宮島口まちづくり事業計画 2015年5月01日


 宮島の玄関口である宮島口で「まちづくり」事業計画が進められています。どのようになるのかは、はっきりしていませんが、先行して海面埋め立て工事がおこなわれています。工事内容を見る限り、桟橋駅が沖出しされ、JR山陽本線宮島口駅からの乗り換えが遠くなり、ビジットジャパンキャンペーンの先頭を走る宮島を訪れる海外のお客様にとって、不便な宮島口駅になりそうです。また船の発着場所から地元商店街が引き離され、将来の営業に強い不安を抱かせています。

 今回の「宮島口まちづくり」事業計画は、宮島口周辺の2号線の渋滞緩和が目的のはずです。この計画ではどこにも緩和策が見当たりません。海面埋め立て工事と巨大な桟橋駅舎の建設計画があるだけです。

 2号線の渋滞は、祝祭日や観光シーズンにマイカーが押しかけることによって引き起こされています。
宮島口周辺の2号線のバイパス化や広電宮島線のバス路線への転換が困難な状況なら、宮島への来島ルートの複線化をすれば解決出来る事です。
すでに、廿日市インターや大野インターから、海岸までの道路は整備されています。駐車場にする広大な遊休地もあります。要は廿日市航路と大野瀬戸航路を作れば渋滞は一挙に解消です。廿日市市が、観光シーズンだけの臨時便を運行すれば良いだけです。すでに民間レベルでは、遊休地を利用して、大野瀬戸航路の運航が行われています。



 宮島口周辺の2号線の渋滞解消が、「宮島口まちづくり」事業計画の目的だという廿日市市の説明は説得力がありません。船の発着場所を移動させ、新桟橋駅舎を造り、広電とJRが宮島口を独占しようとしていると思われてもしかたありません。船の発着場所の移動は、地元商店街にとっては死活問題だからです。


 その昔、「宮島口再開発事業」の折、宮島住民の墓地の移転騒動をご存知の方が、計画参加者の中にいらっしゃるのでしようか?宮島の承諾なく、宮島口の海面埋め立て工事は出来るのですか?
「まちづくり」は、その町の歴史を知る事から始めなければ、とんでもない計画になってしまいます。
宮島口商店街は、宮島にお客様をお迎えするに相応しい宮島口の整備に尽力してきました。この大野町民の努力を、廿日市市はどのように考えているのか聞いてみたいものです。

 宮島町民にとり、生活航路である宮島航路に、豪華客船も豪華桟橋駅も必要ではありません。安くて安全で、便利な船。乗降が楽にでき、出来るだけ短い桟橋があればいいのです。工事中とはいえ、長い桟橋スロープに苦しんでいるお年寄りの姿が見えないのでしょうか。宮島に渡る来島者もしかりです。市が世界遺産宮島に相応しい宮島口駅を必要とお考えなら、市が責任を持って造り、維持管理して下さい。まちがっても、航路運賃に費用負担を転嫁するのは止めて下さい。高い運賃やフェリー代に泣かされてる島民を、これ以上苦しめないで下さい。過疎化に益々拍車がかかります。
 来島税検討会のなかで、観光客との二重運賃を提唱する者に対して、あるお年寄りが、「宮島を詐欺の島にするのか」と一括された事を忘れてはなりません。
 宮島は、観光の島であるまえに、信仰の島、市民の余暇利用の島でもあるのです。
来島人員に眼を奪われ、中味を見ない議論は止めて下さい。来島者の1人当たりの消費支出の異常な低さや、近年4軒もの老舗の旅館が倒産しているのです。シャッター通りにしない商店街の努力を見逃さないで下さい。
 来島人員の増加に比べて、宮島の経済を支える来島観光客数は増えていません。近年約200万人、宿泊者数は約30万人、平均客室稼働率も40%前後で推移しています。
 来島者は参拝道を必ず往復します。1人の来島者が2人になるのです。人が行き交う商店街は大変活気があるように見えるのです。
今、来島観光客動向が変わろうとしています。一般観光客や修学旅行の減少を補う意味で、海外のお客様が増えています。外国人観光客を取り込めるかどうかが、宮島観光経済の将来を決めるのです。

 過去に、宮島航路の終便廃止や運賃値上げに対して、町船の運航を計画しました。船の手配もすみ、宇品の船舶局に運航の許可申請をしたところ、当時JRと松大船に航路権があるといわれ、受付を拒否されました。しかし今日この航路権はなくなり、だれもが申請可能になりました。宮島航路は、2社の独占航路ではないのです。計画中の総合桟橋、2社にしか使わせないわけではないでしょうね。船の喫水線を利用しての桟橋独占を認めてはいけません。
 宮島航路は宮島経済の生命線です。航路独占が故に、島内経済に多大な悪影響をもたらしています。宮島航路は、公共交通機関としての役割を果たしていません。JR山陽本線や広電宮島線への連絡が、早朝や夜間、連結しない運航をしています。利益至上主義に陥っているのです。宮島への通勤が不便なため、慢性的人手不足です。そのことが営業時間の短縮を招き、朝や夜の営業を困難にしています。高額フェリー運賃が、島内物価を押し上げています。観光地価格を生み出す原因になっています。宮島航路2社は、宮島の恩恵を一番に受けているのに、利益の還元が不十分です。JR山陽本線や市内電車、バスにある割引特典が宮島航路にはありません。
 島民が島外に行く場合、宮島口に渡るだけで、バス代+船賃で960円が必要です。島外の人が200〜300円で目的地に行ける事を思うと、生活費に占める交通費の割合が異常に高く、過疎化を生み出す原因にもなっているのです。廿日市は、形にとらわれないで、妊産婦や高齢者に優しい「まちづくり」をすべきです。
 宮島口の発着場所は動かさない。宮島駅と同形の駅舎にし、桟橋は宮島と同じ、第一、第二、第三桟橋を造り、銀河クラスから屋形船までもが係留可能なものにすべきです。宮島口では、桟橋を沖出しすればするほど、災害に弱い危険な桟橋になります。そこは風が舞う所だからです。無論、世界遺産宮島に相応しい宮島口駅にするのですから、先人達が世界に誇れる宮島を創り上げた、文化財保護法、自然公園法、特別風致地区等、7つの法規制の対象とすべきです。

 「まちづくり」は、そこで暮らし生活している人の視点から取り組まなければ、成功はおぼつきません。近年、上から目線で物事を進めることを見聞きします。地方が国の補助金目当てに事業計画をたてると、当初の目的とはかけ離れた事業になります。地方を、全国一律の金太郎飴に変えてしまうのです。国際コンペ、一流の人材だと花火を打ち上げると、市はもはや後戻り出来なくなります。国が進める行政の効率化や、中央集権化のための罠にかかるのです。その結果残されるのは、航路運賃等の値上げによる住民負担増だけだからです。

 宮島口の船の発着場所の沖出しは、宮島航路利用者の安全性、利便性を損ない、宮島口商店街の営業権を侵害する計画です。「宮島口まちづくり」計画の見直しや、海面埋め立て工事の差し止めの訴訟が起きてもおかしくない事態です。市当局は粛々と工事計画を進めるのではなく、現実を真摯に受け止め、地域住民との話し合いの場を早急に設けるべきだと思います。地域住民は、「宮島口まちづくり」計画の甘い誘惑に乗らない事です。子や孫の代に遺恨を決して残してはなりません。宮島航路の発着場所の変更不可こそが、「宮島口まちづくり」事業計画のキーポイントです。

宮島の重伝建指定について
宮島に女性支所長誕生

*掲載内容の無断転載を禁じます。