i- 太陽光発電所: 月別温度損失係数という考え方

 広島市中心部から北西方向に約10km離れた 我が家(建物方位:南々西、屋根傾斜:28.8度)では従来 M社製の太陽光発電システムを使用していましたが、設置して約10年が経過したのを機に、容量アップを兼ねてSHARP製のシステムに更新しました。

 旧システムおよび新システムの月別発電量の実績値を(日射量から計算される)予想発電量と比較すると、両者の比(発電効率=実績値/予想値)は月毎に変動し、特に季節の変わり目で急変する様子が見られます。

月別の予想発電量(理論発電量)の計算式
 予想発電量は設置場所(近くの気象観測点で)の日射量、システム容量、建物の条件と種々の損失をもとに次式で計算されます。

  予想発電量(kWh/月)=斜面日射量(kWh/m2/日) x 月の日数 x パネル容量(kW)

                x (1 - 温度損失) x (1 - パワコン損失) x (1 - その他損失)
 
 ここで、温度損失(温度損失係数)は通常、
  ・春(3 〜 5月): 15%
  ・夏(6 〜 8月): 20%
  ・秋(9 〜 11月): 15%
  ・冬(12 〜 2月): 10%
とします。
 パワコン(パワーコンディショナ)の損失、その他損失はシステムによって異なりますが、それぞれ 5〜6%、5〜7%程度です。

 この計算式は単純ですが、温度損失係数が四季毎に一定であるため、季節の変わり目では予想発電量が不連続に変化します(誤差が大きくなる)。
 例えば、8月は20%ですが、9月に入ると一気に15%と5ポイントも変動します。 9月は結構残暑が厳しいため、前述の式で算出される9月の予想発電量は一般的に実際より大きめになります。

 このような不具合を少しでも解消するためには温度損失係数を季節別ではなく、月別に設定する方が望ましいと考えられます。

月別発電実績 (実際発電量/予想発電量の比、6月の値を100とした指数)
  実績値/予想値の比は 6月が最大で、3月がこれに続きます。
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
旧システム
(2002年〜2010年の平均)
83.588.099.797.896.3100.096.694.191.493.294.081.1
新システム
(2011年6月5日〜9月26日)
100.097.293.590.7
 (注1) 冬季の値が低いのは積雪による発電不足などに起因する。
 (注2) 新旧システムの月別指数はかなり一致している。


月別温度損失係数
  上記発電実績をもとに、月別温度損失係数を決定した1例を示します。
  月別温度損失係数を各季節毎に平均すると、通常の係数値に一致するようにしています。
   (注) 但し、春と秋はまとめて平均化する。
  この係数値は広島における最近10年間(2001年〜2010年)の日最高気温の月平均値の高低ともほぼ符合します。
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
季節別温度損失係数10 %10 %15 %15 %15 %20 %20 %20 %15 %15 %15 %10 %
月別 温度損失係数9 %10 %12 %14 %16 %17 %20 %23 %19 %16 %13 %11 %
日最高気温の平均値
(2001〜2010年、広島、℃)
9.711.414.319.924.427.730.832.829.723.917.512.0


i- 太陽光発電所: システムの更新
i- 太陽光発電所: 毎日の発電実績
i- 太陽光発電所: 月別温度損失係数に基づく発電量予測
太陽光発電: 旧システムの月毎の発電実績との比較 〜 日射量と実際の発電量の関係 〜

太陽光発電: 日射量に基づく発電量予測システム 2

i- 太陽光発電所
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