i- 太陽光発電所: パワーコンディショナの変換効率(その2)
            〜 日射量と変換効率の関係 〜

 パワーコンディショナ(パワコン)は太陽電池モジュールで作られた直流電力を交流電力に変換する機器であり、その際の変換効率は太陽光発電システムの性能を左右します。

 曇りや雨で日射量が少なく、発電電力が定格以下の場合には一般にパワコンの変換効率はカタログ値より低くなり、
  パワーコンディショナの変換効率
で1例を紹介しました。

 ここでは、最寄りの広島地方気象台での日々の日射量と我が家の実際の発電量、理論発電量(算出方法は後述)の数値をもとに全天日射量と発電効率(=実際の発電量/理論発電量)の関係を見てみましょう。

 「グラフ描画」ボタンをクリックすると、日射量と発電効率の関係が表示されます。

 日射量が少ないと発電効率のばらつきが大きくなることが示されています。 また、発電効率の低い日は日射量が少ない日に多く見られます。

 これらの原因としては以下のようなことが考えられます。
(1)パワコン変換効率
   カタログ記載のパワコンの変換効率はJISに規定された測定法に基づく値であり、定格出力時の変換効率です。
   曇りや雨で日射量が少なく、発電電力が定格以下の場合には一般に効率はカタログ値より低くなります。
(2)日射量観測点(広島地方気象台)との日射量(天候差)
  日射量は我が家から約10kmの所にある広島地方気象台での観測値であり、我が家での値ではありません。
  そのため、気象台での日射量が少なくても「実際/理論比」が大きい日もあります。
(3)天候変化のパターン
  1日の日射量が同じでも、ずっと曇りの場合と晴れたり曇ったりで発電量が異なります。
(4)モニタ数値の丸め誤差
  発電量は0.1kWh単位であり、日射量が少なく発電量が低い時は誤差率が大きくなります。
(5)その他


 2011年10月のデータでは、日射量の大小と発電効率の高低がほぼ連動しており、パワコンの特性(変換効率)がある程度表れているように見受けられます。

(注)その後の検討で、発電効率低下の最大原因は基準日射量の設定方法にあることがほぼ明らかになりつつあります。
    −> ・発電実績診断 〜発電量不足の要因別寄与率〜

理論発電量の算出方法

(1)「理論発電量」は実際の日射量、建物の条件と下記損失から計算される予想発電量です。
   ・温度損失: 冬 10%、春/秋 15%、夏 20%
   ・パワーコンディショナ損失: 6%
   ・その他損失: 5%

(2)全天日射量から斜面日射量への変換は気象官署・アメダス801地点の日射量平年値(1961年〜1990年の30年平均値)データベースにおける「広島」での値を元に行いました(斜面: 方位30度、傾斜角30度の面)。
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
全天日射量(kWh/m2)2.282.843.724.715.435.085.205.363.883.362.522.13
斜面日射量(kWh/m2) 3.123.534.164.815.154.684.855.284.124.073.383.04
全天−>斜面
変換係数
1.3681.2431.1181.0210.9480.9210.9330.9851.0621.2111.3411.427

(3)上記(1),(2)より、理論発電量(予想発電量)の計算式は下記のとおり。
  理論発電量(kWh)=全天日射量(kWh/m2) x 上記変換係数 x パネル容量(kW)
               x (1 - 温度損失) x (1 - パワコン損失) x (1 - その他損失)
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i- 太陽光発電所: パワーコンディショナの変換効率

i- 太陽光発電所
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