シルクロード〜遥かなる西域への旅〜(後編)

5日め(8月20日) 敦煌

莫高窟
汽車は11時に柳園駅に着く。ここから敦煌までバスで2時間。130キロの道のりだ。 敦煌・莫高窟は中国三大石窟のひとつ。鳴砂山の東端の断崖に4世紀の半ば,僧・楽尊が石窟を築き修行したのが 始まりとされている。 その後,元の時代までの1000年の間,石窟が掘り続けられ,現存するのが492窟という。
参観は扉の鍵を持ったガイドの案内で行われ,見たい石窟を自由には選べない。 もっとも,事前に勉強しておかなければ,見たい石窟などわからないだろうが・・・ 井上靖の小説「敦煌」で読んだ長年隠されていた第17窟も見ることができた。 あと,印象に残っているのは,やはり「飛天」だろうか。 莫高窟の石窟内は撮影禁止なので,紹介できないのが残念である。 懐中電灯は必携である。大きければ大きいほどいい。忘れないように・・・

月の砂漠のお姫様
夕食を取り,ホテルを20時45分に出て,鳴砂山へ行く。 ラクダに乗って,月牙泉まで行くことにした。東西40キロ,南北20キロの広大な砂丘だが,暗くて全体像がつかめない。 興が乗り「月の砂漠」の歌を歌う団員もいた。
ホテルへ戻った後,何人かで夜のバザールへ出かける。 汽車のなかでもよく気のきいた女性好きのYさんは,すぐに露店のお姉さんと仲良くなり座り込んで いろいろ売り物の説明を聞いていた。 でも,ホテルに戻ってさあ大変。ズボンのうしろポケットに入れていた財布が無くなっていた。 話に夢中になっていてスラれたらしい。多分,お姉さんとグルのヤツがいたんだろうということになった。 いいことばかりは続きませんねえ。

6日め(8月21日) 敦煌(を出る予定が・・・)

敦煌観光は昨日だけ。今日は10時40分発の飛行機で西安へ飛ぶことになっている。 敦煌空港に着くと,小さな空港に人がいっぱい溢れている。 何事かと思ったら,なんと空港が閉鎖されているらしい。 なんでも我々の乗る予定の飛行機が政府のお偉方が西安から蘭州へ行くのに使われたらしい。 「らしい」というのは当局から正式発表がないためだ。
で,我々はどうなるの? 今日はもう飛ばない。だって,飛行機がないんだもの。 明日は大丈夫か?と心配していたら,自分は昨日から待っているという日本人に出会った。 明日も朝早く来てみるしかないとアドバイスしてくれた。 飛行機に乗れなかった観光客が何日も前からたくさん待っているらしい。こりゃ,大変なことになったなあ〜。

鳴砂山
空港で待っていてもらちがあかないため,不安を胸に抱きながらも1日増えた敦煌観光を楽しもうという ことになった。 まず,昨日の夜,行った鳴砂山にもう一度行く。 今度は「昼の砂漠」だ。 ラクダに乗って,昨晩と同じように月牙泉まで行く。 今度は昼なので辺りがよく見える。 一般的な日本人がよくイメージする,砂漠にラクダというシルクロードの原型がここにある。 でも,1回の旅行で昼と夜の2回も砂漠に行く者なんてめったにいないだろうな。

月牙泉

まだ時間がたっぷりあるので,昼食後は陽関(ようかん)まで行くことになった。 古代シルクロードの重要な関所で,  「西のかた,陽関を出づれば故人無からん」と唐代の詩人・王維が友人との別れを惜しんで読んだ詩で有名だ。 漢代のものといわれる烽火台が残っている。実弾のライフル射撃を楽しむ団員もいた。
そのあと,映画『敦煌』の撮影に使われたセットをそのまま観光地にしている所へ行く。 実物大の城壁を造ってある。
陽関 映画セット

突然の宿泊延期のため,ホテルの部屋が足りないことがわかった。 野垂れ死にしてもよさそうな者が選ばれ,少し等級の低いホテルに分宿させられることになった。 夕食までは皆といっしょだ。 地元の甘粛省テレビ局が取材に来ていて生出演するが,日本では放映されなんだよなあ。 そのあと,選ばれたシンちゃんも安ホテルに行く。 風呂の蛇口をひねると,いきなりさびた水だ。予想はしてたけど・・・

7日め(8月22日) 敦煌から西安

敦煌脱出なるか。 不安を胸に,朝早くから空港に行く。 よかった,滑走路には飛行機が止まっている。でも,えらく小さい飛行機だな。 待合室にはとても乗り切れないほどの客が待ってるぞ。 これからが闘いだ。 広大の留学生で,添乗員の代わりに日本から連れてきた劉さん(別名:ケンカお劉)が 事務局長と一緒に空港側との交渉に行く。 なんとか我々は乗れることになったみたいだ。 劉のケンカが勝ったのか,金の力にモノをいわせたのか真相はわからない。 一昨日から待っていた日本人のおじさんは,浮かない顔をしている。 まだ座席確保の目途がたたないのだろう。 あとから来て申し訳ないが,我々は先に西安へ帰らせてもらうことにした。 9時15分敦煌空港を無事飛び立ち,12時には西安に着いた。
飛行機

西安では2グループに分かれる。 「はじめての西安」組が兵馬庸や華清池あたりの見学にいく。 シンちゃんは2回目なので,別働隊とともに乾陵(けんりょう)へ。 唐の3代皇帝と則天武后の陵墓だ。 長い参道の両側に国際都市長安らしく国際色豊かな石像が並んでいる。 物売りの子供もずっと着いてくる。 会話の練習はさせてもらうが,母親が縫ったとかいう訳のわからない人形は クセになるので買ってやらなかった。 外国人から手っ取り早く外貨を稼ぐ方法を覚えるよりは まじめに働くことをしつけた方がいいだろう。 観光客の方が彼らをしつけるべきだ。
首切り使節 物売りの子供

そのあと,最近できた陜西省歴史博物館へ行く。 前来た時は碑林のある陜西博物館しかなかったな。 この陜西省歴史博物館は 周,秦,漢,唐の時代のこの地方の収蔵物がすごい規模で陳列されているらしく楽しみだったが, 行ったらすでに閉館時間を過ぎているからと入れてもらえなかった。 ねばってもダメみたいだったので,仕方なく外で記念写真だけ撮る。

夕食はまた2グループが合体して鐘楼の近くの「鐘楼飯店」で餃子のフルコース。 明日の朝は,また飛行機の予定変更で,ホテルを6時に出発となったので, 夜遊びは控えめにし,早く寝ることにした。

8日め・9日め(8月23〜24日) 西安〜上海〜福岡

西安を8時に飛び立ち,11時50分上海空港に着く。 見学はせず,上海工業展覧館と友誼商店に行き,買物タイムとする。 女性団員は疲れをものともせず,目当ての土産物の売り場に走っている。
翌24日,14時発予定の帰りの飛行機も当然遅れる。 中途半端な時間なので,市内中心部の渋滞を避けて,時間つぶしに玉仏寺の観光に行くことにした。 シンちゃんは,2回目。 ミャンマーから贈られた白玉製の釈迦仏で有名な寺である。 早めに空港に行き,15時に上海空港を飛び立ち,帰国の途につく。


〜遥かなる西域への旅〜(前編)
忘れがたき中国旅行 新疆ウイグル・甘粛省・陝西省

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