釣具屋の浮きコーナー。
足を止めて、しばらく「あれもいいなぁ、でもやっぱりこれだなぁ」などと思いながら何十分も足を止めておられる方、いらっしゃらないでしょうか?
実際私もその口で、釣具屋の浮きコーナーの前に行くと、しばらくその場から離れません。
多種多様な浮き。その全てを購入できるだけの財力はありませんから、幾ら悩んだって買える数は限られています。
では、と思って自作を考えるとしても、やれドリルだ、やれ作業スペースだ、やれ暇が無いだのということを考えると億劫になってしまうもの。
やはりサラリーマン釣り師には暇は重要。毎日残業、たまの休みはとにかく釣りに当てたい。家族も大事にしないと...浮きを作っている暇って結構無いですよね。
私自身は団子用の棒浮きは簡単なものを自作しますが、円錐浮き等の所謂フカセ浮きは自作してません。やっぱり暇がないのが最大の理由です。
となると、やっぱり既製の浮きに頼らざるを得ません。
高い買い物ですからね。ここは一つ、皆様方と一緒に浮き 特に円錐浮きについて例によって屁理屈をいいながら考えてみたいと思います。
1.浮きを区分する
浮きをその機能、形状に基づいて区分してみます。
区分 | 基準 | 屁理屈 |
大きさ | ・大きい ・小さい |
表面積が大きい方が当然入水抵抗が大きくなります。 魚の活性が低いとき(食い込みが悪いとき)は小さい浮き を使った方が有利でしょう。 風が強いとき、また沖手と手前で潮の方向が逆に なっているときなどは、小さな浮きだと道糸が風や潮に吹 かれると容易に潮筋から外れてしまいます。 こういう時は大きめの浮き=潮受けの良い浮きを使うと 浮きが狙った潮筋から外れ難くなります。 |
質量 | ・重い ・軽い |
重い浮きほどコントロール良く、しかも遠投が聞きます。 見落としがちなのが、質量が大きい浮きほど、また魚が 刺し餌を喰わえて走った時の加速度が大きいほど、魚 が感じる力は大きくなるということです(F=Mα)。 つまり重い浮きほど魚は違和感を感じます。 喰い込み重視なら軽い浮きです。 |
形状 | ・下膨れ ・上膨れ ・丸 ・細長い ・三角 ・算盤玉 |
一般に下膨れは安定性がよく、上膨れは波乗り性が良い のではないかと考えます。つまり水中にある部分が大きい ほど、潮の本質的動きを確実に掴み、上が大きいほど、海 面の波の動きにサーフィンするのです。 魚の活性が低いときは下膨れの方が、刺し餌が踊らずに 良いのではないでしょうか。逆に魚の活性が高ければ、 海面に確実に乗せやすい上膨れの方が視認性の点で 優れていると思います。 細長い浮き(流線型)ほど入水抵抗が小さくなり、魚が感 じる違和感は小さくなると思います。 しかし真上から見た場合の投影面積が小さいため、視認 性は悪くなります。 丸いものは視認性の点においては細長いものより優れて おり、また方向によって入水抵抗が変わることもないので、 小粒であれば丸に近い形状のものも違和感を抑えること が出来ると思います。 側面視で逆三角形状のもの、また楕円形のトップ部分を 切った形状のものがあります。これらは強風時にも風の 影響を受けず、また高い位置から見下ろす場合には、視 認性も高いものとなります。ただ、引き込まれた際に、トッ プ部分の上方で渦流が発生するため、抵抗は大きくなりま す。 側面視で菱形の算盤玉形状のものがあります。これらは トップが円形の物に対して、浮きの傾きが解りやすいとい う利点があり、これによりハリスの向きを把握することがで きます。 |
浮力 | ・大きい ・小さい |
浮力の大きい浮きは、当然仕掛けに付ける錘が重くなり ます。 深場を狙うならこれは有利ですが、浅棚を狙う場合は、無 意味に仕掛け全体の質量を増加させる元となりますので、 できるだけ浮力の小さい浮きを使いたいものです。 流れが強ければ、ハリスに錘を打たなければ、仕掛けは 舞い上がってしまい刺し餌を安定させることができません。 この様な場合、仕掛けを安定させることが出来る最小限の 錘をハリスや道糸に付け、それに見合った浮きを選択すれ ば良いと考えます。 私は0号〜2Bを常用し、時々3Bを使うくらいで、これより 大きな浮力の浮きを使うことは殆どありません。 |
余浮力 | ・大きい ・小さい |
浮きの表示浮力分の錘を付けても、浮きはトップを水面に 出した状態で浮いています。これだけ余浮力(残留浮力)が あると言うことです。 遠方まで流す場合は余浮力を残した状態としておくことで 浮きの視認性を保つことが出来ます。 しかし通常は余浮力をできるだけ殺すように浮き下等に浮 力調整用の錘を付ける場合が多くなります。 特に魚の活性が低い場合は、完全に水面下に浮きが位置 するくらいにギリギリの浮力設定をすると、魚が違和感なく 喰い込んでくれることが多くなります。 浮きによって余浮力が大きめに設定してあるものとそうでな いもの。また釣研のインテグラルタイプのように、予め余浮力 が表示さているものもありますが、あくまで塩分濃度や水温 によっても浮力は変化しますので、実際のフィールドで微調整 する必要があります。 |
重心 | ・高い ・低い |
重心の低い浮きは揺れ角度が小さく安定性があります。 しかし、傾いた場合の戻りスピードが速くなりますので、魚が 斜めに引き込んだ場合、浮きが傾くことにより魚が違和感を 感じやすくなります。 対して重心が高めに設定されている浮きは、ふらつきがある ものの、道糸の張りに対して素直に傾き、また魚の引きに対 しても自然にその角度を変えるため、魚が感じる違和感は小 さくなります。 何れにしてもこの重心位置の高さでその浮きの特性が大きく 左右されるため、自分の好みや魚の状況を考えて浮きを選択 する必要があります。 |
糸通し | ・中通し ・環付き |
円錐浮きであっても環付きタイプのものがあります。 浮きの中心下部に環が付き、ここにスイベル等を介して糸を 通して誘導にするものです。 これだと深場を狙うときに、糸と環との接点が小さいので、抵 抗(摩擦)もその分小さくなり、スムーズに仕掛けを底に落とす ことができます。 中通しは通常タイプですが、孔のトップにセラミックリング等を 取り付けたものや、両端を焼いたガラス管を孔に取り付ける等、 糸通しをなめらかにする工夫が為されたものがあります。 中通しの利点は、ラインが絡みにくいこと、また孔の下側にヨウ ジ等を差し込むことにより容易に固定仕掛けにすることができる 等のメリットがあります。 通常は中通しタイプを使用すれば良いと思います。 |
色 | ・高輝度 ・普通 |
逆光時に見えやすいように塗装されたものがあり、朝日や夕日 が逆光になるときは幾分効果があります。 色は通常オレンジや朱色のものが多く、曇りの時等は黄色系 等の明るい色が見えやすいと思います。 |
塗装 | ・強化塗装 ・普通 |
磯でフカセをやっていると、空アワセをした時等に浮きを岩にぶ つけることが頻繁にあります(私の場合)。 以前の塗装は簡単にヒビが入ったり、凹んだりしていたのです が、近年、その強度はかなり向上しているようです。 各メーカ等から強化塗装の浮きが発売されており、私が使用した 中ではGUREXがかなりの強度を持っているように思います。 またプロ山元浮きの塗装もかなり強いですし、釣研の浮きにも 価格帯により各種のハードコーティングが施されています。 |
材質 | ・桐 ・その他 |
通常は桐が使用されているようです。木目を生かした塗装でも 仕上がりは美しくなります。 桐は強度もそこそこあるので、簡単に割れたりせず自然素材と しては優れています。 この他人工素材(各種発泡素材)や、金属素材、コルク材等各 種の材料が浮きの素材として使用されています。 この辺りは好みでいいのではないでしょうか。 |
価格 | ・高い ・安い |
安いに越したことはないのですが、 高い浮きはそれなりに塗装強度や重心のバランス、浮力設定 等がしっかりと管理されており、安心して使うことができます。 ただ高い浮きを流したときの悲しさと来たらもう... ちゃんとしたメーカの製品であれば、安価であっても製品の性能 管理はちゃんとされていると思われます。 予算の許す範囲で...これは嗜好の世界ですね。 |
ネームバリュー | ・名人浮き ・有名メーカ ・無名 |
有名メーカの浮きや名人浮き等は一般に高価なものが多いので すが、製品の性能管理がちゃんと行われており、安心して使うこ とができます。 以前、高価な浮きに反抗して、一個2〜300円くらいの浮きを購 入したことがあるのですが、2Bの浮力表示に2Bを2つ付けても 沈みませんでした。浮力表示などあって無きが如し... 全てがそうとは言いませんが、安いものを買うときはそれなりの リスクは覚悟する必要があるかも知れません。 私は基本的にメーカ品を、できるだけ半額セールの時や、型古の ものを購入するよう努力しています。 |
2.浮きの果たす役割
@アタリを取る
A仕掛けを飛ばす
B仕掛けを潮に乗せて流す
C刺し餌を決まった棚にキープする
代表的なものと言えばこんなものでしょうか。
これらの役割を頭に置き、自分が釣行するフィールドの状態を思い浮かべながら、上表の区分毎の判断基準に当てはめて浮きを選んでみられてはどうでしょうか?
3.まとめ
もう少し色々書きたいところもありますが、整理が付かない部分もありますので取りあえずこの状態でアップします。
また思うところがあれば、追記したいと思います。
基本的に浮きの選択は嗜好によるものも大きいと思います。この浮きは釣れそう!と思えれば、きっとその浮きは素晴らしい浮きなのだと思います。
余計に混乱した感もありますが、取りあえずここまで。