宮島の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)指定について(その1)
2014/5/18

 現在、廿日市市が宮島町を重要伝統的建造物群保存地区に指定しようとしております。入島税(宮島では来島税と言われていた)の創設やこの度の重伝建の指定といい、廿日市市と宮島町との意思疎通がうまく機能していないのではないかと思われてなりません。なぜなら合併前の宮島町時代に検討された案件ばかりだからです。

 今から約30年前、宮島町で歴史的町並み保存条例の制定が検討されました。さまざまな議論の中で、町並み保存より住民の健康を優先することを決めたのです。当時、江戸時代の町並みを色濃く残す建物群が残存し、町並保存運動家が絶賛した町並みが存在していたからです。島外の人や島内での生活経験がない方には、なかなか理解しがたい事柄ですが、宮島に住み生活する者にしか解らない、深刻な歴史がそこにはあるのです。弥山を背にした西向きで、ウナギの寝床型の建物には日が射しません。日当たりの悪い家には医者が入ります。宮島の浦にどのような施設があったのか調べればすぐ解ります。

 居住環境の悪い建物を残していったい誰が住むのかと云うことです。貴方は住みますか?人が住みそこで生活してこそ初めて地域社会が成り立つのです。地方は都市の付属物ではありません。都会の人がたまに訪れ、古き良き時代の感傷に浸れる場所造りが、地方の役割ではないはずです。当時の町長さんの英断でした。その後、軸足を厳島神社を守ることに移し、ユネスコへの世界遺産登録申請や厳島神社のライトアップに繋がり、今日の活況の基礎が築かれたのです。

 翻ってこの度の提案は、すでに町並みが崩れ、古家が点在する中でしようとしている指定です。今のまま指定が強行されると、町民間で深刻な利害対立が生まれます。補助金を受け取り税金を減免される家の隣の一般住宅は、何も得るものが無いだけでなく、様々な規制を受ける事になります。それは古屋の住民が、一般住宅の住民を踏み台にする事に他なりません。そんなことが果たして許されるでしょうか。宮島では、怨念は末代まで祟ります。そんなことを行政が推進していいはずがありません。

 宮島は、文化庁の予算消化事業の場ではありません。文化庁の意向を受けた学者や利益を受ける建築家グループのささやきに踊らされる宮島人はいません。

 現在、重伝建の指定地域は106にのぼります。「おらの町にも重伝健ぐらいはある」状況です。問題点や課題はもはや明らかです。
 古家が指定を受けたが最後、住むに住めない、貸すに貸せない、売るに売れない、壊すに壊せない現実があちこちの指定地域でみられます。規制の網は、綺麗になった外観とは裏腹に、衰退する地域の象徴をつくり出しているのです。

 宮島は、グローバルスタンダードとしての観光地に変わらなければならない大切な時期です。ノスタルジックな発想では対応できないのが現実です。観光庁の推進するビジットジャパンキャンペーンの先頭を走る、世界遺産の島を有する自治体としての資質が、今まさに問われています。
最近、空き屋を利用して若者が起業しています。規制ではなく自由な発想が、世界に通用する宮島を創るのです。


伝統的建造物群保存地区とは、城下町宿場町門前町寺内町港町農村漁村などの伝統的建造物群およびこれと一体をなして歴史的風致を形成している環境を保存するために市町村が定める地区を指す。この制度は、文化財としての建造物を「点」(単体)ではなく「面」(群)で保存しようとするもので、保存地区内では社寺民家などの「建築物」はもちろん、土塀石垣水路・石塔・石仏・燈籠などの「工作物」、庭園生垣樹木・水路などの「環境物件」を特定し保存措置を図ることとされている。2013年平成25年)12月現在、日本全国で41道府県86市町村の106地区が選定されている。

Wikipediaより

選定されれば、修理や保存にかかる費用最大8割の補助が受けられたり、固定資産税減免されたりする。
朝日新聞より

私の場合、重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)は卒論のテーマでもあったから、古い家屋でも自由に改築できなくて不便だろうなとか、これはわざわざ古く見せるようにリフォームした家だなとか、補助金で生計立ててるのかなとか、重伝建制定にあたって、商売始めるのに有利な街道沿いの住民と不便になるしかない脇道の住民とできっと泥沼の争いがあったんだろうなとか余計な想像が巡って素直に感動はできなかった
みんなの口コミより 

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