■CIE XYZ表色系(12): xy色度図と等色関数の関係

 XYZ表色系におけるxy色度図外周の曲線は単色光(単波長光)の軌跡であり、その座標は「スペクトル色度座標(x, y)」として JIS Z8701 の附属書付表1に示されています。 このスペクトル軌跡の両端(長波長端と短波長端)を結ぶ直線は純紫軌跡と呼ばれています。
 一方、等色関数は可視光線の波長範囲(380nm〜780nm)の各波長λに対して、赤み・緑み・青みと感じる度合いを示すもので、それぞれ x(λ)、y(λ)、z(λ) で表わされます。 各波長に対する等色関数の値も JIS Z8701 に示されています。
 実は「スペクトル色度座標(x, y)」は等色関数から求めることができるのです。


 光源色の三刺激値 X、Y、Z は
  X = k S(λ) x(λ) dλ
  Y = k S(λ) y(λ) dλ
  Z = k S(λ) z(λ) dλ
   ここで、
    : λ=380 から λ=780(nm) までの定積分
    S(λ): 光源の放射量の相対分光分布
    k: 比例係数
で定義されますが、波長λ0の単色光に対する分光分布はデルタ関数δ(x)を用いて
  S(λ) = δ(λ-λ0)
と書くことができます。 すなわち、λ0以外の波長に対してはS(λ) = 0 となります。

 従って、波長λ0の単色光に対する刺激値は
  X = k δ(λ-λ0) x(λ) dλ  = k x0)
  Y = k δ(λ-λ0) y(λ) dλ  = k y0)
  Z = k δ(λ-λ0) z(λ) dλ  = k z0)
となり、色度座標(x, y, z)は
  x = X/(X+Y+Z) = x0) / [ x0) + y0) + z0)]
  y = Y/(X+Y+Z) = y0) / [ x0) + y0) + z0)]
  z = Z/(X+Y+Z) = z0) / [ x0) + y0) + z0)] = 1 - x - y

例えば、λ=450nm における等色関数の値は
  x(λ) = 0.3362
  y(λ) = 0.0380
  z(λ) = 1.7721
であるので、λ=450nmに対するスペクトル色度座標(x, y)は
  x = 0.3362/(0.3362 + 0.0380 + 1.7721) = 0.3362/2.1463 = 0.15664
  y = 0.0380/2.1463 = 0.01771
  z = 1.7721/2.1463 = 0.82565
となり、JIS Z8701に記載されている値と一致します。
CIE XYZ表色系(13): xy色度図で明るさ(Y値)を変えると
CIE XYZ表色系
デルタ関数とは: 関数の極限としての定式化
ホーム