■音律と音階の科学(4): 3重音(3和音)の不協和曲面 (マウスホイール対応)

 今回は、「音律と音階の科学」における次の2つのグラフ:
 (a)不協和曲線: 周波数差/臨界帯域幅と不協和度の関係を示す。
 (b)臨界帯域幅: 中心周波数と臨界帯域幅の関係を示す。
を元に、
 ●3重音(3和音)の不協和曲面: 根音に対する2つの周波数比と不協和度の関係
のグラフを作図するアプレットを紹介します。
 3音を重ねたときの響きの協和・不協和は3音の内の2音同士(3組あり)の協和・不協和を求めて合計すれば得られます。

 ・根音の周波数、考慮する倍音の数、倍音の減衰率、表示する周波数比の範囲の入力については
   音律と音階の科学(3): 2つの楽音の不協和曲線
  と同様です。
 ・曲面の表示方法を次の3種類から選択します。
  (1) 3D図(ワイヤフレーム): 所謂「鳥瞰図(アイソメ図)」で表示します(陰線消去なし)。
  (2) 平面図(色分け): 不協和度の値によって色分け(濃淡)して表示します。
  (3) 平面図(等高線): 色分け図に更に等高線を追加して表示します。
 ・根音の周波数が平均律の周波数に一致するときは、左上の画面上をマウスクリックすることにより2音を同時に、また右側の画面上(平面図のみ)をクリックすると3重音(3和音)を鳴らします。
  3重音は画面下のコード(Chord)名をクリックしても演奏できます。ここで、C0-2-4などとあるのは、根音と半音2個分、更に半音2個分の音程からなる3和音です。
  C0-3-6 はCdimと、また C0-4-8 はCaugと同じコードになります。

アプレット実行

 等高線図の谷の部分(濃い色の部分)に相当する音の組合せがよく協和し、代表的な3和音はこれらのいずれかに一致しています。

 右側の画面が3D表示の時にはマウスホイールで下記の操作ができます。
 ・マウスホイールを回転すると、曲面を水平面内で回転できます。
 ・「β」の表示枠内でホイール回転すると、前後方向の回転ができます。
 ・「H」の表示枠内でホイール回転すると、高さ方向の増減ができます。
 ・「Zoom」の表示枠内でホイール回転すると、図全体の拡大・縮小ができます。

 右側の画面が平面図の時にはマウスクリック時にその点での不協和度の値が画面左下に表示されます(dis=xxx)。マウス左クリック時は演奏3重音の、また右クリック時にはその点の値となります。

[ 計算方法 ]
 f1、f2、f3 (f1≦f2≦f3)を基本波とする3重音に対してそれぞれn倍波まで考慮するものとし、その振幅は順次kを掛けた値に減少していくものとします。
 このとき、3重音に対する不協和度は次の3つの値を加えたものになります。
 ・f1 と f2の不協和度: d12 = F2 (f2/f1)
 ・f1 と f3の不協和度: d13 = F2 (f3/f1)
 ・f2 と f3の不協和度: d23 = F2 (f3/f2)

 dis = F3(f2/f1, f3/f1) = d12 + d13 + d23

(注1)根音周波数が262Hzの時の不協和度の等高線図を眺めると、「音律と音階の科学」の図41とよく一致していますが、細かいところでは若干差が見られます。これは、計算の前提となる2つのグラフ (a)不協和曲線、(b)臨界帯域幅 の値の差と思われます。

(注2)マウスクリック時に再生される音は予めサウンドバンクに登録されたものであり、画面で設定された倍音の数や減衰率とは無関係です。

(注3)このプログラムはJavaで書かれています。音を鳴らすには、Javaの実行環境(JRE)下にサウンドバンクファイルが必要です。
    C:¥Program Files¥・・・¥Java¥jrexxx¥lib¥audio\soundbank.gm
   このファイルがない場合は下記よりダウンロードして下さい。
    サウンドバンクファイルのダウンロード

[参考文献]小方厚著「音律と音階の科学」(講談社発行)

コード(和音)の演奏 "iPiano Chord"
コード(和音)について一言

音律と音階の科学(5): 2つの楽音の不協和曲線(その2)
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