出雲神話

出雲神話こそ古代出雲が海洋航海民族であった有力な証拠である。そう思える ほどに航海や海に関する記述は多い。

「記・紀」には大国主命が越や北九州と交流をもっていたとか、スサノオノミ コトが新羅(当時の朝鮮)にまで進出したという記事が頻繁にでてくる。出かけ るにしても独りで行くということはありえないので何艘かの船団を当然組んで行 ったのであろう。

また「出雲風土記」には大国主命が越(現在の北陸方面)の娘と結婚したとい うくだりがある。出雲でも豪族の娘何人かと婚姻関係を結んでいる。この事はそ の当時政略結婚があったという証と見てよい。またそれを可能にしたのも交易文 化が盛んであったがゆえであろう。


これまで神話はとかく軽んじられてきた。神話は神話であって現実の話ではな いという観点からである。これはこれまでの日本の歴史に対する不見識によるも のである。そのことは 出雲の思想 にて述べた。結局、日本では神は人であった(勿論、天皇を現人神としたよ うな見解とは異なる)。それが仏教、及びキリスト教を踏まえた歴史学のために 日本における神の概念は大きく歪められた。そのあおりをくったのが日本の神話 である。あえてここでは通させてもらうが、日本の神話は大なり小なり政治的影 響を受けているにせよ史実として受け止めなければならない部分が多い。これか らの歴史学の更なる成果を期待したい。

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