2000年のおもなイベント


難民支援を考える学習会
<テーマ>日本に来ている難民の家族たち

11月18日(土)午後2時から 松江市生涯学習センター(スティックビル3階)
講師 濱田元子さん(難民支援協会理事・アムネスティインターナショナル会員
参加者 10人
これは松江市総合女性センター「プリエール」のフェスティバル・ワークショップの一部としておこなわれたものです。日本での難民保護の問題については、以前難民支援協会の筒井さんに聞いた話をまとめていますので、そちらもごらんください。ここでは濱田さんの話のうち、<家族>というテーマにしぼってまとめてみます。
○難民は、多くの場合迫害を受けるおそれのある人が単身で日本にやってくる。そこで・・・
・日本での難民認定の手続きが非常に長くかかることが多いうえ、長く待たされた末に不認定という場合も多い。そのため家族をよびよせるべきか否か、判断に迷うことになる。
・本人が単身で国外へ逃亡した場合、本国に残った家族が逮捕、拷問されるおそれがある。
・本国にいる家族のことを考えると、日本で本国政府を批判したり民主化を求める運動などはしにくい。
・運良く難民と認定され、家族を呼び寄せることができたとしても、現在の日本の制度では全く生活の保証はない。住居の選定や子どもの教育、仕事の確保、日本語の習得など、さまざまな問題がある。
・難民であるために、家族との統合の件利が侵害されている場合が多い。


チベットの拷問被害者ガンデン・タシさん講演会
2000年11月2日 参加者約40人

アムネスティインターナショナルは、2000年10月から20001年12月まで「拷問廃止キャン
ペーン」を全世界で展開します。日本支部ではその開始企画としてチベットの拷問被害者
を日本にまねき、全国各地で連続講演会をひらきます。今回の島根での講演会もその一部
として開催されました。
チベットには仏教を中心とした独自の文化を持つ国がありましたが、1951年以来中国軍
が占領し
ています。中国軍との戦闘や強制移住、社会主義政策のおしつけにより、約100
万人が死んだ(チベット亡命政府の発表。中国政府の発表では数万人)といわれており、

在でも約10万人がインドで亡命生活をおくっています。中国はチベ
ットの伝統文化を破壊し、
独立運動を弾圧する政策を続けており、多くの拷
問被害がおこっています。

■ガンデン・タシさんのプロフィール
30歳。元僧侶。15歳の時、ガンデン僧院に入る。1988年3月、19歳の時に平
和的なデモに参加して逮捕、長期の刑を言い渡される。獄中でひどい拷問を受け、1
年以上手錠と足かせをされたままだったことも。下半身が麻痺し、頭を強く殴られた
のが原因で重症になり入院。1994年、アムネスティ・インターナショナルによる
「緊急行動」の対象となる。後仮釈放され、インドへ。
現在はインド・ダラムサラを中心に活動するNGO(非政府組織)「チベット人権セ
ンター」で働いている。ダラムサラにあるチベットの元「良心の囚人」たちのグルー
プ、『9-10-3(グチュスム)の会』のメンバーとしても活動。

■ガンデン・タシさんからアムネスティへのメッセージ
チベットでは中国政府が異なる意見を持つ者を逮捕、拘禁し、囚人に対して残忍な拷
問を行っています。今日まで多くのチベット人が刑務所の内外で死亡しています。中
国政府は1951年にチベットを併合して以来、ダライ・ラマとチベットの独立を支持す
ると公に表明したチベット人の政治囚を多数投獄してきました。
 私自身は、刑務所で非人間的な拷問を受けましたが、医療措置を受けるため仮釈放
されました。それは、刑務所における私の状況を重視したアムネスティなどによる「
関心」と「行動」のおかげです。
 もしこのときに仮釈放されなければ、おそらく私は刑務所のなかで、誰も知る者も
ないまま、死んでいたでしょう。


死刑囚の作品をあつめた「命の絵画展」のようす

  期日 7月11日(火)から16日(日)
     10:00から18:00(16日は16:00まで)
  会場 島根県立美術館・ギャラリー2(入場無料)
  参加者 のべ750人

 これは、死刑の判決を受けた人々が獄中でかいた絵の展示会です。
 1996年、死刑廃止国際条約の批准をもとめる四国フォーラムのメンバーが、死刑判
決を受けた人々に手紙を書き、作品を集めて高松で開催したのが最初です。その後全国各
地で巡回展として開催されてきました。
 日本の拘置所内では、死刑判決を受けた人々の行動や、作品の画材などは非常に制限さ
れています。そのためこの<いのちの絵画展>の中にも、ポールペンや鉛筆でかかれたも
の、便箋にかかれたものなどもたくさんありました。

 今回の松江での展示は、アムネスティ松江グループの他、松江の演劇鑑賞会などたくさんの人々の協力で開催することができ ました。
 感想アンケートを読むと、死刑制度に反対の人と賛成の人が半々くらいの感じでした。 「死刑囚といっても個人によってちがうというあたりまえのことに気がついた」「死刑囚 を具体的な個人として考えられるようになった」などの感想もありました。ふだんはよく 知られていない、死刑囚の生活や死刑制度の実際について、考えてもらうきっかけにはな ったんじゃないか、と思います。


向井武子さんの講演会のようす
 
   期日 7月11日(火) 19:00から21:00
   場所 松江市総合女性センター(スティックビル2階)
   参加者 13人

 向井武子さんは兵庫県宝塚市に住むプロテスタントの牧師です。殺人を2度おこして3
人を殺し、死刑の判決をうけた青年を養子にしています。この青年は不幸な少年時代をお
くり、実の母親から充分な愛情を受けることなく成長しました。そして非常に残虐な殺人
事件をおこしてしまいました。向井さんはこの青年の事件を新聞で知り、文通をする中で
自分の子どもとして愛情を注ぐことを決意したそうです。そして犯人の母親として被害者
を訪問するなどしてこられました。
 死刑問題、犯罪被害者の問題を考える上で、非常に貴重な話がうかがうことができました。


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