■07. 2001/12/29(金)
窓を拭く人
高嶋敏展
藤忠ビルには人それぞれの関わり方や想いがあります。三島さんもそんな想いを抱く1人でした。
イベントでにぎわう藤忠ビルで三島さんに声をかけられました。建物が壊されると聞き何か自分にできることはないかと思っている。明日の昼間に窓を拭かせてくれないか、とのことでした。たしかにあわただしい日々に窓拭きはおろそかになっていました。ぜひ、いっしょにやりましょうと約束をして翌日、ご一緒しました。ところが三島さんは清掃関係の仕事をしていた経験があり、あまりの手際の良さにとても私が手伝える状況ではありませんでした。
三島さんは若い人にはめずらしくとても控えめな方で礼儀正しい方です。ぽつり、ぽつりと藤忠ビルへの想いを語られれました。藤忠ビルには藤忠ビルプロジェクトが始まってから初めて入ったこと、自分は大田の出身で松江には仕事を初めてから住んでいること、ビルの存在は知っていたが壊されると聞いて初めて意識するようになり、自分にできる事をさせてもらいたいと思うようになったことなどを言葉少なに語られました。
お茶でもどうですか? とお誘いしましたが、仕事の昼休みを抜けて窓を拭きにきたので、すぐ帰らねばならないとおっしゃいます。
仕事の合間にビルへのはなむけに窓を拭いてやる、そんな人物が現れたことをとてもうれしく思います。また、三島さんの行動はとても自然で純粋でした。ボランティアスピリッツの本質を見たようで、僕は感激をしました。
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