「水と森が生んだ奇跡・中国・九寨溝」

2002.2.9NHKテレビ放映。
NHKスペシャルで放映された秘境・九寨溝の水の美しさの秘密について,参考になりそうなところをまとめてみました。 急いでまとめたので,間違いがあるかもしれません。気が付いたら教えてください。なお,添付の写真はシンちゃんの「九寨溝・黄龍旅行記」の中の写真の再掲です。

1 なぜ,九寨溝の水は,あんなにきれいなの?
@ 湖の水のほとんどは,地下で浄化された湖底からの涌き水だからです。
A 涌き水の中には石灰が含まれています。
B 水に溶けている石灰は,湖の中の倒木や湖底に沈着するほか,水中のチリを核として集まりそのチリを閉じ込め,「石灰華(せっかいか)」となり,水を浄化させています。
※ このため,湖の底には神秘的な白い世界が現出されていました。

2 なぜ,水の中に石灰が溶けこんでいるの?
@ 3億千万年前,この辺りは,海の底でした。(腕足類の貝の化石が地層からたくさん出ています)
  その頃,中国は二つの大陸に分かれていて,九寨溝はちょうどその二つの大陸の間にある海の位置にありました。
A 海底にサンゴや生き物の死骸が堆積されてできた石灰岩の厚い層が,地殻変動で隆起したり大陸がぶつかったりして,この辺りは山岳地帯になったのです。
B 高い山に降った雨は,地中深く染みこみ,石灰をたっぷり含んで,九寨溝に湧き出すのです。

3 たくさんの湖ができた理由は?
争艶池
@ 最初は,水の流れが木の葉や土でせき止められ堰になっていた所が石灰華で固められ,堤ができ,これがだんだん大きくなったのです。
A その原形は黄龍の棚田を見ればよくわかります。黄龍では,石灰華が年に2〜3ミリずつ成長している様子も確認することもできます。
B 黄龍と九寨溝の違いは,堤の大きさにあります。九寨溝では堤の中に森が広がり,激しい水の流れの中で木が根を張り,呼吸しています。
C 堤の中の木には,水の中でも呼吸ができる「呼吸根」が発達し,種の根付きには,表面がデコボコで種がひっかかりやすい穴がたくさん空いている石灰華が重要な役割をしています。

4 湖に棲む魚は?
五花池の魚
@ 嘉陵裸裂尻魚(かりょうられつこうぎょ)という鯉の1種がいるだけです。写真は五花池です。
A その魚は水面に落ちてきた虫や湖底の石灰の中のバクテリアや虫を食べています。食べ方は,石灰ごと丸呑みし,あとでエラから石灰だけ吐き出します。
B 澄んだ水の中でも生きるために水中の藻など,食べられるものはなんでも食べるように進化をとげています。

5 いくつかの湖の名前の由来
@ 鏡海
朝,風がピタリと止み,湖のさざなみが消え,湖面が鏡のようになる。NHKでは「きょうかい」と日本語読みしていましたが,シンちゃんの訳「鏡池(かがみいけ)」の方がピッタリきませんか?
鏡池
A 火花海
湖面に反射する太陽の光がキラキラと火花のように見える。
B 下季節海
夏から秋にかけてだけ現れる湖。流れ込む川はなく,湧き水だけで湖が出現する。
季節の海
C 臥龍海
水中に没した石灰華でできた古い堤が上から見ると龍の形に見える。
臥龍池
D 珍珠灘・珍珠瀑布
飛び散る水しぶきが真珠のように見える。ハイビジョンで撮った割には「珍珠瀑布(真珠の滝)」の映像はイマイチでしたね。本当はもっと荘厳できれいでした。これだけはシンちゃんの写真の方がよかったな(自己満足?)。
珍珠灘瀑布

6 NHKスペシャルとしての結論
@豊かな水の営み,A森の生命力,B石灰華の魔法,この3つのうち一つでも欠けたら,「青く輝く湖と水が流れる森」九寨溝の奇跡と言われるこの風景は生まれてこなかった。