第一話:名探偵コカインの過去 「俺、名探偵コカイン、自らそう言ってるんじゃない、皆が勝手に付けたあだ名だ。」 俺の過去は真っ暗だ。俺が撃った麻酔針で一緒に住んでいた、実の父、毛利庫五郎を撃ち殺してしまった。理由は虐待からだ、親父は母親の不倫を疑い、俺を認知せずに、殴る蹴るの暴行を受けていて俺は恨んでいた。 小学校六年生の時に初めての事件が起こった。一緒に連れて行かれた・・・何の仕事だったかな、とにかく親父の推理が馬鹿馬鹿しくなって、知り合いの博士から譲ってもらった麻酔針を撃ち込んだんだ。親父が急に椅子に座り込んだ時にはざまみろと思ったが、そのまま呼吸が止まり死んでしまった。 その後、警察に俺の部屋から麻酔薬が発見されてから、言い訳がつかなくなり、しょうがなく自白して少年院に入れられた。 少年院から出る頃には17歳。10歳の妹の蘭と暮らしている。 今の職業? 探偵だ。少年院で知り合った友達”小島元太”から薬物を勧められて、コカインを吸引した瞬間からトランス状態になり、普通の人には分からない真実が分かるようになったんだ。 幻想、幻覚だと言うやつが居るが、何度も吸引するうちに、それが6割当たるようになったんだ。それで探偵としてやっていってる。 報酬は任意のお金と、前払いのコカインだ。 最近は、薬物の使いすぎで瞳孔が開きっぱなしになり、依頼は悪友”小島元太”から取っている。もちろん依頼主は危ない奴らばかりだ。 こんな事は妹の蘭には言えない。 ほら、今日も依頼が来た。 元太「おい、コカイン」依頼だ。これを嗅いで解決してくれ。 コカイン「たっくしょがねーな」 ・ ・ コカイン「あぁ。熱い・・まるで骨が解けるようだ」 この決まり文句を言ってから、俺の仕事が始まる。誰にも俺のやり方に口を出させたくねぇ。
第二話:依頼が来た 依頼の内容は殺しだった。 俺はトランス状態で、ターゲットの居場所を突き止める・・・。 東京秋葉原・・ここか淀川周辺、非常にアバウトだが顔写真は手に入れている。張り込んで麻酔銃を撃ち込んで、車に運び、山に埋めるか、海に沈めるのであった。 今は雪が積もってるので海に沈める事にした。 今回は元太の友達の”塩谷光彦”が手伝ってくれる事になった。こいつは頭がまぁまぁ切れる上に、冷酷な行動もすんなりできるのだ。顔付きも目が尖っていて、いかにも悪人の感じで頼もしい。
3人とも160cm代の小柄である事から、グループ名は”少年探偵団”と呼んでいる。 光彦が車を運手して、元太が後ろの席に座り、俺が助手席で定期的にコカインを吸い込んで、正確な場所をトランスし案内している。 ・ ・ ある程度近くなったと感じた時に、俺と元太の二人で徒歩で探し始めた。 ついに喫茶店でターゲットを発見した。13分後ターゲットが会計を済ませる。 俺は麻酔針を用意した。出来るだけ接近し肌の部分を狙い撃ち込む、狙うのは肌が服に隠れていない首筋だ。 胸がドキドキする。 元太「おい、コカイン緊張して外すなよ。」 コカイン「うるせーな。」 ターゲットが店を出て信号待ちで止まった瞬間に、俺は思い切って撃ち込んだ。ターゲットは倒れこみ、すかさず元太が、光彦の運転する車へ運び込んだ。後は重りを付けて海に沈めるだけだ。 ・ ・ 元太「やったなおい、今日はうな重だ。」
第三話:兄と妹の関係 俺、コカイン高校二年生、薬中に彼女は居ない一日の大半をムラムラしている。 妹がお風呂場から上がった、下着だけを着た無防備の蘭を見て欲情してしまった。「えへへ、少し胸が大きくなったと思わない?」モデルになったつもりか、蘭はポーズを作ってくるのだ。 たまらず蘭の両手を掴み襲い掛かろうとした・・・「やだぁ、お兄ちゃん・・・・私に勝てると思ってるの?」やつは10歳とはいえ柔道都大会優勝の実力を持ってるのだ。 妹はニコと笑った様にも見えた。 次の瞬間、足をひっかけられ後ろに倒された。「ゴツ」後ろに置いてあったテーブルに後頭部をぶつけてしまった。「いてぇー、お前には勝てないよ、ハハハ。」以前にも冗談半分で襲い、柔道の練習相手にもなっているのだ・・・と俺は思ってる。 いつもここで終わってたが、今日はそれで終わらなかった。 そのまま寝技にもってかれた。少し期待したが何かいつもと違う、どんどん首が絞まっていくのだ。 コカイン「お、おい待てよ」 急に蘭の声が変わった。 「妹に手を出すんじゃねー、ぶっ殺すわよ。」 「??」 妹は人格障害があり、時々人格が入れ替わる。 「夕紀子かーちゃん?悪かったよ妹は襲わねーよ。」毛利庫五郎は母夕紀子に対しても虐待を加え失踪していた、もしかすると、もう自殺してるかもしれない。 首を絞められ意識を失ってから蘭、いや母は許してくれた。 それから性処理は、自宅に風俗嬢を呼び寄せて処理している。お金は元太が払ってるのでいくらかは知らない。
第四話:生活状態 俺には夢がある。 妹の蘭、こいつがプロ野球選手と結婚する事だ。 ルックスは並かもしれないが、もっと柔道が強くなれば出会えるかもしれない。田村良子の例がある。 そんな夢を見ている。 妹に食事に不自由させたくないが、 生活は裕福ではない、手数料として収入の大半を元太が持って行くのだ。俺の切り札に必要な麻酔薬も、博士の薬事法違反で逮捕後連絡が取れず、元太に頼ってるからしょうがない。 他に理由があるとしたら、依頼者の中には、お金が任意な事をなめて踏み倒す奴もいる。そんな奴はトランスしてでも見つけ出して、キック力増強シューズを履いて、相手が戦意を喪失するまで蹴り続ける。 以前は、サッカーボールや空き缶を蹴って、それを相手にぶつける事をやてみたが、相手は痛そうなそぶりが見えなかったからやめた。 キック力増強シューズと言っても、機械が入ってるのではなく、単に鉄板が入ってるだけだが・・・。 元太も不満に思ってるらしく、見つけたら一緒に蹴っている。 お金よりメンツだ、ここにも問題があるのかもしれない。もちろん暴行した後、財布の札も抜くが、最近はカード支払いが主で、現金を持ち歩く奴が少なく、それに比例して収入も少ない。窃盗よりストーキングでの恐喝の方が儲かる気はする。 ・ ・ 元太は仕事がなかなか無い時になると。 「おい、コカイン、妹を保険金受取人にしてやるから死んでくれ」 冗談ではない。 妹の為にも、生活保護を受けた方が良いのか悩んでる。
第五話:仕事風景 薬物でラリながら、テレビを見てたら携帯が鳴った。 「おぃ、仕事が来たぞ」 元太からだった、依頼内容は拉致被害者会の首謀者に、暴行を加えて欲しい事だった。依頼主はリサイクル会社を経営していると言った。 動機は推測でしか過ぎないが、北朝鮮との貿易損失での怨恨、今時だから、これから起こる事件に対して、何か株をかけてるのかもしれない・・。 探偵は依頼主にプライバシーを配慮して、深く追求する事が出来ない。 まぁ、俺には関係のない事だ。 ・ ・ 元太は、いつになく多弁になった。 元太「ターゲットは、自民党の人道的対応のイメージアップに使われてるだけで、被害者面して気に食わなかったんだ。俺、この為にパンチ力増強させる、ハイパーグローブ買ったんだぜ。」 コカイン「おいおい、張り切りすぎるなよ。」 元太「コカイン臆病だな、少々殴ったぐらいじゃ死なねーよ」 今回は殺すのではない暴行までなのだ。殺すと暴行では、警察の捜査力にも格段の違いがあり、殺すと俺達の次の仕事への潜伏期間も長くなる。暴行に対しては捜査が軽く、次の仕事もしやすい。 二人の話し合いで、テレビで著名な蘇我人見さんに決めた。大まかな住所も堂々とネットに公開されて、比較的楽な仕事に感じたからだ。 ・ ・ 光彦が運転しながら、俺は詳細住所をトランスしていた。 光彦「大変です。信号が虹色に見えてきました。」 コカイン「やべ、早く窓開けろ」 コカインが車内に蔓延してしまった。慌てて窓を開けて難を逃れた。 こんなトラブルがありながらも、人見さん宅へたどり着く事が出来た。 ・ ・ 隣家が遠い山奥だった。 光彦「これなら、別の場所に運んで暴行する必要はありませんね。」 光彦は冷静に判断を下した。 本人の強い希望により、元太が最初に声をかける事になった。 元太は、「任せておけって、俺に作戦がある。」 ・ ・ 日が落ちて、人見さんが一人で家から出て来た。玄関の光から特徴的な体格が伺える、あの体格になるには、北朝鮮でもたくさん良い物を食べて来たのは間違いない。北朝鮮時代の貢献度も高そうに見えた。 人見さんが家から少し離れたところで、元太が話しかけている。 元太「蘇我人見さんですよね?俺ファーンなんです。サインください。」 人見さんは少し警戒した様子に見えたが、二度目の拉致、暴行はないだろうと思ったのか、色紙を受け取った。その瞬間、元太のハイパーグローブが人見さんの腹に命中する。 人見「う・・」 これで人見は意識を失いかけていた。次は顔面を狙い連打する。 地面に倒れた人見さんを、元太は馬乗りになり執拗に殴り続けている。 ・ ・ 元太「終わったぞ、確認してくれ」 携帯で連絡が入った。車で待機していた俺達はゆっくり近づき、車のライトを使い人見さんを映す。顔は鼻も折れぐしゃぐしゃになっていて、「痛い、痛い」と呻いていた。 俺達は、人見さんが顔を隠す手を退けて、証拠の顔写真を撮りその場を離れた。 ・ ・ 帰り道は元太がしきりに、ハイパーグローブの威力が、いかに凄いか自慢してた。 元太「俺のパンチ凄かったんだぞ、ハイパーパンチ!パンチ!!」 薬の興奮効果が残ってるのか?暴行を楽しんでるのか? ・ ・ 家に戻り、テレビでは大々的に人見さんが取り上げられていた。 痛いしい姿で人見さんが、「犯人は、万世、万世としゃべっていた。」人見さんが、必死に北朝鮮人のせいにしようとしてたのは笑えた。 コカイン「これなら依頼人も満足してくれるはずだ。」
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