風呂好き親子


一番風呂のオキテ

私が子供の頃は風呂屋に通っていた。近所の風呂屋が休みの時は少し遠くの開いている風呂屋に行った。台風の日は風に傘を取られそうになりながら、雷の夜は雷が傘に落ちなきゃいいがと心配しながら、晴れた夜は星を数えながら、と風呂好き親子は毎日風呂屋に行っていた。風呂屋に行くと時々うれしいハプニングもあった。(夢の自販機を参照)雷の時は弟や妹が恐れて行きたがらないので、子守を父にまかせて私と母は風呂屋に行った。今から考えると、台風の日なんかは風呂屋が自主休業している可能性があるのに無謀である。

そんなこんなで私と母は無類の風呂好きだ。私は風呂つきの家に家族で住んでいた頃は常に1番風呂。お湯がキレイなのと熱い湯に入れるのが好きなのだ。ただ、他にも1番風呂を狙っている者がいるので、1番であり続けるためには、2番に文句を言わせない事も大事。

1.どんなに寒くても、つかるまえに頭も体も全部キレイに石鹸で洗ってから入る
2.湯船では絶対体を掻かない
3.出る前に、次の人のため少し沸かしておく
4.出るときには必ず湯船に浮いた髪の毛とかゴミとか取って出る
5.いま取ってもしばらくすると浮いてくるので、脱衣所を離れる前にもう一度湯船のゴミをとる
6.長風呂は避ける

といろいろ配慮が必要なのだ。
(ガス代を払う親としては、「日向水」のようなぬるい湯が好きな弟が先にはいって、「しびれる熱い湯」が好きな私が最後に入るのは不経済なので、私が1番に入るのには賛成だったようだ。母は「沸いたよ」とまず1番に私に言ってくれていた。)


私は茹で蛙

今のアパートに引っ越してからは、私は湯船につからずシャワーで済ます事が多い。うちの風呂はトイレが同じ部屋にあって3畳と広い。風呂場全体が温もらず、厳冬期は湯船につかるとかえって風邪をひくからだ。しかし春と秋は湯船にお湯を張って入ることも多い。今は後からせかす者もいないので、1番風呂のオキテはあまり守られていない。特に長風呂の件。せっかくお湯を張ったのだから「元を取るまで入ろう」と1時間は出て来ない。ただ給湯なので1時間も入っていると当然冷めてくる。足し湯をしてもあまり熱くはならない。私はまず普通の温度のお湯に入り、追い焚きしてしびれる程熱い湯に我慢してつかるのが好きなのだ。
実家の風呂は追い焚きタイプなので、しびれる熱い湯に入れる。(妹の子供が風呂に入る時、私と一緒に入ると湯冷めしないので安心、と言われている。ただしのぼせてフラフラ。)アパートの風呂は追い焚きができないので、しびれる熱い湯でフィニッシュを飾れないのは残念だ。


長風呂親子

この前、母と温泉(実家の近所にある)に行った時の話。母はある友達と温泉に行ってもすぐ出たがるのでおもしろくないと言っていた。脱衣所で待たせるのも気兼ねだし、まだ出たくもないのに友達に合わせてあがるのも嫌だし。私は温泉に行くと例によって「元をとるまで入ろう」とするので、「もう出よう」と先に言うのは必ず母。母は私と温泉に行くと、何時間でも気兼ねなく入っていられるので都合がいいらしい。この日、風呂からあがって時計を見てびっくり。2時間半もつかっていた。夕食の支度があるので、あわてて温泉を出て買い物にいった。まったくあきれた長風呂親子である。

また、この日「顔やせマスク」を温泉に持っていってお湯に入っていた。少々の事では顔に汗をかかないので、この際とばかりまた「元をとるまで」の精神を発揮、長風呂に挑んだ。銀色の顔全体をおおうマスクは異様で、ちょっと恥ずかしかったが効果てきめん。家の風呂のように1時間入っていても冷めないのでたくさん汗をかくことができた。一目をひくのが難点だがまた次も持っていこう。

次ページへ