中国東北地方・鉄道とバスで旅する2000キロ(その2)
〜東北三省の主要都市を訪ねる(哈爾浜(ハルピン)・長春)〜
(2001年8月)
4日め(8月25日) ハルピン〜長春
ハルピン駅には5時53分に着いた。ハルピンの朝は肌寒い。
今日の最低気温は14度,最高でも26度までしか上がらないそうだ。半袖のTシャツ1枚だけでは寒くて風邪をひきそうだ。
朝食をとるレストラン(ホテル)であらかじめ男女一部屋ずつ部屋を予約しておいたので,バイキングの朝食を食べながら,順番に洗面とシャワーを済ませ,夜行列車の疲れを癒すことにした。
(でも,実際は空調の行き届いた快適な寝台列車だったので,汗も出なかったな。トイレもきれいだったしね♪)
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身支度を調えて,8時にホテルを出発し市内観光のスタート。
最初は,ロシアを流れるアムール川(中国では黒龍江と言う)の支流・松花江の遊覧船に乗り込む。
水の色は茶色だし,川沿いの建物も川を意識して建ててないので,船からの景観がイマイチだ。これのどこが観光施設と言えるんだろう?
川岸では泳いだり,洗濯したりしている。地元の人にとっては生活河川?
約1時間の松花江遊覧を終えて,対岸にある太陽島公園にバスで行く。
ここは,帝政ロシア時代,ロシア人の保養地だったところで,当時の別荘が残っている(中には壊れかけているものもあったけど)。
川沿いの辺りだけの散策だったが,夏の陽射しを求めてか,たくさんの人が繰り出し,露店も出ていた。
でも,わざわざ観光に来るような所でもないなと思いながら,おもちゃ売りの露天商をひやかして歩いた。
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10時に公園を出て,聖ソフィア(索菲亜)教会に向かう。
1907年に建てられた高さ53.35mのビザンチン様式の教会で,中には2000人が収容可能ということだ。
文革中の67年に,教会の中は紅衛兵に壊され,その上,焼かれようとしていたところを周恩来が止めたという。
97年から周辺が整備され,教会の中も見学できるようになった(昔のハルピンの写真などが展示されている)。
このあと,近くの食品市場へ行き,汽車の中で食べるアメやシュークリームを買いだめした後,11時35分にハルピンを代表する繁華街・中央大街に向かう。
中央大街には装飾性豊かな欧風建築がたくさん建っている。
ハルピンは,満州語で「川岸にある狭い島」を意味するほどの未開の地だったが,帝政ロシアがここを拠点に鉄道を敷設し始めてから発展し,
街にはロシア人の手でたくさんの欧風建築が建てられた。
そういえば,通りの向こうに見える新華書店も,他の都市のものとは外観が一風変わっているな。
この界隈は建築に興味のある人なら,時間をかけてじっくり見て回りたいところだろう。
建築にあまり興味のない我々は,「華梅西餐庁」でお昼のロシア料理に舌鼓を打つ。これは,とてもおいしかったです。
ここで,今日までこの旅行団の事務局長をしていたHさんが仕事の都合で早く帰国するので,お別れということになりました(うちの団には添乗員はいません)。
お別れ昼食会の席で,Hさんから事務局の仕事をいきなり引き継いだシンちゃんは,さあ大変。
「みなさん,ドロ船に乗ったつもりで安心してください」と名演説!
昼食後,駅へ向かうためバスが動き出してから,4人ほどバスに乗っていないことがわかり,さっそく大慌て(点呼してないもんね♪)。
珍道中の始まり始まり〜。
14時58分発の列車に乗り,長春へ向かう。山東省の徳州まで行く列車なので,寝台車(軟臥車)だった。
昨日の夜,部屋で遅くまで宴会をした疲れが出たのか,横になるとすぐにウトウトしてきた。
一眠りした後,車内の様子を見て回ったら,いくつかのコンパートメントで中国人と合い席になっていた。
ぼくは同じ教室で中国語を習っているYukoちゃんと一緒に,会話の練習をするため何人かの中国人にアタックしてみた。
最初の兄ちゃんは失敗。だって,あまりに愛そうが悪いんだもの。
話しかけづらい上に,話しても会話が長続きしない。すぐに携帯で誰かと話し始めるし・・・
次に,途中の駅から乗り込んできた柴さんという26歳の女性と話を始める。
彼女は天津の学校を卒業した後,北京の大学でコンピューターを教えている。
とても親切に会話の練習に付き合ってくれた上,別れ際には携帯の番号まで教えてくれたよ。(掛けることはないだろうけど)
他の人の状況はというと・・・なんと!中国語がしゃべれないFさんが,姿かたちも露わな鳥の脚を一緒に食べながら
人の良さそうな中国人のオッサンとコミュニケーションしてました(やるなあ〜)。
そうこうしているうちに,列車は18時に長春に着いた。
宿泊予定のシャングリラホテルが取れなかったらしく,街から少し離れた所にある名門飯店に連れて行かれる。
チェックインだけ済ませてまた街の方に戻り,「中国城kao肉店」に夕食を食べに行く。今日は韓国風焼肉。さすが長春,この街には朝鮮族が多いし,韓国からの観光客も多いんだな。
肉は若い男の子が焼いてくれる。うちの団の女性陣の目が変わってきた。
しかし,この兄ちゃん,Yukoちゃんだけに,やけにサービスがいいなと思っていたら,記念写真を撮ってくれろときた。
まあ,写真は撮ってやるけど実らぬ恋だよ〜。
焼肉はおいしかったけど,何の肉だかよくわからなかったな。
韓国からの旅行者には犬の肉を出すって言ってたけど,まさか・・・?
ホテルに帰ってから,二組に分かれて夜の街へ出た。
年配組は,ガイドのYuさんに連れられてマッサージへ。
シンちゃんは,当然,別動隊(若者組)を組織して街の散歩に出かけます。
タクシーに分乗し,6人で文化公園へ行きました(1メーター5元)。
夜もだいぶ遅くなっていたので,人の賑わいもすでになくなっていた。
アイスクリームを食べたり,露店の本屋へ寄ったりして少しぶらぶらしてから,ホテルへ戻ることにした。
5日め(8月26日) 長春〜瀋陽
今日の午前中は,長春の市内観光。
まず,南湖大橋で下車(ここは記念写真のみ)。
次に,長春映画製作所へ。
ここの前身は満州国時代の満映で,かつては李香蘭などのスターもかかえていた。
その理事長は,『ラストエンペラー』にも出てきた満州国の影の実力者・甘粕元憲兵大尉だ(彼は,終戦直後にここで自殺した)。
戦後,国営の映画製作所に衣替えしてからは年間25本くらいの映画を撮っていたが,市場経済になってジリ貧。
今では年に数本と言っていたが,1本製作しているかどうかも疑わしいな。
北京の街や西太后の垂簾聴政の撮影セットなどを見て回ったが,あまりたいしたことはなかったなあという実感。
ここは,割と期待していたんだけど・・・
次に行ったのは,偽満州国務院。
満州国の最高行政機関の置かれた所で,現在はぺチューン(白求恩)医科大学になっているが,当時の総理大臣のオフィスや溥儀の閲兵台(プロローグの写真参照。)が残っている。
案内のおじいさんが,当時のまま残っているエレベーターを盛んに宣伝していた。
その次は偽皇宮陳列館へ。
満州国皇帝・溥儀が執務と生活をした所だ。
残念ながら建物内は全て撮影禁止。
緝熙楼(しゅうきろう)は溥儀が住んでいた所で,寝室や書斎,それに溥儀と関東軍の吉岡が対等に座っている様子を再現した蝋人形(傀儡政権ということが言いたいらしい)などが見学できる。
さらに皇后・婉容(えんよう)が阿片を吸っていた部屋や溥儀が一番愛していた2人目の側室・譚玉齢(たんぎょくれい)が使っていた部屋などが公開されている。
別棟の勤民楼は溥儀が執務をした所で,1階には満州国と溥儀に関する写真が年代順に展示されてありました。
他の人はどう思ったか分からないけど,ぼくにとってはこの"偽故宮"が一番おもしろかったな。
『ラスト・エンペラー』,『悲劇の皇后〜ラスト・エンプレス』,『火龍』など,溥儀とその時代に関する映画を見ていたからだろう。
その後,駅前のホテルで昼食をとってから,12時50分発の列車(軟座車)に乗り,瀋陽に向かう。
ここでも,会話の練習のためYukoちゃんと中国人を探し,年配のご夫婦の前の席に陣取った。
ご主人のAoさんが,とても気を使って話をしてくださり,3時間余りがあっという間に過ぎた。
ご主人は自動車会社に勤めるエンジニアで,英語が堪能で外国旅行の経験もあり,東京にも来たことがある。
湖南省の生まれなので,長沙の馬王堆博物館のミイラや世界遺産の武陵源のことなども尋ねた(来年の中国旅行の有力な候補地だもんね)。
奥さんは国語の先生で,時々発音をチェックしてくれた。
会話をしながら,トウモロコシやひまわりの種,それにガムまでもらっちゃいました。
姪御さんが名古屋に留学しているので,そのうち日本に行くかも知れないということでした。
会話に没頭していたので,他の人が車中で何をしてたか,よくわからなかったが,人なつっこそうな車掌さんがワゴンに乗せて持ってきたみやげ物を,みんなで値切って,楽しく買いあさっていたようです。
16時25分に瀋陽駅に着いた。
宿舎の瀋陽假日酒店で少し休憩した後,18時から「小背簍野生菌菜」にきのこ料理の夕食を食べに行く。
食事後は,当然,街歩き。今夜は夜店が近いので,歩いて行けるぞ〜♪。
四姑娘(スー・クーニャン)とぼくの5人は,出遅れたので皆と別行動。
(注:「四姑娘」とは中国語で「四人娘」の意味。今年の構成メンバーは,Yuko,Katsue,Sachie&Etsuko。年齢は不詳)。
露店を覗いた後,ネオンの明るい商店街の方へも行ってみる。
だいぶ店も締まりかけていたが,カバン屋の前で,四姑娘の足が止まった。
皮のハンドバッグがオール24元(約400円)だって。
でも,一人で3つも4つも買うかなあ。店員さんが笑っているぞ〜。
そのあと肯徳基(ケンタッキー)でハンバーガーを買ってホテルへ戻る。
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