37歳の頃に作曲をやめ、ピアニスト及びピアノ教師として生きていくことを決意したそうです。

ピアニストとしても幼い頃から聴衆はもちろん、多くの音楽好きや皇帝、音楽家からも絶賛されました。詩人ゲーテがメダルを贈ったり、ショパンやリストなどからも絶賛されました。

何度か彼女の生涯が映画化され、キャサリーン・ヘップバーンやナスターシャ・キンスキーなどが演じています。

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