報告展報告
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最終号(第6号)/2002年07月15日発行
4月2日から7日まで島根県立美術館ギャラリーで藤忠ビルプロジェクトの活動報告展を開催しました。 プロジェクトを始める前に「イベントをやりっぱなしにする組織が多すぎる、片付けや締めくくりをきちんとやろう」と漠然と決めたことから最後のラストスパートでやり遂げました。展示したものはイベント報告のパネルや写真のほかに廃材アートの作品などの成果物など3ヶ月間の活動を振り返ることができるよう工夫しました。また、ビルの1階サロンスペースを原寸で再現! ビルの角のまーるいところや手作りのイスやテーブルがならんでいました。凝りに凝った展示はプロジェクトのメンバーであるアーティストや学芸員が練りに練ったプランでした。「まるで時間が戻ったよう」と訪れた人を唸らせたところは展示のプロ達の仕事でした。テレビ・新聞で大きく取り上げられたこともあって期間中に500人以上の入場者がありました。
[高嶋敏展]
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心地よい雰囲気に包まれた県立美術館ギャラリー。 |
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「藤忠ビルプロジェクト その活動の記録」展を終えて
藤忠ビルで行ったイベントを美術館のギャラリー3で展示報告する事が決まって数ヶ月、それぞれの心に整理しきれない思いを残したまま開催日が迫ってきた。そんな3月のある日、メンバーが美術館に集まり会場の模型を囲んで静かな議論を重ねた。結果、展示は大きく2つのゾーンで構成することに決定した。
第1のゾーンでは藤忠ビルオープン時サロンの再現を目差した。会場に入ってすぐ左側にビル一番の特徴であるアール部分を出現させ、実際にビルから写し取ったフロッタージュを展示した。するとギャラリーは忽ち藤忠ビル1階フロアーへと変貌し、さらにサロン開放時に使用したテーブルや棚、電気の傘、ねじ等の金具類、ホウロウ看板などを配置することで「fuji-chu dead-stock shop」の雰囲気をも再現した。
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フロッタージュによって再現されたアール部分。 |
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第2のゾーンにはイベント報告と写真、藤忠ビルの実測図面等のパネル、そしてアートイベントの成果物等などを展示し、プロジェクトの芸術的な側面のクローズアップに情熱を注いだ。会場の中央に設置した可動壁には「撮影会」のスライド作品が映し出され在りし日の思い出に浸る参加者がしばしば足を止めた。その周りでは、「廃材アート」や「写生会」の作品、さらに社長自作の自動車、等々が縦横無尽にインスタレーションされ濃密なアート空間となった。展示報告「藤忠ビルプロジェクト その活動の記録」は最終的に来場者550名を数え、静かにプロジェクトの幕を閉じた。
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社長自作の自動車(中央)の周りには廃材アートの作品が並ぶ。 |
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最後に最終日に起きたエピソードを披露しておきたい。NHKで放送された番組『モダンビル 最後の日々を輝かせる』を見て来られた方がプロジェクトの一部を白潟・天神の歴史として中央小学校の歴史資料室に寄贈してもらえないか? と申し出くてださった。自分たちの行動がそういう形で地域の歴史に刻まれるという事は全く予測していなかったので非常に嬉しい誤算となった。もちろん私たちは同意した。
プロジェクトから生まれた「モノ達」は、今、小学校で子供達と一緒に新しい歴史を刻んでいる、そう考える事でようやくプロジェクトを客観的に振り返ることが出来るようになってきた今日この頃である。
[石上城行]
【「藤忠ビルプロジェクト その活動の記録」展】 |