■CIE XYZ表色系(9): XYZ-RGB の変換式 と カラートライアングル

 CIE XYZ表色系における三刺激値(X, Y, Z) と RGB表色系における(R, G, B)値の変換式には各種のものがありますが、ここに主要なものをまとめています。

 ●RGB 色空間
 RGBカラーモデル自体は、R:赤、G:緑、B:青の3原色について測色学的にどのような色とするか(正確なスペクトル構成)を定義していないため、sRGBやAdobeRGBなどさまざまな色空間(RGB色空間)が存在しています。

・CIE RGB
 ・原色をR(赤:700nm)、G(緑:546.1nm)、B(青:435.8nm)とするCIEの表色系です。

・sRGB(standard RGB)
 ・国際電気標準会議 (IEC) が1999年に定めた国際標準規格です。
 ・一般的なモニタ、プリンタ、デジタルカメラなどではこの規格に準拠しています。

・Adobe RGB
 ・Adobe Systemsによって提唱された色空間で、sRGBよりも遥かに広いRGB色再現領域を持っています(特に緑域)。
 ・印刷や色校正などでの適合性が高く、DTPなどの分野では標準的に使用されています。

・NTSC RGB
 ・NTSCが策定したアナログテレビ放送の色域に対応したもの。
 (注)NTSC (National Television System Committee):全米テレビジョン放送方式標準化委員会

・HDTV RGB
 ・デジタルハイビジョン放送を映す際の色域に対応したもの。
 ・sRGBのベースとなったものです。
 (注)HDTV (High Definition TeleVision):高精細度テレビジョン放送

 ●ホワイトポイント(白色点)
 RGB 色空間において、R, G, B それぞれの強度が100%の場合の混色結果が白になりますが、RGB 3原色の定義と同様に、「白」をどのような色あいの白で表現するかも規定する必要があります。
 この「白」をどのような色あいで表現するかをホワイトポイント(白色点)と呼び、物質を高温に熱したときに放つ光の色に対応させた「色温度」で表します。
 ●各方式の色域比較 と RGBカラートライアングル
 代表的なRGB方式についての色域比較を図示します。
 色度図上でRGBの3原色を頂点とする3角形をRGBカラートライアングルと呼びます。 各方式においては、この3角形の内部の色が再現できます。


 ●XYZ値 と RGB値 の変換式
 代表的なRGB方式について、相互の変換式を示します。
RGB の方式 3原色&W.P.  XYZ <-- RGB  RGB <-- XYZ
CIE RGBR (0.7347, 0.2653)
G (0.2738, 0.7174)
B (0.1666, 0.0089)
W (0.3333, 0.3333)
X = 0.4898R + 0.3101G + 0.2001B
Y = 0.1769R + 0.8124G + 0.0107B
Z = 0.0000R + 0.0100G + 0.9903B
R = 2.3655X - 0.8971Y - 0.4683Z
G = -0.5151X + 1.4264Y + 0.0887Z
B = 0.0052X - 0.0144Y + 1.0089Z
sRGB
(D65)
R (0.64,  0.33)
G (0.30,  0.60)
B (0.15,  0.06)
W (0.3127, 0.3290)
X = 0.4124R + 0.3576G + 0.1805B
Y = 0.2126R + 0.7152G + 0.0722B
Z = 0.0193R + 0.1192G + 0.9505B
R = 3.2410X - 1.5374Y - 0.4986Z
G = -0.9692X + 1.8760Y + 0.0416Z
B = 0.0556X - 0.2040Y + 1.0507Z
sRGB
(C)
R (0.64,  0.33)
G (0.30,  0.60)
B (0.15,  0.06)
W (0.3101, 0.3162)
X = 0.6069R + 0.1735G + 0.2003B
Y = 0.2989R + 0.5866G + 0.1144B
Z = 0.0000R + 0.0661G + 1.1157B
R = 1.9099X - 0.5324Y - 0.2882Z
G = -0.9846X + 1.9991Y - 0.0283Z
B = 0.0583X - 0.1184Y + 0.8979Z
Adobe RGBR (0.64,  0.34)
G (0.21,  0.71)
B (0.15,  0.06)
W (0.3127, 0.3290)
X = 0.5778R + 0.1825G + 0.1902B
Y = 0.3070R + 0.6170G + 0.0761B
Z = 0.0181R + 0.0695G + 1.0015B
R = 2.0416X - 0.5650Y - 0.3447Z
G = -1.0199X + 1.9171Y + 0.0481Z
B = 0.0340X - 0.1229Y + 1.0014Z
NTSC RGBR (0.67,  0.33)
G (0.21,  0.71)
B (0.14,  0.08)
W (0.3100, 0.3160)
X = 0.6070R + 0.1734G + 0.2006B
Y = 0.2990R + 0.5864G + 0.1146B
Z = 0.0000R + 0.0661G + 1.1175B
R = 1.9097X - 0.5324Y - 0.2882Z
G = -0.9850X + 1.9998Y - 0.0283Z
B = 0.0582X - 0.1182Y + 0.8966Z

(注1)sRGB(D65)、Adobe RGBの白色点(W.P.)は標準光D65の色度座標です。
    sRGB(C)の白色点は標準光Cの色度座標です。
    また、CIE RGBの白色点は等エネルギー点E(x = y = z = 1/3)です。
(注2)NTSC RGB のカラートライアングルはAdobe RGB とほぼ同じです。
    また、NTSC RGB の変換式(XYZ <--> RGB)はsRGB(C)とほぼ同じです。
(注3)変換式の各係数(変換マトリックスの成分)は3原色と白色点の色度座標から決定されます。
    これについては下記を参照してください。
     CIE XYZ表色系(10): XYZ / RGB 変換マトリックスの計算"iCIE XYZ/RGB"
(注4)いずれもリニアRGBとし、ガンマ(γ)補正は考慮していません。
(注5)sRGB(D65)方式の RGB<--XYZ 変換式に一部誤りがあり、訂正しました。
   (誤) B = 0.0556X - 0.2040Y + 1.5070Z
   (正) B = 0.0556X - 0.2040Y + 1.0507Z
 ●CIE RGB 3原色の色度座標について
 CIE RGB 3原色の色度座標は上表のようになっていますが、これらの値は JIS Z8701「色の表示方法―XYZ表色系及びX10Y10Z10表色系」の附属書付表1「XYZ表色系におけるスペクトル色度座標」から次のようにして求めることができます。
 3原色の波長に該当する部分を抜き出し、色度座標を補間計算します。
  波長 λ(nm) x(λ)   y(λ)   z(λ)
    ・
    435   0.16690  0.00855  0.82455
    436   0.16645  0.00896  0.82459
    ・
    ・
    546   0.27296  0.71806  0.00898
    547   0.28013  0.71172  0.00815
    ・
    ・
    700   0.73469  0.26531  0.00000
    ・
CIE XYZ表色系(10): XYZ / RGB 変換マトリックスの計算 "iCIE XYZ/RGB"
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